2024.1臨時号 NO.202  ヨミ VS ヨ
 本号では、"令和の歌まねヒロイン"と呼ばれる、人気ものまねタレント『よよよちゃん』ではなく、韓国の歌姫『YOYOMI』(요요미、ヨヨミ)を紹介する。
 ヨヨミさんを知ったのは、日本でもファンが多いトロット(韓国演歌)歌手桂銀淑さんがちあきなおみさんの名曲『紅(あか)とんぼ』をカバーし唄っているのを昨年youtubeで視聴しているときだったと思う。偶々彼女の動画を目にした。
 ヨヨミさんは、2013年18歳の時にトロット歌手としてデビューするも芽が出ず、2018年に再デビューする。まず本業の歌手より内外のヒット曲をカバーしたユーチューバーとして人気が沸騰。この辺は日本の長山洋子さんに似ているか。 

   長山さんは、演歌歌手としてスタートするハズだったが16歳では演歌はまだ早いと1984年にアイドル歌手としてデビュー。1986年にカバーした『ヴィ-ナス』がヒットし人気歌手に。1993年満を持して演歌歌手として再デビューした。
 ヨヨミさんは、現在29歳だが、キュートなルックスと愛らしい歌声で、年齢より若く見える。演歌は40歳を過ぎてから、色んな人生経験を積んでからでもよいのでは。桂銀淑さんほど「山高く谷深し」は必要ないが。
 ファンが多いオジサンたちから“中統領”(中年〔たちにとって〕の大統領)と呼ばれるヨヨミさんは、歌が上手いだけではなく、踊りながら歌える。トロット、ダンス、R&B、バラード等何でも歌いこなし、英語、スペイン語、中国語、日本語等外国語の発音も苦にしない。
 次々にyoutubeにアップするところを見ると短期間で振付や歌詞を覚えられる。物覚えが速いのは記憶力が秀逸なのだろう。シンガーソングライターであり女優でもある。なんでもこなす天才肌のヨヨミさんは、世界とはまだ言い難いが韓国歌手界の“女大谷”と言っていいだろう。
 本家の大谷翔平選手は、投手と打者の二刀流だけではなく、外野も守れるし、頭が良いから捕手だってできる(実際投手なのにピッチクロック対策もあるとはいえ自身で配球を決めている)。所属チームだけではなく、野球界全体のことも考える。情に流されず経営者としての資質も備え持つ大谷選手は“野球界の大統領”と言えるだろう。 
 ヨヨミさんの数あるカバー曲の中で、私が「推す」カバー曲をアクセス数が多い順に並べると、下記の通りとなる。

 まだ聴いたことがない殿方は一度視聴されてはと思う(妻に見せたが、「ふん!」と言った切り、関心を示さず)。
새벽비』(夜明け) 視聴677万回
『노바디』(no body) 同236万回
『Despacito』    同131万回
 エンゼルスのチームバスの中で大谷選手も日本語バージョンを熱唱したという。歌も上手いとか。
『Beat It』     同71万回
 故マイケル・ジャクソンのカバーでは『Billie Jean』『Thriller』も。
『When we disco』 同39万回
 『NiziU』をプロデュースしたJ. Y. Park氏のシンガーソングライターとしてのヒット曲。
  

   私はアイドル歌手など若い女性歌手のファンになったのは、30歳で結婚してまもなくの頃20歳前後の松田聖子さんが最後。その聖子さんが海外進出するに向け外人好みのメイクに変えた頃から関心を無くして行き、その後若い女性歌手のファンになったことはない。
 70歳を超えてからヨヨミさんのファンになった。色ボケと思われるかもしれないが、ヨヨミさんが1994年10月8日生まれであることに縁を感じている。
 当時私は20年務めた銀行を辞め、1994年早々社団設立に参画すべくひとり上京した。その年の10月初めから家族5人での生活を再開した。その数日後の10/8に私が好きだった長嶋監督の下で日本プロ野球史上初めてという、同率首位で並んだ巨人と中日が「優勝決定戦」を行い巨人が優勝した。ヨヨミさんが人生の歩みを始めた頃、私は家族とともに東京で銀行員時代とは激変した第二の人生に踏み出していく。
 ヨヨミさんは、下記動画でキャンプ地においてヨヨミママとヨヨミさんを前にしてヨヨミパパ(トロット歌手パク・シウォン氏)が日本でも人気を博した歌手チョー・ヨンピルさんの『傷』を熱唱しているのを観ると、歌の才能は父親から、色白の容姿は母親から、受け継いでいることが解る。
 父親のパク・シウォンさんは、実力があるもヒット曲に恵まれなかったのか30数年無名歌手に甘んじてきた。父親は娘の成功を祈り、娘はそれに応えようと頑張る。娘も父親を盛り立てる為に父親と一緒に舞台等に立つ。

