向上心のある男が好きだった。

一緒に登っているって勘違いをしていた。

『私、あげまんなの』

自意識過剰もいいとこ。

上げるふりして、引き摺り下ろしていた。

重たい依存という石を彼に積み上げて。

無意識だったんだよ。その時は。

私なりに必死だった。

どんどん登っていく貴方に置いていかれないように。

自分で進めないから、貴方に石を乗せて…

『先に行かないで。一緒だって言ったじゃない』

って。。。

最初はね。

それでもいいってお互いが思えている。

恋は盲目だからね。

でもね。いい男はそこで気がつくんだよ。

『このままじゃダメだ』って。

そして、沼から這いあがろうともがく。

置いて行かれる方はたまんない。

必死にしがみつく。

でも、待ってるのは沼。

抜け出す方も必死。

このままここに居たら沈むだけって、分かってるから。


私はいつもそんな恋愛ばかりだった。

自分で自分を満たせないから、必死に貢いで依存して見返りを求めて。

そうなると自分がどうしたいのか、どう在りたいのか分からなくなる。

ブレブレ。

グラグラ。

自分軸のない女なんて、オ○ホと一緒。

ヤレればいい。

精神的つながりなんていらない。

それでも私は、無理やり肯定していた。

心では泣いていたのに。

愛されている事を前提にしないと自分の価値がないと思っていた。

自分の価値は自分で作るもの。

相手ありきの価値なんて意味がない。

『手に職あるし、自分1人でも生きていけるけど?』なんて価値じゃないからね。

それは、ただ、経済的に自立してるってだけ。

『幸せってなんだろう』

って考えなくても毎日笑っている。

それが自分を満たすと言う事。

何者でもない自分でも、笑ってられる。

愛する人を失う時、自分を見つめ直すチャンスだと思う。

そこから学ぶことは人生で大きな意味があるのだと思う。

同じ事を繰り返さないためにもしっかりと向き合っていきたい。

そして、何者でもない自分を認めて自分で自分を満たしていきたい。