久々のちょっとティータイム
●当ブログの過去最高の人気シリーズ No.1
ある人の臨死体験
日本最大の環境団体、【地球村】・代表の高木善行氏の著書より
指揮者でもあり まさに超エリ-トコースを歩まれていた方です。
1981年4月27日の日曜日 ・・・・以下抜粋
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プロローグ
・・・その日 昼寝から覚めると珍しくオ-トバイに乗りたくなった。
そしてどこに行くでもなく国道一号線を京都に向かって走っていった。
そして 気づいた時は遅かった。自動車がこちらに向かって走ってくる。
何なんだ これは、分離帯のある国道でクルマがこちらに走ってくることはあり得ない。
あり得ないから夢に違いない。 ともかくブレ-キをかけなければ。
だが 到底間に合う距離ではない。急ブレ-キの音。
スロ-モ-ションのようにクルマが近づく。ゆっくりと接近・・・そして・・・ガッシャ-ン !!!
・・・・・・゛ん ? 痛くない・・・゛゛゛。
周りを見ると オ-トバイが横転・・・・・・バウンドしながら横すべりしていく・・・・・・・・
自分の身体も吹っ飛び 道路に叩き付けられる・・・ヘルメットが壊れて道路を転がっていく・・・
それを見ている私。 私は自分の交通事故を目撃しているのだ。
ヘルメットは歩道を歩いている女の人の足元まで転がっていった・・・その人が振り向いた。
゛あれは合唱団のSさんだ おおい 僕だよ 僕だよ !゛
Sさんはしばらく足を止めて事故現場を見ていたが・・・やがて行ってしまった・・・。
Sさんが ゛大したことないみたい 私には関係ない・・・と考えているのがわかる。
゛おいおい ひどいよ あれは僕だよ 関係はおおありだよ ゛
オ-トバイはガ-ドレ-ルに引っかかるようにして止まる。
自分の身体も二度三度バウンドし 「 く 」の字にねじれて、国道の片隅に横たわっている。
それを上から眺める自分。゛少しも痛くない。痛くないということは やはり夢なんだ゛。
自分を眺めることが出来るということも夢以外にない。ああ驚いた。 よかった 夢でよかった。
人が集まってくる。口々に色んなことを話している。
「歩道にあげないと危ない」、「もう死んでる」、「死体は動かしたらあかん」
「まだ生きている」、「現場は動かしたらあかん」
「オ-トバイからガソリンがこぼれてる 危ない」
場所は国道一号線 自分が勤務する松下本社の手前の交差点
ちょうど救急病院がある。すぐに担架が運び出されてきた。
私は担架で病院の中に運ばれていく。その横を酸素マスクを持った看護婦さんが走る。
それを天井の高さで テレビカメラのように追う私・・・・
私は検査室の診察台の上でレントゲンをたくさん写されている。
「ひどいなあ これは・・・骨盤が砕けてる・・・足がはずれてる・・・・おっと 首の骨もだめだよ
・・・ほら この手 ぐしゃぐしゃ・・・・ひどいもんだね・・・膝も 肩も・・・全身骨折だよ・・・・」
医者が看護婦と話しながら検査している。・・・・・・・天井からその様子を眺めている。
゛あんなにレントゲンを浴びて大丈夫なんだろうか゛
右足は付け根から不自然に曲がり 首も不自然に曲がっている。
首の骨が折れているか損傷しているのだろう。
骨盤が割れて右足は付け根からはずれているのだろう。
膝がねじれているから関節で折れているのだろう。
しかし一番ショックだったのは左手 ピアニストにとって 手は命と同じくらい大切。
子供のときから指を大切にしてきた。
遊ぶときも体操のときも バレ―ボ―ルや柔道など 突き指や指のケガの可能性のあるものは
ほとんど避けてきた。それほど大切にしてきたこの手が 突き指どころか 手が手首の
ところで折れ曲がり 手の甲が手首に くっついてしまっているのだ !
・・・・「 これは無理ですね うちでは。 手の打ちようがない 」
゛おいおい それはないだろう 何とかしてよ゛ 結局 大学病院に転送された。
初めて乗る救急車 サイレンが時々鳴る。 ゛そこどけそこどけ 僕が通る゛
・・・一夜あけて 手術が始まる。 『 天井からそれを見ている私。』
まるでマグロをさばくように自分が切り裂かれていく。
腰の右側が大きく切り開かれる。 どす黒い血が流れ出す。
゛ひどいものだ とても見られたものではない・・゛骨盤が割れ 右足が骨盤からはずれている。
骨盤に穴を開けるいやな音。 太いボルトが差し込まれ 骨がつなぎ止められる。
゛ちょっとちょっと そんなことしていいの ?? 土木工事じゃないんだから゛
とても見られたものではない。あまりの残酷さに目をおおう。
・・・・・・・・・・・・・・・場面が転換。 ICU { 集中治療室 } 。
異様な姿。 頭も顔もミイラのように包帯でぐるぐる巻き。
足にはロ-プで重りがぶら下げられている。
腕はこれまでに見たことがないくらい大きなギブスで包まれている。
全身固定-酸素マスク-口鼻にパイプ。 腕には点滴。
あちこちからパイプが出ている。 血液と排尿のためか。
ベッドの横にはオシロスコ-プ 脳波か心電図を取っているらしい。
下半身から排泄用のパイプ。 電極とオシロスコ-プ。
思わず目を背けてしまう 姿。 まだ生きているのだろうか。 しかし動かない。
場面が転換・・・・・・・妻が医者から説明を受けている。
「 やるだけのことはやりましたが・・・・・・・・・」
― 妻が呼びかける。
『 お父さん 大丈夫 ? お父さん お父さん !・・・・・
・・・お ― 父 ― さ ― ん !!!!! 』
呼びかけは次第に大きな声になる。 最後は絶叫。
絶叫はたまらない - 特に家族の絶叫は堪えられない。
゛大丈夫 僕はここにいる 心配いらない これは夢なんだ゛
妻には聞こえていないようだ 伝わらない。
『 お父さん - お父さん - どうして ・・・・・・・ ど う し て ー 』
゛聞こえているよ。 何か変なんだ 大丈夫だ 心配いらないってば゛
しかし通じない 伝わらない。 もういい もう見たくない。
・・・場面は転換
待合室で脅えているわが子に一生懸命呼びかける。
゛大丈夫 心配いらないよ 何か変なんだ。あれはお芝居なんだ。 何かの間違いだからね。
これはきっと夢なんだ お父さんは大丈夫だよ すぐ帰れるから。
今日は 晩御飯は一緒に食べる日だからね 待ってるんだよ。゛
ああ・・・やはり通じない 手応えが無い。 映画 「ゴ-スト」 のような感じ。
もういい - もう見たくない・・・・・・・また場面は転換。
ICU で寝ている自分。 動かない。
その横で妻がイスに座って見守っている。
遺体が安置され 妻が不寝番をしているようにも見える。
゛ 僕はまだ生きているんだろうか - もう死んでいるんだろうか ?? ゛
しかし こうして自分が自分を見ているということは・・・・・・
もしも夢でないとしたら・・・・・僕は死んでいるということになる・・・・・・・・・・
゛ まさか そんな馬鹿な !!! ゛
以下、No.2へと続きます