かの池上正太郎先生も愛したという蕎麦屋の名店が火事になったとニュースが流れ続けてました。

TVで「店そのもの、もだけど、『つゆ』が途絶えてないか心配。どこかに保管してあるんだろうか」と言われてる人がいたんです。

そうだ!
蕎麦も『つゆ』あってのものだ!
蕎麦だけではなく、老舗の店には、必ず長年使われている、味の命である「だし」「つゆ」「スープ」等があるもので、継ぎ足しながら寝かしながら完成されていくから、
「あ、なくなっちゃった!作っとこ~ナイフとフォーク
てわけにはいかない!
店ならなんぼでも建て直すことは可能ですが…ガーン

不幸にもタレを失い辞めてしまった有名な店とか、
戦時中、人間が疎開するより前に、だし類を瓶に入れて疎開させたとか(帝国ホテルでは銅鍋も疎開させたとか)いう話は、決してやりすぎではないです。

今は真空調理という料理法があり、味や風味が劣化することなく冷凍パックして保存することも可能なので、小分けして保存されてるかもしれないです。

でも、その冷凍を溶いた時点から、また、1からのスタート。
決して元通りではない。

ぴったり同じレシピ、同じ分量、同じ手段手法で作っても、人が変わると別物になるぐらいだから、そこに「時間」が加担したら、もうもう、人間の仕業じゃないレベルですわねぇ。
まさに「命のだし」ですよ。

華やかな宴の奥には、静かに息づく時間の賜物が。


「帝国ホテル厨房物語~私の履歴書」

ムッシュ村上こと、帝国ホテルの元グランシェフ・村上信夫さんの本。
私の大好きな、尊敬する方です。(故人)
日本の西洋料理の世界を造り上げた方で、ホテル話だけではなく、東京オリンピックの話、今やあたりまえの冷凍食品の誕生話、「きょうの料理」でのエピソード、など、いろいろちりばめられていて、とってもおもしろいですよニコニコナイフとフォーク
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