ことばの物語
≪亡霊・幽霊・お化け≫
死んだ者が成仏できずに姿を現したものという点では、亡霊と幽霊は同じものでもありますが、亡霊は他に亡き者の霊、死者の魂という意味を持ちます。ただ、はっきり区別はできなそうです。
この世に恨みや未練があると、成仏できないと。つまり、
あの世に往きて生まれ変わる(往生)ことができないのであります。
お化けは本来あるべき姿や生きるべき姿から大きく逸脱し、変化した姿。変化して生きるところから「化生の物」とも呼ばれます。
亡ーない・ボウ
甲骨文字では「人の印」に「Ι印=ついたて」で、人を隠すさま。
この人の印は、屈肢葬の人の骨の形で、人がなくなるの意味を表す。
その屍に頭髪が残って草原に捨てられている状態が「荒」であります。
なかなかの出来でありますね。感嘆!
我利我利亡者
「がりがり」は硬いものをかじる音で、むさぼるような貪欲さを連想させ、それにうまく「我利我利」という字を当てたものであります。
何かしらの執着にとりつかれた成仏できない亡者にたとえたもの。
亡国の音(おん)
国を亡ぼすようなみだらな音楽。
音楽には狂喜乱舞させる音楽、勇気を与える音楽、心を清らかにする音楽などありますね。孔子は教育の基本に「詩・礼・楽」を掲げます。
もちろんここでの音楽は心を清らかに整える音楽であります。
「詩に興り、礼に立ちて、楽に成る」
詩を読んで奮い立ち、礼を習得して社会的な秩序の中で自立を図り、
音楽によって円熟した教養を身に着ける。
幽ーかすか・くらい・ユウ
「山」に「糸をならべたもの」で、山中が暗く幽かにしか見えない。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
もとは横井也有という人の『鶉衣』の中の俳文
化物の正体見たり枯れ尾花
2017.9掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編