『子供の情景』(ハナ・マフマルバフ監督、イラン=フランス合作、上映時間81分)

GOGO!府内5番街アフガニスタンのバーミヤンで、子どもが見ている世界と戦争を経験している痛みや苦しみを描いたものだ。監督は当時19歳の少女。イランを代表する映画監督のモセフン・マフマルバフが父である。彼女は8歳から映画を作っている。この作品で3作品目。


GOGO!府内5番街映画が始まった瞬間、大きな音たて、バーミヤンの仏像が爆破される映像が流れる。主人公は6歳の少女バクタイである。隣に住んでいる少年アッバスが字を読め、学校に通っていることをうらやましがっていた。市場で卵を売りノートを買ったが、お金が足りず、鉛筆が買えなかった。その代わりに色がうつる母親の口紅持って、アッバスに手をひかれて学校へ行った。しかし、男女は別々に授業を受ける。子どもたちは平等に教育を受けられない。

バクタイは川を渡って別の学校の場所へ行った。とにかく字を学びたくて、勉強がしたかった。途中で少年達に捕まってしまう。少年といっても、バクタイより少し年上くらいだった。少年達は、タリバンを真似ていた。ノートを取り上げ破き、飛行機を作り、戦闘機にみたてた。木の棒を向けて「処刑する」と言った。

GOGO!府内5番街戦争を見てきた子ども達は、暴力で解決しようとする。少年達が戦争ごっこしている間にバクタイは逃げ、学校にたどり着いた。そこでは、子供たちがあふれる笑顔で授業に参加していた。しかし、学校から帰る途中で、また少年達に会ってしまう。追いかけられるバクタイに、迎えに来てくれたアッバスがこう叫んだ。「死んだふりをすればいいんだよ」と。死んだふりとは、実際なら殺されることだ。

19歳の監督が子どもに近い立場で映画を描き、力があるものが全ての社会に疑問を感じていることに、私は共感した。バクタイの瞳は輝き、少年達の瞳は悲しみ、平和というものは心が平和でなければいけないと感じた。日本は表面的だけの平和だと思った。作品には世界中の人の心が豊かになるようにという願いがこめられているように感じた。(文は森本絵美莉)