ことばの物語
〖福来郎〗
ふくろう
漢語で「梟(きゅう)」。
古来中国では、梟は成長して親を食うと信じら
れていて、親不孝鳥とされてきました。
漢字の成り立ちは「鳥+木」で、木に磔(はりつけ)
にされて祭祀に使われたところからであります。
『漢官儀』という古書に「夏至に百官(役人)に梟の
羹(あつもの)を賜うは、其の類(悪者)を絶たんと欲
するなり」とうあるそうです。
他に鴞・鴟鴞という表記もあります。
また、梟は夜行性であるところから、呪力を持
つともされていました。
和訓の「フクロウ」の語源は「鳴き声」からとする
ものですが、「毛がふっくらとした鳥」という説も
ありました。
日本ではこれに「福来郎」「福籠(こもる)」「不苦労」
等の字を当てて、逆に縁起が良い鳥とされます。
他に「森の物知り「森の哲学者」「森の忍者」(首
が270度回るところなどから)の別称があります。
古語では「飯豊(いいとよ)」とも言われます。
梟雄(きょうゆう)
荒々しく強い英雄。
悪事にたけて勇猛なところから、残忍で残忍で
荒々しいこと、またその人、悪漢の首領などを
いいます。
梟猿(きょうきょう)
親不孝者。凶悪忘恩の者。
※猿は父を食うと思われていたところから。
梟はローマ神話の学問の女神ミネルヴア(=
ギリシア神話kのアテネ)の使いとされています。
ヘーゲル曰く「ミネルヴァの梟は夕暮れに飛翔
する」と。
「・・・現実がその形成過程を完了してしまった時期
に世界の思想として現れる」。観念的なもの(学問)
は実在的なもを後追いして認識されるのみである
ということを言っています。
≪仏教語≫
〖迦陵頻伽〗
かりょうひんが
サンスクリット語の「クラヴィンカ」の漢音訳で、
極楽浄土、雪山(せつざん)に居ると言われる美し
い声で鳴く想像上の鳥で、上半身は美女、下
半身は鳥の姿をしています。
殻の中にいる時から鳴き始め、仏の声を象徴し
「妙音鳥・妙声鳥」などと意訳されます。
これから、技芸上達の象徴とされ、また天女の
原形とされています。
※日本では美しい芸者、花魁、美性の芸妓を
さすことがあります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