「相葉さん...相葉さん?」
頭の中でしょーちゃんと話をしていたら、うっかり櫻井さんの呼びかけを無視してしまったみたいで。
なんだかずいぶんとなで肩の角度が急になっている。
「さくらいさん...?」
「ホントごめんね。あのね、俺から説明させて?この赤いジュース、以前、潤が『自由になれる媚薬だ』とかっつって、出してきたんだよ。俺が全然積極的にいかないから、って」
「...積極的?」
「あー、うん、えっと...」
「翔さん、がんばれー」
「潤ちょっと、だまって」
「へいへい」
気の置けない二人のやりとりが羨ましい。
そして、こんな気持ちを抱えたまま、モヤモヤするのはいやだ。
しょーちゃんからも修行って言われた。
『向き合う』んだって。
目を逸らさないで、ちゃんと気持ちがあることを、自分自身で受け止めるんだ。
「櫻井さんと潤さん、いつの間にかとても仲良くなってて、羨ましいなぁ」
「え、相葉さん、それって...」
「相葉さんは翔さんにチカヅキタイってこと、ですよね、相葉さん?」
「だからじゅ...」
「ハイハイ、黙ります黙ります(笑)」
「オレ、櫻井さんにもっと近づきたい、です。仲良くなりたい。オレも翔さんって呼んでみたいし、雅紀って呼ばれたい」
「え、ちょっ、ちょっと、相葉さん?」
「久しぶりに、ちゃんと誰かを想うって気持ちになったんです。恋に出会ったら臆病になったり、誰かを羨んだり嫉妬したり、します」
「...うん」
「だけど、それって、大人とかコドモとか、男とか女とか、関係なくて、ただ、人が人を想うってことで、それで気持ちが揺れたりイヤな感情も生まれちゃうけど、それって、カッコ悪くも恥ずかしくもなくて、なんていうか....」
ジュースを1、2杯飲んだところで酔った頭はさえないけど、じゃあ酔った勢いでっていう勇気の出し方もあるし、もしあの赤いジュースがほんとに『自由になれる媚薬』だとしたら、隠したり抑えたりした本心を素直に伝えられるって思えた。
「そういうたくさんの櫻井さんへの想いを、伝えたいって思ったんです」
「相葉さん...それ、ホントの気持ちだとおもって、俺、受け止めちゃうよ?」
「...はい、受け止めてもらえたら、嬉しい...です」