新月時刻 7月13日 11時47分頃
サビアンシンボル・かに座21度~歌っているプリマドンナ~

 

田舎育ちの僕が、都会で社会人生活をスタートさせた。


僕の就職が決まった時は、父さん母さんなんかは近所中に触れ回ってたけれど、最後の夕飯の時に、まさか泣くなんて。
あれはちょっとチクッてしたな。

 

新品の革靴がけっこう硬くって。
立ってる間、靴の中で指をモゾモゾ広げてみた。

 

信号が青になると、待ってた人が一斉に渡りだすんだけど、都会の人って歩くの速いな。

 

僕がいたのは小さな町で、電車は単線で2両編成。
電車に乗る人はいつも決まってって、みんなそれとなく指定席も決まってる。
たまに知らない人が暗黙の指定席に座ってたりすると、指定席になってない空席に座るくらで。
常連が常連の席を横取りしないっていうのも暗黙のルール。

 

懐かしいな。

僕の指定席には、誰が座るようになったんだろう?

 

時刻表を気にしないで家を出れるのには驚いた。マジスゴイ。
今までは一本逃すとホントに地獄!何したって遅刻確定!
都会ってスゴイ。次から次へひっきりなしに電車がくる。

 

なのにこの人。

 

この列を見ると、全員は乗れないんじゃないかと思うけど、乗っちゃうんだよな~。
毎日同じ時間に通勤してても、顔見知りになった人が一人もいない。

 

・ ・ ・ 。
なんか・・・電車を待つのに並んでる間が一番気が重くなる・・・。

 

乗り降りも自分だけモタついて。
手すりに捕まらないで立つって究極技すぎてよろけっぱなしだし。
並んでる人達を見てると、なんだか圧倒される。
念願だった会社に就職できたなずなのに。

 

このまま僕が電車に乗らないでも、誰も気にしないだろうな。
田舎だったら、ホームに行くのが少し遅れただけで、「アイツ休みかー!?」と話題になるのに。
あの薄ボケた緑色の2両電車が懐かしい・・・。

 

想像してたのと、ちょっと違った都会暮らし。
もっとイキイキとやってるはずだったのに、なんかしんどい。

 

その時だった。

 

僕の目の前を横切った女性に、目が奪われた。
伸びた背筋。さっそうと歩く姿から、凄く充実した生活を送ってるオーラが溢れてる。

 

凄そうだな・・・あの人・・・。


そうだった。ほんとは僕もああゆう風になりたいんだった。
かっこいいよな。

 

いつか、あんなふうになれるかな?

歩いてるだけで、人に「できる奴」と思われるようになってみたい。

 

後ろ姿を見続けてるうちに、鞄を握ってる手に力が入ってた。

 

今日も頑張ろう。

 

僕はいつもより大きく一歩を出して、来た電車に乗り込んだ。


~解説~

「歌っているプリマドンナ」は、人と同じ事をやりながらも、その中で誰よりも輝こうとするなどの意味があります。
輝くとは、一人だけ奇抜なことをして目立つやり方ではありません。
なので今回は、プリマドンナ役の女性を、通勤で人が溢れる中で、一瞬だけ登場させてみました。
夢を求めて上京した人が溢れるホームが今回の舞台。

その中で、さっそうと歩くだけで、輝きを表現できるのが今回の重要人物。
そして、プリマドンナが輝くことで、周囲にいい刺激を与える場面を表現したかったので、今回は刺激を受ける青年を主役にして、物語を書いてみました。
平凡な事をしてても、輝く事はできる。
珍しい事に取り組む事だけが、輝くための手段ではない。
大切なのは、「目の前のことに、誰よりも一生懸命になって取り組むこと」だと思います。
毎度の事ながら、上手く書けていないと思われますが、自信を失いかけてる時に、憧れの存在を目にした時の衝撃を想像して頂ければ、プリマドンナの存在感が理解出来るかと思います(^▽^;)

 

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