☆或る日のラジオ欄

 極最近のと或る土曜のラジオ欄。
 今回は、最新のラジオ番組から見えるラインナップを駆け足で観てみようと思う。

 まずはAM。
 一番歴史の古いNHK第一。
 朝8時すぎから山カフェと言ういきなりコアな情報バラエティ。
 パーソナリティは"世界の車窓から"石丸謙二郎。
 山好きなのであろう。
 「真打ち競演」は長年NHKラジオで放映されているお笑いのトラッドをカバーする貴重な芸能番組。
 「文芸批評」もこの日は俳句。
 トレンドに流されないthe NHKならではの大道番組が軒を連ねる。
 お昼のニュースを15分間挟んで老舗中の老舗番組「ひるのいこい」は古関裕而作曲の古き良きニッポンのラジオ番組を今に伝える馴染み深いテーマ曲で始まる。
 「ラブヒッツ」「ミュージックバズ」と言うトレンド系番組が1.5時間続き、2時からは「ハッキヨイ!」と言う4時台の大相撲中継に繋げる為の相撲バラエティと思える。
 パーソナリティは能町みね子アナとはなわ。
 はなわは弟のナイツ宣之と兄弟揃っての相撲好きとしても知られている。
 夜は関西発「上方演芸会」で定番お笑い番組の後はらじらー と言うバラエティ番組。
 出演者は誰も彼も分からない。
 午後11時からのニュースの後は小稿でも過去に取り上げた「ラジオ深夜便」。
 この日のパーソナリティは森田"チコちゃん"美由紀アナ。
 翌朝5時までの長丁場。
 以上がNHKラジオのと或る土曜日のラインナップ。
 民放AMは知っているものだけを摘み喰いして行こう。
 TBSはラジオもテレビも民放のNHK、報道のTBS、と言われる位ニュースに力を入れている。
 今回は取り上げないが平日午後10時からの荻上チキのアクション などはその典型。
 他社のバラエティ番組の時間帯も報道時事問題を取り上げるし、昼間のバラエティ番組内でも記者がスタジオ入りしてニュースを読ませたり、荒川強啓のデイキャッチなどはラジオ版時事報道モノで1日のラインナップでもその数は他社を圧倒している。
 数年前からプロ野球のナイター中継も撤退した。
 土曜日の早朝、6時から1時間はとんねるずの片割れ木梨憲武がパーソナリティを務める「木梨の会」。
 9時からは昔、永六輔の土曜ワイドラジオ東京 だった枠は直後から引き継いでいるナイツのちゃきちゃき大放送 で固まってきた。
 浅草出身で師匠は内海良枝、桂子であり今や東京芸人の代表格となったナイツと出水麻衣アナが小気味よく番組を運ぶ。
 最初はやはり抵抗もあったが最近は、定番化してきた。
 9時台に御意見番 やくみつる 11時台にみのもんた がそれぞれ辛口時評を繰り広げている。
 4月の番組改編から毎月最終土曜日には毒蝮三太夫(昭和9年生まれ)のミュージックプレゼントが組み込まれると言う。
 そして昼過ぎの1時からは「ラジオに帰ってきた…」と生前の大瀧詠ニならぬ大瀧詠一も喜んでいた久米宏のラジオなんですけど 秋田出身の堀江美香の美人アナがアシスタントを務めている。
 美人天然アナとして名を馳せ、90年代にはテレビ王様のブランチでもアシスタントを務めた。
 法政大学法学部出身の才媛で、同局同期にはフリーになった小島慶子、小川知子がいる。
 久米は変わらぬ個性を発揮し続けている。
 やはり、この人は生放送が命のアナウンサーだなと思う。
 3時からは大学の後輩久米宏の2期歳上の大沢悠里のゆうゆうワイド 若かりし日には現役時代のはっぴぃえんども出演したテレビ「ヤング720」の司会を務めたりした。
 平日午前中から週一のこの時間帯2時間の番組に縮小されたが2度の入院歴がある大沢の人気の程を物語っている。
 五時からはこちらも長年に亘り放送されている中野浩一の番組。
 自転車界の第一人者による競輪盛り上げ番組である。
 6時以降8時台までは野球中継無き後の比較的歴史の浅い番組が並ぶ。
 司馬遼太郎、田中みな実、藤田ニコル、チェルミコというラインナップ。
 一方の1134文化放送。
 早朝5時台にいきなり町亜聖みんなにエール がある。
 元日テレアナウンサーでエキゾチックな容姿だが与論島出身の父親を持つ純日本人だ。
 出身は埼玉県蕨市で元フジテレビの小島奈津子アナと同郷である。
 同局同期には矢島学、魚住りえがいる。
 以降いとうあさこ、村上信五、菊池桃子、トレーディーエンジェル、ロンブー淳らが番組を飾るが、一番の注目は3時からの伊東四朗、吉田照美の親父パッションは長年続く安定のバラエティだ。
 文化放送は昔から若者層をターゲットにした番組づくりが得意だが、この番組はかつての若者向けである吉田照美とその親子ほどの差がある伊東の軽妙洒脱なトークセッションを楽しむ番組である。
 昔、江戸っ子の定義を探るNHK Eテレの番組で本当の江戸っ子、小林信彦と黒門町出身で所謂、江戸ことばを喋れる芸人、伊東の対談番組のナレーターを吉田が務めており、その粋な計らいに胸が熱くなったものだった。

 さて、同日のニッポン放送のプログラムを見て行こう。
 早朝5時からはいきなり徳光和夫の番組。
 いつかは出てくるだろうと思いつつ、満を侍しての登場だ。
 日テレ時代から自ら"私はサラリーマンアナウンサー"と公言して憚らず特に朝の情報番組「ズームイン朝」は、あの人差し指をカメラに向かって差す時の目のアップが視聴者から"怖い"と批判されても辞め無かった。それどころか、指を差す前の振りかぶり方に今日は巨人の小林投法で、とか西本❗️とか、変な拘りを示し、己の良いと信じるアイデアをとことん突き詰める、というB型気質は他者を圧倒。
 長嶋茂雄を愛し、最初の監督を辞任した時も番組で五分間に亘り…あれは辞任ではなく実質的な解任に等しい!と自論を展開し、処分を受けた。
 逸話の多い徳光の番組の後は、元ニュースステーションの名花乾貴美子の番組。
 そして和田アキ子のいい加減に1000回は11時から2時間枠。
 土曜の午後のニッポン放送は天野ひろゆき、渡邉美樹、そして三村マサカズ&小島瑠璃子と言う美女と野獣コンビが5時からの30分間、以下NOKKO、キスマイ、唐沢寿明、山崎育三郎、鈴木亮平、藤ヶ谷太輔、中居正弘とバラエティーに富んだ布陣である。

 こうして見ていくと各社の特色が手に取る様に判る。
 ラジオやテレビは半国営、民間でそれぞれ運用しているが、有事の際は電波法で一定の制限を受けることになっている。
 国や内閣は普段は言論の自由の下、涼しい顔をして澄ましているが、国家の重大な危機に瀕した時には自由な報道は一層され、国家統制下のもと戦前の様な情報統制が為される。
 そのことを国民は肝に銘じておかねばならない。

次回はFMの現状を追いかけてみる。