おじじ 32歳 私19歳
おじじは高校教師 テニス部の顧問をしていたのでデートは部活を終えてからの夜が多く
誰もいない公園を歩きながら楽しくおしゃべりをしていました
植え込みに小さなダンボール箱がありました
何だろう
覗き込もうとした瞬間 おじじが強い力で私を引っ張りました
そんな乱暴なことをする人ではないので驚いて どうしたの❓と聞きました
もう死んでる
子猫が何匹かいて死んじゃってるから
おまえは見ちゃダメだと強い口調で言いました
ほんとに死んでるの❓
生きている子がいたら助けないとという私に
じゃあ 僕が確かめるからと箱を覗き込む
そして 箱の蓋を閉じました
カラスにいたずらされないように閉めておこうね
明日 僕が役所に連絡しておくから
大丈夫だから
もう 行こう
その時のことがずっと頭から離れないのです
死んでいるとはいえ そこに置いたままにした自分の冷酷さ
今でも夢に出てきて 助けられない自分に泣いて おじじに起こされる
その日のデートは汚れたおじじの手を大泣きしながら濡らしたハンカチで拭き続けたこと
そんな私を困った顔で見ていたおじじの顔
が思い浮かびます
見て見ぬふりするのも子猫を捨てた人間と同罪
こんなことが二度とあってはなりません