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     season5

    episode19

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優しく我が家が出迎えてくれた。

おかえり!と

我が家の玄関が

受け入れてくれた。


野根澄しそ美は5連勤を

我武者羅に働き切った。

社内の目標、60万は

売り上げられなかったかも

しれないが

きっと今までで1番

売り上げたかもしれない。


1時間1人いくら売り上げようなんて

誰も考えもしないのがパートだ。

退勤時間が近づけば

帰りの夕飯の材料を思い浮かべ

時間が来たらさっさと帰る、

それがパートタイムウーマンだ。


しそ美は

ジャンヌ・ダルク?らしく

今日の売り上げ目標60万の為に

声出しをしながら売りさばいたが

切ないかな、同僚からは

その姿は冷ややかに映り、

まるで滑稽に映り、笑われ

陰口を叩かれた。


それぞれのモチベーションの違いが

"頑張る人ほど阿呆"となり

"適当にやりこなす人が利口"

のジャッジとなる。

そしてそんなことには

上司は無頓着だ。


「1パートが社員並みに働いてばかみたい」

仕事中の同僚の言葉、

そして

「野根澄さんみたいには出来ない」

という反発、

そんなモノとの戦いから18時、

しそ美は解放された。


帰り道の夕日が眩しかった。

切なかった。

まだ明るい夕暮れに

マスクの中に溜まる涙が恥ずかしい。


群衆の中で働くと

頑張ってもこんな思いをする。

頑張り度は

人より低くても叩かれるし

人より高くても叩かれるのだ。


(あぁ、やっぱりわたしは人の下で働きたくない)

(自分が社長がいいや)

そんなことを考えながら

意地悪な同僚の顔を

思い出しては悔し涙が流れた。


"1人1時間2万は売ろう!"と

しそ美のそんな言葉に

ついていけないと

落ち込んだ同僚の気持ちにも

寄り添えなかったことや

働き方のモチベーションの違いは

人それぞれだということにも

悲しい涙が出た。


(1人で働く方が合ってる…)

そんな風にも思った。


我が家につくと

蒸し暑い部屋の空気が

しそ美を抱きしめてくれた。


しそ美お手製の

my神棚に手を合わせ

産土様と天照大御神様と

瀬織津姫様に

(…今日仕事、物凄く頑張ったんですけど、こんな思いになってしまって、悔しくて悲しくて、涙が止まりません)

と言った。


(だけど、5日間、全力で働き切りました)

と言った。


(そしていつもお導きとサポートをありがとうございます)

と言った。


ズルズルの鼻をかんで

少しだけ

田貫登真斗の顔を思い浮かべた。

登真斗の声が、聞こえた。


「なんやろな~!悔しいよな!でも頑張ったやん?次会ったらいっぱい、」


次会ったら、のところで

もう、そんなことも無い現実に

幻のようなあの日々を思い出して

悲しくなってまた泣いた。


子供らがまだ

帰ってきていない部屋で

1人泣いた。


泣いたあと、

昨日買ってきたステーキを

モリモリ食べて

ホタテのお刺身も食べた。


ハイ‼️悲しみもう‼️お終い‼️


明日から三連休だ。

7/29.30.31と

7月を有終の美で終わらせよう‼️


さあ我が副業に

とりかかろうじゃないか‼️


悔しさも悲しさも愛しさも

みんなまとめて

副業の情熱に変えてやる‼️


切り替えよっ。

あんなパート、

やらなくていいくらいの

一生の仕事を手に入れよっ。


静かなる青い炎。

冷静で熱い情熱を

この胸に宿す。


しかし

悔しさと切なさの悲しみを

思いっきり味わえたのは

きっとこの後絶対

いい事があるんだ、とわかっている

しそ美がいたからだ。


そういえば前にも

なにかこんな経験

したことがあった…

そしてそのあと

劇的な良い変化になった気がする。


だから大丈夫なんだよ。

自分に言い聞かせた。

やったぜ‼️また上がれるぜ‼️

次元上昇だ。


野根澄しそ美はもう

この宇宙の法則を

マスターしている。

しそ美は今日までの皮を

また

脱ごうとしていた。*∅


2024.7.28

道照 月子

~season5episode20へ続く~