『DUNE デューン 砂の惑星 PART2』ネタバレの感想 原作以上の見事な映像化に感激 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 2021年10月公開の前作『DUNE デューン 砂の惑星』が原作を見事に映像化していたので、続編を心待ちにしていた。米国俳優組合のストの影響で2023年11月公開予定が遅れたのが残念である。

 イルーラン姫のナレーションから映画が始まった。原作もリンチ監督版もイルーラン姫が語り部になっているので、本当の『デューン』が始まった感じがして、ゾクゾクした。

 前作は原作3部作の第2部途中、ポールがジャミスと決闘して勝ち、ポールとジェシカがフレメンに迎え入れられる所で終わっていた。本作は全くのその続きで、ジャミスの死体袋まである。移動中にポール達がハルコンネン兵に襲われる場面は原作にないが、有り得る話で緊張感が増す。殺した兵士から(生きている兵士もいた)水を回収するのはちょっと残酷だが、水は貴重なので合理的かも。ジャミスの死体から水を取り出す儀式は、原作にもある。ポールも参加してもっと厳粛だった。ジャミスの妻と子を登場させても良かったと思うが、時間の都合か。

 ハルコンネンや密輸業者の運搬機と香料採取機をフレメンが破壊する場面は迫力ある。ガーニイとの再会は嬉しいが、ハルコンネンに捕らえられたメンタートのハワドの話はないの?

 ポールが砂虫乗りになる試練は、超巨大な砂蒸しが登場し、原作やリンチ監督版より迫力があった。ジェシカが南部の神殿に行く時や、大勢のフレメン達が南部に移動する時に砂虫に乗っていた。砂漠で生活するフレメンは、機械の乗り物より、砂虫を使う方が合理的なのだろう。でも、ジェシカが入った籠を乗せたり、大勢の人を乗せたりするときは、どうやるのだろう?

 フェイドの誕生祝の剣闘は原作にもあるが、剣闘場の広さに驚いた。しかも3人相手で、薬も「屑野郎」と言うと、相手の筋肉が動かなくなるトリックも無しに戦うとは、フェイドは本当に強いという事か。原作には登場しないマーゴットが、フェイドの娘を宿す。次作に関係するのだろう。

 このフェイドの強さと異常な性格を知った後なので、最後のポールとフェイドの決闘がいかに危険か分かり、リンチ監督版以上にスリルがあった。

 ジェシカがフレメンの教母になる場面は、ジェシカのお腹の中の妹である胎児も出てきて幻想的。その妹が成長した姿がちらっとだけ登場するのも嬉しい。やはり、次作で登場するのだろう。

 ポールが命の水を飲んで、リサーン・アル=ガイブになる。チャニは自分の名前の由来になっている予言の通りに、命の水につけた涙でポールを救う。予言はもともとベネ・ゲセリットが、自分たちの仲間がこの惑星で困難な状況に陥った時のためにフレメンに広めた物のはず。どこまでが本当なのだろう。

 銀色で周りの風景を反射するヨーヨー状の皇帝の宇宙船が美しい。この宇宙船を直接攻撃してもシールドに阻まれるので、背後の防嵐壁を核ミサイルで破壊し、砂嵐と砂虫を呼び入れる作戦は頭が良い。

 原作にあるが、ポールがリサーン・アル=ガイブになってからは、宗教的すぎるのが気になる。ポールが暴走気味で、チャニがポールの行動に付いて行けなくなるのも分かる。最後にポールがイルーラン姫を妻にした際に、ジェシカがチャニに「私達は名前こそ妾妃でも、歴史は私達の事を妻と呼ぶのよ」と囁く場面がない。だからチャニは怒って出て行ったのでは。ポールはチャニを失うのだろうか?皇帝への道には、大きな犠牲が必要だと言う事なの?今後の2人が気になる。

 原作はポールが皇帝を宣言する場面で終わるが、映画はフレメン達が大領家の艦隊を撃ちに行き、まだまだ続きそうな場面で終わる。原作の続編『砂漠の救世主』も映画化されるのだろうか?期待したい。原作を見事に(原作以上に)映像化していたので感激だが、宗教的場面やポールの暴走、チャニの別れが気になったので、評価は「4」である。原題は『DUNE PART TWO』で「砂丘 第2部」の意味。