J.S.ミルは、「人間としての尊厳を盲目的な快楽により捨て去ることは家畜に落ちるようなもので、まさに、このような表明をする者は、満足した豚に似ており 『満足した豚であるよりは、不満足な人であるほうがよく、満足した愚か者であるよりは、不満足なソクラテスであるほうがよい』。なぜなら、愚者は物語の片面しか知らないが、賢者は両面を知っているから」と述べている。また「高級な喜びと低級な喜びを区別する方法はただ一つ。両方を経験した人が、それを好むかどうかである」とも述べているが、ニーチェも同様に、「悪魔を放り出そうとして、自分のなかの最善のものを放り出さないように注意せよ」と述べている。

 人間は理由に基づいて行動するとき理性的と呼ばれるが、その動機といえる理由は 、人間としていちばんたいせつなものを含むべきだと思う。