◆むすびつき(しゃばけシリーズ17)
狐の妖を祖母に持つ江戸の廻船問屋長崎屋の若だんなと、妖たちが、江戸で起きる時間を解決していく「しゃばけシリーズ」の17作品目
わかりやすく柔らかい文体で、大人から10代まで読みやすい作品
◆オススメ ★★★★☆
今回一番のオススメは、
こわいものなし
猫又のおしろを通して知り合った夕助は、この世には妖も神もそして、転生もあるのとを知ってしまう。
転生があるのなら、もう、死ぬのは怖くない。英雄になれる、と喜ぶ夕助。
おそらく夕助は、転生前の記憶を持ちながら、夕助として転生できる、生まれなおけると思っているようだった。
転生への誤解をとくため、広徳寺の僧の元へ夕助をともなったが、ある事件をきっかけに、夕助は死んでしまう。
夕助の死のきっかけに関わった神が、夕助の望みであった転生をかなえることに。
夕助は、蝶や魚、そして九官鳥になり、若旦那たちと出会いなおしていく。
若だんなは、夕助の転生をきっかけに、長命である妖たちと、自分の別れを考えだしていきます。
親しい人と別れること、生まれ変わることによって、望みをつなぐこと、辛い今を次に託して生き抜くこと…。色々考えてしまいました。
貧しい人、あなたは幸いである。
天国への門は、あなたのために開かれている。
転生とは、違いますが……。
これに救われる人もいる反面、支配を受け入れさせる罪深さもあったことは、歴史も証明しています…。
好きな人たちとまた、巡り会いたい。
という、素朴な気持ちと、次があるならば、今は、そのまま受け入れようという気持ちを作ってしまう、罪深さ……。
物語自体は、優しいですが…色々考えてしまいました。