家の隣のコンビニにいつも見知らぬ女がいた。
 
気になってレモンティーをおごってから

会話友達みたいな関係に

 → ある日、女は俺を見た瞬間

泣きだしてしまう 理由を聞いてみると...





当時俺が済んでたボロいアパートの

隣にはコンビニがあった。





いつも仕事帰りにそこで飲み物買って

タバコ吸って家に帰るのが日課だった。


そんなある日、俺がいつも通り飲み物を

買って外にあった喫煙所に行ったら、






見知らぬ女がいた。


歳は高校生くらい。

まあそれが嫁だ。


嫁は特に何もすることもなく、

なんか喫煙所のところにある

自動車のタイヤ止めのブロックに座ってた。




俺も特に気にすることなくいつも通り

タバコ吸って帰った。


それからちょくちょくそのコンビニで

嫁を見るようになった。


まあ赤の他人だし、我関せずを徹していた

それでも不思議に思っていた。


いつも決まった時間にそこにいて、

何もせずただぼーっと座っていた。


それから結構月日が経っても、

毎日ってわけじゃなかったけど、


けっこう頻繁に嫁はいつも決まった

時間にそこにいた。




さすがに気になり始めていた俺は、

何となく、座る嫁に話しかけてみた。


「キミ、いつもいるよな」

「え?」

「いや、いつもこのコンビニに
いるなって・・・」

「ええ、まあ・・・」

「前から思ってたんだけど、何してんの?」

「別に。時間潰してただけ」

「帰らないの?」

「帰れない」

実際はもっと不機嫌だった。

帰らない理由を聞いても答えなかった。

そりゃ、見ず知らずの男にいきなり

聞かれても普通は答えんな。

でも、なんか複雑な事情が

あるんだろうなって何となく思った。


で、その日は少し肌寒かったから、

ホットレモンティーを買って嫁にやった。





嫁はビックリしてたよ。びっくり

なんかめっちゃ警戒する目で

こっち見てたけど、真顔

「寒いだろうから、それ飲んで温まってよ」

と言い残して、そそくさとアパートに戻った。


その次の日、いつものように

コンビニに行くと、嫁が珍しく立ってた。






そんで俺に気付くなりちょっと


照れくさそうに「昨日は飲み物ありがと」

って言ってきた。


そっから、俺の日課に嫁との
会話が加わった、

どうでもいい話ばっかりしてたけど

嫁は高校に行ってなくて、

いわゆるプーだった。




そんでかなり話すような仲になった頃、

家に帰れないと言った理由を

自分から話してきた。

嫁の親はシングルマザーらしいけど、

どうもネグレクトだった。

家に男を連れ込んで、

その間は嫁を外に出す感じだった。

一度母親が連れてきた男が嫁を

襲おうとしたことがあったらしい。





それを母親に行ったら男を怒るどころか、

嫁が横取りしようとしていたと思ったらしい。

それから、男を家に連れ込む時は

出て行かされてるらしかった。

警察とか児童相談所に相談した方が

いいって言ったんだけど、

どうせ頼りにならないからって断ってた。

なんかモヤモヤしたけど、

やっぱ赤の他人である以上、

それ以上のことに踏み込めず、

結局会話友達みたいな関係のまま
過ごしていった。


そんなある日、いつものように

コンビニに行くと嫁がいたんだけど、

俺を見た瞬間泣き出してしまった。






どうしたのか聞いてみると、

また男(別のやつ)に襲われかけて

逃げてきたんだとか



それを聞いて俺は久々に

ブチ切れそうになった。💢


すぐに警察に行こうと言ったが、

嫁はそれを拒否した。


警察に行けば根掘り葉掘り聞かれるし、

そもそも自分が警察に何度か

補導されたこともあるからどうせ

自分が怒られて終わるって言ってた。


俺はどうすればいいか分からなかった。


親権は向こうにあるし、赤の他人の

俺じゃ警察に頼るくらいしかない。

でも、それは被害者である嫁が拒否している。

悩みに悩んだ挙句、俺は嫁を自宅に入れた。





最初嫁は警戒をしてたけど、

もちろん手なんか出さなかった。


そんなことが目的じゃなかったし

母親に言わなくていいか確認したけど

どうせ好きにしろって言うって言ってた。


