2月9日(土)みなとみらいで世界的指揮者であり作曲家のサロネンさんの現代音楽についてのレクチャーが行われました。
以下は、サロネンさんが語られた「現代音楽の魅力」の要点です。
講演は一時間以上にもわたり、「そもそも作曲とは?」「現代音楽のミッションとは?」といった根源的なテーマについて熱い議論が展開されました。
1) 作曲一般について
・作曲家は誰しも永遠に残る作品を書きたい。しかし、永遠に残る作品とは何かについて答えはまちまちである。一定のレヴェルに達するだけでもほんの一握りに過ぎない。
・人間は「なぜ存在するのか?」といった哲学的な問題についてより複雑な世界により単純な答えを求める傾向があり、あらゆる人間の活動についてそれは当てはまる。
・芸術とは「美によってカオスを支配すること」。その試みは絶えず進展するが、決して終局には至らない。
・「善い音楽の条件」を敢えて挙げるならば以下の二つ。第一に大衆の感情の奥底の流れを時代精神として表現できること、第二にルールを厳密に守りながらもそれを逸脱すること。
・結論として「これさえ守れば良い音楽」という公式、魔法の呪文は存在しない。美は多様でありどこまでも広がってゆく。その多様性を切り開く点に作曲家の創造性は存する。
2)現代音楽一般について
・ブーレーズ・シュトックハウゼンを代表とする所謂ダルムシュタット学派(=セリー主義)について。作曲家は自らルールを作り出しそれを一般化しようとする傾向があるが、あまりにも数学的幾何学的な音楽表現は音楽芸術を豊かにするのか? そもそも自然や宇宙の無限の豊かさや感情の自然な流れを数量化してパラメーターのように表現できるか?(この点については、ブーレーズの「12音技法の必要性を感じた事のない作曲は必要ない」という(おそらく彼の50年代の発言)にも触れられ、それは反自由主義的であるというコメントもありました。)
・グリゼー・ミライユらに代表される所謂スペクトラル学派について。人間の側からの自然の表現ではなく、あたかも自然がそこで有機的に成長し発展するかのような音楽構成は大変魅力的。
・現代における民族主義について。インターネットが普及した現代において民族主義は単に過去の作品を都合よく切り張りするだけのともすれば安易なものと成り易い。現代における民族性の表現は、国際性と現代性において自分なりの言語を生み出す努力の中に息づかせるべき。
「努力しなさい、努力しなさい、ただひたすら努力しなさい」というサロネンさんの作曲の師フランコ・ドナトーニの言葉が引用され、白熱した講演は幕となりました。
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