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    episode66

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なんてデリカシーがないんだ!

だから嫌い!

夫婦円満仲良く生きて!


野根澄しそ美は

田貫登真斗との電話を

思い出しては

悲しみから怒りに変わった


そして

自身の境遇を哀れんでは

なんでわたしは

愛されないんだろう!と

腹が立った


元旦那にしろ

登真斗にしろ

わたしの存在って何?

大きな愛で理解しろ?

ふざけるな!わたしは女神じゃない

しそ美はムカムカしながらも

どこに気持ちを向けたら

この感情が落ち着くのか

探っていた


今ごろ登真斗は切り替えて

"あいつが来ないならもういいや"

"他の女とワイワイ話そうかな!"

きっとそう思ってるに違いない!

そんな嫌な妄想ばかりが

グルグルした


本当は会えるはずの今夜を

登真斗が近場に来ている今夜を

無視して会わない決断に

これでいいのかわからず

モヤモヤしたが


濃いめの塩風呂に入り

早々にベットに入った


1日働いた疲れで

身体は喜んでいる

まぶたは今にも閉じそうだ


(連絡くるかな…)


そう思う気持ちに

まだ思うか!?と

弱気の自分にも苛立ちながら

だけども通知音は最大にして

しそ美は目を閉じた


遠距離の登真斗が

そばに来ている

会いたいような会いたくないような

モヤつく気持ちを振り切りながら

しそ美は目を閉じた


眠れないかもしれない、

そう思っていたのに

目覚ましの音と共に

朝が来ていた


"仕事お疲れ様"

0:17に

登真斗からのメッセージ


自分が言われたかった

言葉だろうか、、

登真斗からの言葉に

まだ連絡くるんだ…と

頭がぼーっとして働かない


朝日を浴び

お弁当を作り子供を送り出し

ふと見る広告の数字

エンジェルナンバー1111


(これでいいよね!!)

(何とか乗り切った!!)


しそ美は力がみなぎるのを感じた

落ちた時間は昨日の1日

しそ美はまた本道に戻れた気がした

(これがお試しってやつだな)と

ハッとした


ああだこうだと

デリカシーのない登真斗に

苛立ち傷ついたけど

登真斗は包み隠さず話しただけ

嘘をつかなかっただけ。


本当の自分はどうしたい?

本当に望む未来って何?


しそ美は心の奥の奥にあった

夢みたいな話を

ひっぱりだした


(…本当は登真斗と死ぬまで一緒にいたい)

(本当は死ぬまで登真斗と暮らしたい)

(本当は我が子のように保護犬を可愛がったりして一緒に暮らしたい)

(本当はお互いの子供たちの孫が遊びに来るような暮らしをしたい)

(本当は…登真斗の奥さんとも和解して繋がれたらいいと思ってる……)


涙で前がみえない


だけど

そんな夢のような現実を

創れるのは今の自分だ


急には無理

わかってる


やることやろう

あとは宇宙におまかせだ…


しそ美はこの

激しくきつかったお試しを

乗り越えた気がした


登真斗はどうかわからない

あきらめたかもしれない


だけど

しそ美はまた力がみなぎった


力強く階段を1つ、

上がった気がした。*∅


2023.10.3

道照月子


#ツインレイストーリー#大人の童話

~episode67へつづく~