私の名前はオリヴィア・ウォルター・ウィリアムズ。

宇宙移民4世代目のAXIS産まれ。

父は軍属で、デラーズ閣下の残存収容支援に向かった時、私はハイスクールの学生でした。

「何も出来なかった…何も…」

無事に帰還した父の重い言葉を聞いた時、17歳の私は同族にただただ想いを馳せることしか出来なかった。

後の世に言うデラーズ紛争…

私の記憶や思いは、ただ父の言葉や無念さでしか無い。

それを境に発生したティターンズの悪行…

だが母国ジオンは何を動くわけでは無く、私はただヤキモキする日々の中、交換留学でサイド3を訪れる事になる。

そこに私の中に秘めた思いを、家族の誰に伝える事もなく…


サイド3の交換留学、私は寄宿舎から家出をした。

アングラネットの情報で、ティターンズに対抗する組織、エゥーゴの諜報活動がサイド3にも有ることを知っていたからだ。

私はそこで運良くエゥーゴの諜報員と接触する事ができ、そのまま志願した。


エゥーゴ…反地球連邦組織。

父の無念も、私の想いも、受け止めるにこれ以上の所はない…

そう思い志願し受け入れられたが、彼らは私を諜報活動員として活動する事を望んでいた。

未だ少女である私は、そのような活動が適していると思われたのだろう。

私の希望はモビルスーツパイロットだったのだが、女の身では難しいと判断されたのかもしれない。

特に親のような優しい眼をしていたが、ヘンケン・ベッケナー中佐の眼は、優しくかつ厳しくその様に物語っていた。

それから2年余りの日々が過ぎ、私にとっての好機が訪れる。

UC0086年、反地球連邦組織として大規模な反抗作戦が始まるとの通達がなされた。

その為に多くのパイロットを欲してると言うのだ。

私はパイロット候補生に合格し、UC0087年ジム2のパイロットとして配属された。

短期間の内に新型モビルスーツ ネモに機種転換し、後にグリプス戦役と呼ばれた戦争末期にはリックディアスを受領した。

さまざまな事を乗り越え私は生き残った…

グリプス戦役終了時の、私の最終階級は少尉。

総撃墜数27機、自機損耗ゼロ。

運が良かった…

それが私のグリプス戦役の全てだ。

だが…そこに私の答えは無かった。


グリプス戦役終了後、戦力を大きく減らしたエゥーゴと地球のカラバは完全に同盟化する。

今やエゥーゴの代表とも言えるブライト・ノア、カラバの代表ハヤト・コバヤシの関係を考えれば当然とも言えるだろう。

だが…どうにも受け入れられぬ事が起きてしまう…

あのハマーン様がネオジオンを率いて、エゥーゴの敵となってしまったのだ…

いや…正確に言えば、グリプス戦役の末期に、すでにそうだったのかも知れない…

だがあの時は、私は従善として対地球連邦を貫けたので、そこまで深く考えずに済んだのだ…

だが…今回は事情が違う…

AXISが…母国が敵になってしまった…

もしかしたら父とも敵として直面するのかも知れない…

私は全てをブライト・ノアに話してみた。

心境を汲み地球に降り、カラバに合流する事を勧めてくれた。

その時は、愛機のリックディアスで降りろと。

私は地球に降りカラバに合流した、元ジオンの私ですら産まれに悩むのはバカバカしい事だ…

その様に受け止めてくれるハヤト・コバヤシは、ブライト・ノア同様に懐の大きい人だった。

反地球連邦作戦にばかり付いていた時にハヤトの訃報を聞く…

宇宙ではハマーン様も戦死したと後に聞いた…

後の世で言う第一次ネオジオン紛争は幕を閉じた…


その後に私は耳を疑う…

エゥーゴとカラバが、地球連邦軍に属すると言うのだ…

今の立場ではブライト・ノアやアムロ・レイの決断も分かる…

だがそれは、軍属として理解できるのであって、私個人の…人としての感情としては受け入れられ無い。

私はドダイ改と共に、リックディアスで脱走を計った。

脱走兵の私に対して、不思議な事に追撃は無かった。

私の素性を知る彼等からの情けなのかも知れ無い…


ジオンに産まれ、エゥーゴとして戦った私は、どうしても連邦軍に属する事は出来なかったのだ…


今の地球には戦争の名残が数多く、朽ち果てたままの戦艦等も多く残されていた。

機体を隠すことには困らなかった。


宇宙ではシャア・アズナブルがネオジオンを率いて、ブライトやアムロと戦った事も聞いた。

だが私はネオジオンに合流する気には成れなかった。

私に取っての祖国はあくまでもジオンであり、ネオジオンでは無いのだ。

そして軍属としてはエゥーゴでしか無いのだ。

私はネオジオン…地球連邦軍…

どちらに付くことも出来ない…

まるで天体ショーの様なアクシズショックを地球から眺め、そしてシャアとアムロが行方不明になった事を知った…


呪縛なのか?…

表現の出来ぬ心持ちのまま、まるで世捨て人の様な生活を送っていた。


そんな折…

古いジオンのコードに驚かされる。

「連邦に一泡吹かせる」

そしてその戦場は、オーストラリアだと言う…

もう何代前なのか分からない…

だが私の名前が、地球のオーストラリアの直系の名前だと言う事は聞かされ知っていた。


私は迷わずリックディアスとドダイ改に乗り駆け付ける!

私の血脈の地で、私の祖国の残党が連邦と戦うと言うのだ!

悩む事が何処にあろう?!

私はエゥーゴのマークを機体に抱いたまま連邦と戦う!


『今この時!全てに蹴りをつけてやる!』

これは私の怨念返しだ!