 そして、2020年5月韓国KBSの看板音楽バトル番組『不朽の名曲-伝説を歌う』での芸能人家族6組のバトルでシウォン・ヨヨミ父娘が優勝した。
 その折ヨヨミさんが父の涙を初めて見たと言ったという。この動画(3:23あたり)がそうだと思われる。ハングルは分からないが、ヨヨミさんがアッパ(お父さん)と何度も言っているので父に対する尊敬の念や想いを述べているのでは。
 そんなヨヨミさんの父を思う健気さもオジサンたちのハートをつかむ一因になっているのではないか。
 下記のオリジナル曲でもセクシーな踊りをするが、卑猥さは感じない。爺の私の目からすれば、孫娘が背伸びして演じているようにしか見えない。
 29回目のシングル『위하여』(Cheers)

  

   ヨヨミさんのカバー曲を聴きながら,よそ見して横の縦に並んだyoutubeを観ていたら、「あれ? 韓流ドラマ『夫婦の世界』に出演していた美人女優のハン・ソヒさんでは?」と訝った。色白な美人チェリストのチョ・ユンギョン(조윤경、Yoon Kyoung Cho)さんであった。チョさんも、『CelloDeck』名でyoutubeにアップしている。
 『Romeo and Juliet - Love Theme』
 『Song from a Secret Garden』
 上記の動画を観ていて演奏の優美さに感動するが、如何せん演奏技術はどれほどのものか私には判らない。チョさんの経歴を見ると、9歳でチェロを始め、ソウル大学音楽大学(音楽大学は日本では音楽部。東京芸大音楽部に相当か)を首席?で卒業した。それで「へぇ~」と思い、その後奨学金にてニューヨークのジュリアード音楽院を卒業し、点数が発表され透明性の高いヨハネス・ブラームス国際コンクールのチェロ部門で2位となる。それで「ほぉ~」と唸る。天は二物を与えるのだと理解する。
 私は、クラシックに疎く、バイオリニストもよく知らないぐらいなので、チェリストなど男性のヨーヨーマさんしか知らない。女性のチェリストは全く知らなかった。女性チェリストを探してみると、アジアにはチョさんのような若い美人チェリストが多くいることを知った。
 中国には“チェロのプリンセス”と呼ばれるリ・ラ(李拉)さん、台湾には “天才超絶美少女”と言われ、歌手欧陽菲菲さんの姪にあたるナナ(Nana、欧陽娜娜)さん、日本にはグラミー賞を受賞した松本エルさん、若手の登龍門である2021年全日本ビバホールチェロコンクールで優勝した柴田花音さん達がいる。
 「天は二物を与えず」と言われるが、プロの世界では天から二物を与えられた者が求められる。より聴衆を集め、CDが売れる者を。音楽界では「技量」だけではなく「容姿」も重要。とくにソリストであれば。
 技量が低いのに顔だけで優遇されるのでなければ、後述するルッキズムとは言えない。(私のエンゼルス残留予想は外れ本命視されたドジャースに移籍が決まった)大谷翔平選手に対して日本や米国の野球をよく知らない娘達まで球場に来て「Marry me !」などのプラカードを掲げるのは、野球の才能、飼い犬を愛おしむ優しい心根、高き品格だけではなく、やや童顔のハンサムであることも関係していよう。

 日本でスーパースターの、野球界でミスターと呼ばれる長嶋茂雄選手しかり、ゴルフの尾崎将司選手しかり。

 音楽の国際コンクールで容姿にて点数が加除されることはないだろう。それは学校においても同じ。
 そんな学校の中で「容姿」が問われる学校がある。来月受験シーズンを迎える宝塚音楽学校だ。学校というより野球で言えば2軍と言うべきか。違いは給料をもらうのではなく授業料を払うところか。
 宝塚音楽学校のH.P見ると、ルッキズム(見た目に基づく差別)への批判が高まる中応募資格に堂々と「容姿端麗で、卒業後宝塚歌劇団生徒として舞台人に適する方」と記している。「容姿端麗」と書かなくとも受験生は皆承知していると思うが。
 春先日テレのバラエティ番組での2023年度受験者の悲喜こもごものドキュメントを観たが、某予備校の4人の受験生にスポットライトを当てていた。その内の一人は、中学3年1次試験不合格、高校1年不受験、高校2年1次試験不合格、そして最後の受験機会となる高校3年も1次試験不合格で終わった。合格する40人対し、減少傾向にあるとはいえ多すぎる受験生600人から300人にふるい落とすことが目的なのか、1次試験はレオタード姿で、受験番号、年齢、身長、体重、出身地を面接官に伝えるだけ。その間たった30秒でしかない。容姿を観ているとしか思えない。

