福島にいるときは、
だいたい始発で出社する。
始発といっても、
4時台の修行ではない。
車社会の福島は、
電車の間隔がながい。
体感では1時間に1本、
多くて2本。
すなわち——
一本逃すと次は30分から1時間後。
一本の重みが、
関東のそれとぜんぜん違う。
退勤だって、
仕事が終わったからといってサッと帰れるとは限らない。
「今出れば間に合う」
「今出ないと詰む」
——電車の鐘が生活のチャイムだ。
そして今朝。
始発に乗って最寄り駅へ。
乗り降りが終わっても、
なぜかドアが閉まらない。
ん?
故障?
トラブル?
ダッシュで駆けてくる人影。

運転手が気づき合図。
あぁなるほど——
——待ってくれている。
この一本を逃したら、
次はしばらく来ない。
その重さを、
みんな知っている。
神奈川で暮らしていたころの感覚なら、
「プシューッ」
——問答無用で閉まっていたはずだ。
ここでは、
一本分の時間を、
少しだけ分け合う。
開いたままのドアから、
冷たい朝の空気。
でも空気より少しあたたかいものが、
ホームに流れていた。
福島のやさしさに触れた朝でした。
また![]()
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