ある人が、一羽の不思議な鶏を飼っていた。

それは幸運の使者みたいな鶏で、一日に一個ずつ、金の卵を生んだ。

殼も中身も純金でできた大きな卵だった。

おかげで飼い主は、日ごとに金持ちになっていった。その金を湯水のように使って、贅沢三昧で暮らすようにもなった。

すると、だんだん、一日一個の卵を得るだけでは足りなくなってきた。もっともっとたくさんの卵が一度に欲しくなった。それにはどうすればいいかと考えて、飼い主はハタと膝を打った。

「そうだ。この鶏を殺せばいいんだ。一日に一個ずつ必ず生んできたんだから、こいつの腹の中には、これから毎日生む金の卵が何百個も詰まってるに違いない。それを全部一度にいただこう」

というわけで、飼い主は、嫌がる鶏を無理やり押さえつけ、絞め殺し、腹を刃物で裂いて卵を探した。しかし、いくら探しても、そこには一個の金の卵もなかった。

「どうしてないんだ!。この役立たず、チクショー」

そう怒って罵る飼い主の前に、もう何も生まなくなった憐れな鶏の死骸が転がっていた。(終)



(/_;)まるで新自由主義政策を選択した国を皮肉った話みたいだが、これはイソップ物語の話です。それを考えると人間は進化ではなく、退化しているようにしか思えない。