どうもご無沙汰です。
久々に書いたので、どうぞ。


風よりも早く。

何よりも早く。

僕は彼らから逃げる。

命差ながら僕は必死に逃げるんだ。


彼らに滅ぼされないように。


チャールズ・ダーウィンは言っていた。
『生き残れるのは、強い者でも賢い者でもなく、変化できるもの』だと。

しかし、それは身分ヒエラルキーの
カースト制度で言う
バラモンとかクシャトリアの身分だけだろう。

僕が言うのもなんだが、僕らのようなアチュートにはそもそもの権利がない。

そう、この弱肉強食と言う名の理不尽な世界では。


僕は家へ帰ってきた。

家。果たしてここは、家と言えるのだろうか。

僕らは息を殺して、ここに棲んでいる。彼らに見つからないように。外の世界は怖い。そう生まれ落ちた時から叩き込まれていた。

一体、僕らは何か悪いことをしたのだろうか。

僕はしていない。これだけは、胸を張って言いきれる。裁かれる義理はない。

しかし、彼らに正論は通じるのだろうか。
いや、通じないだろう。

それが世間だ。


僕だけじゃない。

ここにいる仲間みんなが
彼らに危害を加えたことなどない。

では、なぜ彼らは僕らを毛嫌いするのだろう。

そう、仲間に訊ねたが
『それがこの世界の掟だ。ただ生きたいなら、風よりも早く逃げる。それだけだ』と言われた。


そう僕らはただ生きたいだけだ。


嫌われようがただ生きたい。


昨日、仲間が殺られた。

僕らはただ生きたいだけなのに。

殺られてしまった。

怒りや、哀しみはなかった。

きっと、諦めているのだろう。

それとも、僕は僕として生きているのではなく、僕らとして生きているのかもしれない。

個でありたいと思いつつ、個としては生きられないのかもしれない。

それでも、僕は僕でいたい。全の中の一なのかも知らないが、僕は僕でありたい。

仲間の分も生きていたい。
いや、生きてやるんだ。どんな、手を使ってでも。


今日も僕らは隠れる。暗い狭いこの家で。

彼らの近くで彼らに滅ぼされぬよう。

この腐れ切った世の中で変化を求めて。

今日も生きるんだ。





Question
この僕とは何でしょう?