自分の死体との再会 ~ よみがえった過去生










かつて グロフ博士が モスクワ キエフなどを訪れる団体旅行に参加した時のこと


彼は予定になかったペコルスカヤ・ラフラという修道院をどうしても訪問しなければ

ならないという気がして 予定外の行動をとることが危険であることを承知しながら


ひとりで行動を開始しました。  グロフ博士は 数世紀のあいだそこで生活して死


んでいった修道士全員のミイラが並ぶ カタコ-ム[ 地下墓地 ] へと入って行き 


なぜか、「この場所を自分はよく知っている」 という気持ちにとらわれました。


そしてついに 他のミイラのように両手を祈りのかたちに合わせておらず 変な位置に


両手をおいたひとつのミイラの前にたどり着き 「深いところから感情の波が湧き上がっ


てくる」ような気分を感じました。  




数年後 バルチモアのメリ-ランド精神医学研究センタ-で働いていた グロフ博士は


ジョアン・グラントという催眠療法士のもとで 自分の過去生をのぞく機会にめぐまれました。


退行催眠をうけて ロシア人の少年であった過去生へと記憶をさかのぼらせた グロフ博士は


思い出した 過去生の内容を 次のように記しています。




『自分が薄暗い鍛冶屋の作業場にいることに気づいた。 筋肉質の大きな男が 毛むくじゃら


上半身をむき出しにして 燃え盛る炉の前に立っていた。 彼は大きなハンマ-で赤く焼けた


鉄の塊をたたいて 何かのかたちを作っていた。 その瞬間 私は目に鋭い痛みを感じ 顔が


苦痛でゆがみ涙が流れ落ちた。 恐ろしいことに 赤く焼けた鉄の塊が私の顔に飛んできて 


ひどいやけどを負ってしまったのだ。 ひどいやけどのせいで 私はその後 女性から敬遠され 


満たされない性的願望に苦しむ生活を送った。 絶望した私は 修道士になって 


ペコルスカヤ・ラフラ で人生をすごすことを決心した。 私の両手は年をとるにつれて変形し 


祈りのかたちを取ることさえも出来なかった。死の場面を思いだしながら 


私はカタコ-ムの壁際の棺の中に 自分が横たえられているのを見た』




・・・つまり 今回の人生で自分が引き付けられるように近づいて見た 両手が変形したミイラは


グロフ博士自身の過去生の姿だったのです。 過去生を思い出した被験者は何千人にものぼり


ますが、「 自分自身の死体を自分の目で見た 」 という奇妙な体験をすることは滅多にないこと


でしょう。自分自身が過去生を体験し 「過去生における自分の死体」 を見たグロフ博士は 


今では次のように断言しています。 



・・・・『 過去生の体験をした人々を長年にわたって観察してきた結果 私はこの魅惑的な


研究分野の正当性を確信するようになった。 過去生という現象がきわめて妥当なものであること


過去生の知識が私たちの心の悩みを解決し 現在の人生をより良いものにすることを確信させて


くれる事例を いくつも紹介することができる 』 ・・・・・・



以上のように 過去生の記憶の正当性については 退行催眠の研究からだけではなく 過去生の


記憶を持つ子供たちの調査結果や 特殊な薬物の投与による実験結果からも裏付けられています。


もちろん 「 このような事例は証拠に値しない 」 と判断されるのも 「 これほどの証拠があれば


自分にとっては十分だ 」 と評価されるのも 読者のみなさんのご自由です。


しかし 「 証拠など無く 信じるか信じないかという問題 」 であった時代から 「 証拠にもとづいて


各自が判断出来る問題 」 である時代へと移ってきたことは おわかりいただけるでしょう。