雪待月

雪待月

ゆうこと露菜のブログです

歌手で作曲家、

シンガーソングーライター

ニール・セダカさんが、亡くなられた事を

ニュースで知りました。

ロサンゼルスで2月27日。

日本時間で2月28日。に、亡くなったと。

86歳だったと知りました。

奇しくも、

2月28日は村下孝蔵の誕生日でした。

生きていれば73歳でした。

 

1978年の暮れか

1979年の初め頃だったでしょうか。

自費出版のレコード制作が

具体化し始めていた頃。

 

20代前半の若い村下孝蔵に、

このような質問をしました。

 

「作詞作曲は、どうやって学んだの?」

 

当時の私は、クラシックの音楽大学生。

音楽理論や作曲法・・などなど、

大学で、

単位を取る為に、四苦八苦してました。

特に、

メロディーラインについては、

どうやって学んだのかと

とても、興味がありました。

 

「学ぶなんて、そんな事した事ないよ。

俺は、教えてもらった事ないよ」

 

真顔で答えられても、

私は、すぐには信じられず。

 

「そんな事ないでしょ?

本当は、誰かに基本学んだでしょ?」

 

何回か、冗談混じりに繰り返し

聞いてると。

 

「あまり、他の人には、

言わないでくれよ。

人が聞いたら、変と思われるから」

 

前置きして。

ポツリポツリ話しはじめました。

 

「最初はね。

本当に、歌を作るって

どこから、どうすればいいか、

知らなかったよ。

どこから、どうすれば作れるか、、

なんて。

全く、わからなかった。ほんとだよ。

ある時、

ラジオから流れてきた歌が、

とても、好きになって。

こんな歌、作りたいな、、と

思ったんだよ。

もちろん、素人だから。。

作ろうにも、作れない。

作る術もわからない。

 

それで、苦肉の策を、考えたんだ。

その曲をね。

まず、耳で覚えて。

その歌のコード進行を、

全部コピーしたんだよ。

それから、

そのコード進行のメモを見ながら。

覚えたてのコードを、

ギターでコード進行を弾きながら、

その、歌の、

コードに合わせて

僕の思いついた音を口ずさんで。

ハチャメチャだったけど。

フレーズをね。歌のようなものをね。

作っていったんだよ。

日に日に、苦戦しながらも、

歌らしいメロディーになっていってね。

それなりに、

歌のメロディーらしくなった。

そしたら、最後に、

歌詞を考えて。付けた。

 

本当に最初の頃は、、ね。

 

まあ、今も、

スムーズに作れないけどね」

 

 

などなど。説明してました。

けれど。

私が、具体的にイメージができず。

 

「どういう事?良くわからない」

と言うと。

 

「ニール・セダカさんって知ってる」

という言葉が返ってきました。

 

「例えば、

俺の作った ”青い嵐〟って歌は、

その時好きだった、

ニール・セダカの〝恋の片道切符〟の

コード進行に合わせて作ったんだ。

お手本。にした。

恋の片道切符、、って。

大好きだったから。

どうしても、同じような歌を作りたくて。

だから、

独学だろ?独学だよ。

誰かさんみたいに

お月謝とか、学費とか全く払ってないよ」

 

「まさか、、。そんな事で作れる?」

 

「試そうか?

俺が”青い嵐〟を歌うから、

同時に

”恋の片道切符〟を重ねて歌ってみて。

バチッと、同じだから」

 

イタズラっ子が、思いついたように。

そんな事を言い出して。

 

そして。それから、検証?。

同時に、2人、歌ってみました。

青い嵐、と、恋の片道切符。です。

 

若かった私は、

かなり、驚いしまった記憶です。

 

少し前。

その様子を、思い出し。

アレンジをしてみました。

 

露菜とRINOで再現してます。

 

 

天国で。

憧れてたニール・セダカさんと、

村下孝蔵が、会えますように。。

 

ご冥福をお祈りさせて頂きます。

 

 

 

どんなに優れた人も。

最初は、みんな同じ。

ゼロからの始まり。

 

頑張りましょう。

 

 

アコーディオニストゆうこ

 