 私は、ルッキズム批判の闘士ではないので、1次試験を廃止すべきとまでは言わない。ただ、最大4度1次で落ちる可能性のある現行制度を(私には親心とは思えず)2度1次試験に落ちれば受験資格を喪失する(タカラジェンヌとしては合わないだけ)に変えてはと思う。

 容姿は本人の努力では何ともし難い。ダンス、バレー、歌唱等2次試験に向け青春を賭けて打ち込んできた彼女たちが不憫でならない(彼女たちの人生に無駄とは思わないが)。
 他の3人の受験生は皆1次試験をパスした。皆過去2次試験をパスした経験を持つ。その受験生には1次試験を免除してはどうか。受験資格の中3~高3は女性としての魅力度が年々上がる期間であり、しかもタカラジェンヌを夢みる乙女たちが激太りしたりするようなことは考えられない。
 受験料(1次試験1万円)の減収を問題とするなら2次試験料(3次試験料込み)を2万円から3万円か4万円に引き上げればよいではないか。
 2次試験をパスした2人のうち、一人は高校一年生で視聴者の皆が「この子は合格間違いない」と思うような人で、三次試験の面接で「舞踏が良かったと言われた」と感想を問われたインタビューで答えた。もう一人は高校3年生でたぶん合格できるのではと思ったが「さらりとした形で終わったが」と返答した。結果は舞踏がよかったと面接で言われた高校一年生のみ合格。
 3次の面接の中で合格を暗示するような発言を試験官がするなら2次試験で300人を100人に絞り込んだ直後には40人の合格者がほぼ決まっているのではないか。3次の面接は、旧司法試験のごとく、思想、人格等でとくに問題が無いか確認しているだけなのではないか。
 この一大イベントの模様は他のテレビ局も同様に行っているが、テレビ局にお願いしたい。不合格になりタカラジェンヌの夢を叶えられなかった人々が他の道で輝いている事例の特集を組んでもらいたい。


 宝塚歌劇団のタカラジェンヌのいじめによる自殺疑惑が昨年週刊誌で報じられた。ある意味治外法権とも言える、いわゆる学校では「いじめ」で済むかもしれないが、歌劇団は学校ではない。それが真実なら「犯罪」という言葉が適当だろう。なのに、理事長は、旧ジャニーズを他山の石とせず、事実を認めようとはせず、(それでも潰れることはない)学校の校長のごとく、いじめやパワハラはなかったと言い張る。

 驕れる者久しからずは平家だけを意味しない。6年目の団員からは(実態として拘束があるのに)労務管理が必要としない業務提携契約にしているが、それを労務管理が必要な労働基準局の対象となる労働契約に変更する必要があろう。労務管理から逃げ、結果として先輩団員のパワハラを見てみる見ぬふりとなる体制を変革しなければならない。
 宝塚音楽学校においてもいじめ疑惑が浮上した。人気に胡坐をかいたかのような旧態依然とした体制を見直すとともに、入試も含め運営方針は、修練に厳しさも必要だが「タカラジェンヌにさせてやる」→「タカラジェンヌになっていただく」へ改革すべきではないか。宝塚歌劇団のシンボルである「すみれ」の花言葉は、「謙虚」「誠実」である。

 2019年ミス日本の度會亜衣子さんと同年ミス東大の上田彩瑛さんは共に東大医学部。2020年のミス東大で東大経済学部在籍の神谷明采さんは水着グラビアに挑戦している(ネット上で物議を醸しているが、同じ才色兼備でも、TV『東大王』はよくてグラビアはダメなのか)。

 「天は二物を与えず」は、我々凡人に対しての慰めの言葉に過ぎない。白鳥も水面下では一所懸命水掻きで漕いでいるという話も。無理に漕がなくでも優雅に浮かんでいる。
 しかし、二刀流の大谷翔平選手や将棋の羽生善治永世七冠のごとく、斯界のトップに君臨し続ける人達は、孤高を厭わず見えないところでストイックなまでに努力している。
 「天は汚物しか与えず」としか思えない私のような石ころは、そんな眩しい輝きを放つダイヤモンド対しては嫉妬することはない。偉大過ぎてただただ感服するだけ。ダイヤモンドも磨いているなら、大勢いる石ころ達はもっと磨かなきゃと思うなら、世の中はよい方向に向かって行くだろう。

(次回203号は1/10アップ予定)