ジッターの検証 DDC導入

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デジタル信号は不変であり、それゆえ、その音質もまた一定である。

そう考えられていたのは昔の話で、その出力段の構成によって音質は大きく変わることが今や常識となっている。そして、今日においては、デジタル領域においても、人が感知出来る劣化が起る事が証明されつつある。それがジッターの存在である。

ジッターとは時間軸の揺らぎである。もう少しわかりやすく言うと、レコードで言えばターンテーブルの回転速度のムラである。例えば、レコードは早く回ればリズムが上がり音が高くなるし、遅く回ればリズムが下がり音が低くなる。これはデジタルデータでも同じで、クロックが早くなったり遅くなったりすれば、再生音が歪み、録音時と再生音の差異となる。

しかし、ジッター値が大きいと言われるパソコンの時計の秒針を眺めても早くなったり遅くなったりするなんてことは無い。

時間軸の揺らぎといってもそれは1秒より遥かに短い周期で起こっているためだが、この波打ったクロックに音楽を乗せると、音質の劣化と言う形となって知覚される事になるらしい。

クロックの制度によくppmと言う単位が使われるが、実は直接音に関係ない。これは恒久的にどれ位時計がズレるかと言う単位で、オーディオ的に問題なのは、1秒間に何度も早くなったり遅くなったりすることである。

つまり、オーディオでは一日一分ズレたとしても、正確に一定の速度で時を刻んでくれれば良いクロックと言えるのだ。

クロックと言うのは、電源のノイズや電磁波の影響を非常に受けやすい。そういう意味ではPC内はクロックにとって劣悪な環境と言える。

そこで、もう少し良い環境でクロックを生成して、そちらのクロックでオーディオ信号を作る事が出来るのがDDC(デジタル トゥ デジタル コンバーター)である。

DDCには多才な機能が備わっているが、その要はあくまでクロックである。


うんちくはさておき、問題はDDCによるリクロックで音は本当に変わるのかである。考えていてもしょうがないので実際購入して検証してみた。白羽の矢を立てたのはJAVS X-DDCである。DDCの性能はPCのドライバやアップサンプリングなどソフトウェア系と、クロックを少しでも正確に作動させるハード系の設計で決まると思われるが、ソフトに関しては韓国人は日本人より得意だろうし、コスト的にもアドバンテージが大きいと言う安直な考えである。リップルの影響を受けるバスパワーを回避できるDC入力があるのもポイントである。

結線を終え、1時間程通電させてクロックの慣らしをするついでに、既存の音を耳に焼き付ける。

どーせ僅かな差だろうから注意深く聞き慣れた曲を聴いておく。

1時間していざ切り替え。


あれ、音が出ない。下流のDEQ2496は96kHzまでの入力が可能なのだが、X-DDCの液晶には「192kHz」と表示されている。

周波数を変更したいが、コントロールパネルらしき物が無い。小生のPCはMac miniなのでドライバーのインストールは必要ないはずだが。いろいろ手を尽くしては見たものの、結局その日は音を出せず。

翌日MIDIのメニューにようやくメニューを見つける。Windowsの説明は丁寧に書いてあるのに、Macユーザーには随分不親切である。今日はさすがに通常の光出力に耳を慣らすなんて気にはなれずそのまま試聴。


結論から言うと、いいですな。比較する必要するまでもなく良い。正直こんなに変わるとは思って無かった。

今までの嘘っぽい音が生気を得た。情報量が上がり奥行も少し深い。音量を上げてもうるさくない。音の一つ一つが濃くなったが、何も知らない彼女曰く、
「音が透き通った」
だそうである。良い事ばかりでメーカーの回しもんみたいなレビューになってしまってなんだか腹立たしいが、音は単純に良い方向に転がって文句のつけようがない。

小生はデジタル領域の変化には疎い方なので、全く変化が感じられないかもと思っていたがどうやら杞憂だったようである。ただ、オーディオを始めて間も無い頃、CDとPCの光出力の聴き比べで小生は一度「変わらない」と評価しているので、ジッターによる変化はあくまで“その程度”なんだろう。

以下アップサンプリングを変更した印象である。(音源はCD)

44.1kHz…自然だが一つ一つの音の存在感が強い。

88.2kHz…さらに自然だが柔らかい印象。実際の音に近いのはこちらだろうが、やや大人しい。

48kHz、96kHz…整数倍のオーバーサンプリングに比べて硬質と言うかデジタル臭い。このデジタル臭さは「audirvana」でいじった時より大きく感じた。クロックが正確になった分変化が顕著に現れたようである。

44.1kHzから48kHzにコンバートする際の音質劣化が顕著になる。これが実は問題なのだ。…と言うのもCDの44.1kHzと言うのは、基本的にスタジオで48kHzで収録したものをダウンコンバートしたもので、元々44.1kHzで録った物より劣化したデジタルデータと言える。ブルーレイやDVDの再生時によくPCの音より妙にリアリティが高い気がしていたが、これは気のせいではなかったようである。

そう言う意味では、クロックの制度が上がるほど、48kHzやその整数倍のハイレゾ音源の存在意義が大きくなると言える。

因みに、48kHzで録った物を44.1kHzに落としてあるCDだが、これを再び48kHzにアップコンバートしても音質は更に劣化する事は言うまでもない。

小生の環境では再生不可だが、44.1kHz音源は196kHzよりも整数倍の176.4kHzの方が音質的に有利であると言える。


◉DDCに個性はあるか?

PCオーディオでは、確かに再生ソフトやアップサンプリングする機器の変更で音が変わるが、これより遥かにクロックの影響力が大きい。

しかし、クロックの性能を表すPPMと言う単位は前述のように当てにならない。

同じ性能のクロックを積んでいても供給する電気の質やノイズの影響で大きく性能が変わる訳だが、それらのジッターの影響が、DDCの個性の正体だと思う。

現在オーディオ用途において更に正確と言われるルビジウムクロックだが、これは録音時にもルビジウムやセシウムクロックを使っていないと結局録音機材のジッターを再生する事になることも忘れてはいけない。

今回DDCのクロックのお陰で大きく音質アップを体感出来たが、更に高価なDDCやルビジウムクロックなど導入すれば更なる音質アップが可能かと言われれば少々疑問でもある。

ウルトラスムースな新幹線の巡行と、ハーレーダビットソンの抑揚のある巡行でどちらが心地よいかは人それぞれであるように、ジッターを消し去れば、究極の音が手に入るとも思えないが、外部クロックに興味が湧いて来たことは確かである。


今回はとりあえず、「PCのクロックは著しく音が悪い」と言うことだけは明記しておく。
































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