淡々とそう話す嫁を見て、なんか無性に

可哀想に思えてしまった。


それから、嫁に何かあればこの部屋に

逃げ込めと言って合鍵を渡した。

嫁は私が物を盗むかもって思わないのか

って聞いてきたけど、

そんなことするのか?って聞き返したら

首を横に振ったから、

だったら大丈夫だろって言って

無理矢理渡した。

それから、嫁はコンビニじゃなくて

直接俺の部屋に来るようになった。

まあ、今考えれば相当危ない行為だったな。


嫁と二人でいる時は本当に楽しかった。






嫁は若くて会話についていけない

こともあったけど、

いつの間にかまるで本当のようになっていた。


ご飯を一緒に作って、テレビを見て

談笑してゲームして盛り上がったりした。

言うまでもないが、手は出してないぞ、

正直悶々とすることはあったけど、

そんな理由で家に入れてるんじゃない!

って自分を律してた。


そんな生活が続いたある日、

いつものように飯を食ってたら

いきなり嫁が泣き出した。





どうしたのかって聞いたら、

「小さい頃からこんな風に幸せに

暮らせる家族が欲しかった」

って泣きながら言ってきた。

それ見ながら、俺も泣いたよ。

泣きながら気付いたら嫁を抱き締めてた。

そんで、

「それなら俺がずっと幸せにしてやる」

って言った。

まあ、これがプロポーズになるんだろうな。

まずは俺の両親に話を通した。

書き忘れてたけど、当時俺25歳、

嫁17歳な、両親はすげえ驚いてたよ。

それで最初は反対してたけど、俺

「反対されても、勘当されても俺は

嫁と結婚する」

って言ったら、ようやく認めてくれた。

次に嫁の母親だったけど、

これはある程度簡単だった。

予め嫁から聞いてた話から、

金にガメツイ感じがあった。


だから挨拶に行った時に、現金で

7桁渡して、





「これで結婚を認めてください」

って言った。

そしたら嫁の母親、初めて会った

俺の話なんて大して聞かずに

金を数えながら

「こんな娘でいいならいくらでも」





って言いやがった。

嫁は隣で泣きそうになってた。

金で売られた気分になってたかもしれない。

もちろんそれは俺のせいだったんだけど、

それでも無性に嫁の母親を

ぶん殴りたくなった。


嫁には悪いけど、ホントにクズ

な親だったよ。

それから婚姻届を出して、

晴れて俺達は結婚した。






結婚して速攻で俺達は引っ越した。

もちろん、嫁親には引っ越し先
なんて教えなかった。


本籍は俺の実家にしたし、

俺の実家は3県跨いだところにある。

(もちろん、嫁の母親については
両親に説明済み)

それに俺の話なんて一切聞いて

なかった母親が俺達の居場所を

突き止めるのなんて不可能だったはずだ。

仕事場の信頼できる上司にも相談して、

俺は別の県の支店に異動して、

嫁の母親と嫁は完全に絶縁になった。

それ以降、嫁の母親がどうなったのか
は知らない。


一度嫁に本当に良かったのか聞いてみた。

そしたら嫁は

「私の家族は俺だけだから」泣き笑い

って笑いながら言ってた。


もしかしたら強がりだったかも

しれないけどなそんな嫁を抱き締めたよ。

それから本当に幸せに暮らしてる。

若いから浮気とか大丈夫か?って

友達に言われたけど、全くないな、

嫁は今でも俺にべったりだし、

アルバイトはしてるけど、勤務時間が

終わるとすぐに家に帰ってきてる。


だから俺も心から嫁を大切にしてるよ。

これで終わり

それで先日、ようやく結婚式が出来た。





披露宴については、嫁の居場所が

ばれたりしたらマズいからしなかった。

だから参加者は俺の両親だけっていう

ホント小さな結婚式だったけど

それでも嫁はずっと泣いてた。悲しい

泣きながら、最後に俺に言ってくれた
言葉がある。

「私の人生は、それまで最悪な

ものだったし、

何度も生きていくのが嫌になってた」


「それでも、あなたと結婚出来た

今は最高に幸せです」

「あの日、あのコンビニで私を

救ってくれてありがとう」

「これから一生かけてあなたを愛し続けます」





俺、号泣しちゃったよ。えーん

いい歳した大人が恥ずかしいな。


以上!!


END