慟哭の詩~破れし者へ by.孫崎 享









孫崎 享


戦い、敗れし者へ:韓国首相に怒るな。事実なのだから。韓国の首相は7日の国会答弁で

「日本が無能」と言った。世界中、福島原発の処理で日本政府の能力のなさに、ここまでひどいか

と驚愕している。しかし、これは何も原発問題だけでない。象徴的に現れただけだ。

日本は、今、待ったなしで、繁栄から転げ落ちている。全ての分野で事態を正視し、変革を必要と

している。最適の人材が任に当たるべきである。日本で菅首相が首相に最適な人間とは誰も思わ

ない。しかし、現に彼は首相である。代わる人間が出ても最適ではない。外務大臣も同じ。

日本人と結婚している中国人女性が、通訳の経験を次のように言った。

「中国では組織(国家)の上へ行けば行くほど聡明な人が出て来る。日本は上へ行けば行くほど

馬鹿が出て来る」。この中国人女性に怒るな。事実なのだから。しかし日本の悲劇はこの状況が

ほぼ全ての組織に該当する。変革が強く求められる。では社会は今、その方向に動いているか。

朝日新聞会社案内2011年「ジャーナリズムの使命」で「ジャーナリズム本来の使命が権力の監視

にある」と書いている。この機能を果たしているか。果たしていない。スローガンは空々しく響く。

そうお思いでしょう、朝日新聞の記者。御用学者は花盛り。

正当な事実認識すら出来ぬ、許されぬ日本になった。待ったなしで変革が求められる状態下、

twitterで書いたように、日本社会のどの分野であれ:「立ち上がろうとする者が出ればこれに被害を

与えるシステム」だけは完璧に、見事に、機能している。特に最近は酷い。個々の政治家が敗れ、

個々のジャーナリストが破れ、個々の公務員が敗れている。持ち場から追われている。

今後も敗れていくだろう。田村隆一の「幻を見る人」

〈1956年〉をふと想い出した。幻を見る人空から小鳥が墜ちてくる 誰もいない所で射殺された一羽の

小鳥のために 野はある 窓から叫びが聴えてくる 誰もいない部屋で射殺されたひとつの叫びのため

に 世界はある 空は小鳥のためにあり 小鳥は空からしか墜ちてこない 

窓は叫びのためにあり 叫びは窓からしか聴えてこない どうしてそうなのかわたしには分からない 

ただどうしてそうなのかをわたしは感じる 小鳥が墜ちてくるからには高さがあるわけだ

閉ざされたものがあるわけだ 叫びが聴えてくるからには  野のなかに小鳥の屍骸があるように

わたしの頭のなかには死でいっぱいだ わたしの頭の中に死があるように

世界中の窓という窓には誰もいない





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