2月3日まで東京都現代美術館で開催されていた「アートと音楽」展からのレポートです♪
真っ白な空間の中央に配置された円形の水色のプールに大小多数の磁器製の器が浮かべられ、衝突を繰り返すことでガムランのような音楽を奏る。
銀河のように大きく円を描きながら共鳴し合う空間世界はさながら異次元のカテドラルのよう。
時間の感覚を忘れ、別世界に足を踏み入れてしまったようです。
自然や宇宙のミクロとマクロの世界を視覚化し、それを音楽化する。
こんな世界は体験したことがなくとても新鮮なのに、あたかもずっとそこに自分が住んでいたかのような不思議な気持ちにさせられました。
あるフロアでは薄暗い空間に四畳半くらいの正方形の小さな茶室のようなボックスが。
「何があるのだろう」
と思いつつ身をかがめて入ってみると、何もありません。
しばらくすると、自分の心臓の鼓動や温かい血液の流れがさらさらと聞こえてきました。
外の世界では二台のピアノがはす向かいに「プラトンの洞窟の比喩」の文字を光で放射しつつそれを解読した音楽を時折鍵盤を奏でています。
「アートと音楽」展で特に感銘を受けたのがマノン・デ・プールによる<二度の4分33秒>。
あのジョンケージへのオマージュです。
素晴らしい映像と演出によってケージの真価を再考させられました。
ピアニストは全ての音楽の土台である<時>を奏で、聞き手は逆に現代生活のすべての制約である「時」に縛られる。
やがて映像はホールの外の木々のざわめきや風のそよめぎにフォーカスされて行き、私たちは自ずから自然の世界へと誘われます。
(写真はピアニストのみ実物。他はイメージです。)