 

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「青い嵐」

作詞作曲:村下孝蔵

 

「One Way Ticket(恋の片道切符)」

作曲:ニール・セダカ

 

 

Vocal & Guitar:RONA

               Vocal:RINO

   Arrangement : Yuko

                   Edit : RINO

 

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改訂版「太郎と花子の日本昔話」

     出会いの時 ⑥ おかっぱ

 

LIVE HOUSE “おかっぱ“ 

 

一番奥のボックス席。

その、柔らかな椅子に落ち着き。

顔を上げると、

今、入って来たドアが見えた。

 

ドア横に、小さな“ステージ“ 。

花子から至近距離。

ライブハウスの“ミニステージ“ 。

実物を見たのは、はじめて。

 

花子ひとり。。静かな興奮。。

 

 

20センチ程の。高さ。

ほどよい広さ。

大人3人は立てそう。

 

中央に、少し高めな。丸椅子ひとつ。

 

オシャレ。。

 

壁際に突っ立ってる、マイクスタンド。

マイクもセットされたまま。

誰か使ってた? 

その横。。

大きな打楽器“コンガ“ 。

ちゃんと2個セットで、置いてある。

誰が使うんだろキューバの楽器。

 

後ろの壁は、

本物のエレキギターが

1本。2本。。3本。。かかってる。

花子

クラシックギター以外。

触ったことない。無知。

 

エレキギターの形。に、関心し。

ボディーの鮮やかな色。に、関心し。

 

インパクト強風。

 

床面。

ウッドデッキみたい。

置いてあるのは、

ギターのハードケース。ひとつ。

とても重そう。

それにしても。。無造作な置き方。

 

ステージ上。

誰も座ってない椅子に。淡く優しい照明。

ミニステージ、

やわらかな光に包まれてる。

 

演者がいないステージなのに。

“ぬくもり“ という“文字“が

浮かんでくる。

 

 

「ここって。なんだか、いいよね」

幸恵が、

席に戻ってきた。

 

やれやれ。

幸恵のくったくない笑顔。。。

 

「幸恵。良かったねト・イ・レ!」

 

「はい。おかげさまで!

ご心配おかけしました!です!」

 

二人顔を見合わせ。

笑顔と笑顔。

 

なんだか幸恵。

思い切りはじけてきた。

 

「花ちゃん。座るって幸せ〜。

人間。やっぱり座らんといけんね。

今日は、ホントに、歩いた歩いた!

ハア〰︎もう歩けんね。

飲み物まだかな? 

ノドカラカラダヨー。

ここ、ホールスタッフいる?

マスターひとり?

人が多いとき大変じゃねえ。

大丈夫なんかねえ。

そういえば、花子。

花子の足の小指、大丈夫?」

 

しゃべる。しゃべる。幸恵さん。

リラックスしすぎでしょ。幸恵さん。

 

タイミングよく。

飲み物が運ばれてくる。

 

テーブルに並んでいく、

温かいカップたち。

 

「よろしければ、どうぞ」 と。

 

可愛いお皿に、

小さなチョコレート。ふたつぶ。

 

幸恵が、声上げた。

 

「うれしい!

ありがとうございます!」

 

穏やかオーラの口髭マスターに、

幸恵、とびっきりの笑顔で。謝辞。

 

口髭マスター、優しい笑顔を残し。

さりげなく。

カウンターの中に、戻っていった。

 

幸恵と花子。ちょっと。感動。

 

「素敵」

「いいよね〜」

「今日、嬉しい事、なかったけんね」

「足の小指の痛みも、半分になりそう」

 

コショコショ。コショコショ。

ヒソヒソ。ヒソヒソ。

 

幸恵と花子。

ホッとした二人。

同時に、カップを持ち。

同時に、ひとくち飲み。

そして、

同時に、ゆっくり、息をはいた。

 

「美味しい。。」

「生きてて良かった。。」

 

そして。カウンターを見る。

 

穏やかオーラの口髭マスターは、

カッコよく。

カウンターの中に、立ってた。

 

あれっ?

思わず、目を疑う。

口髭マスター。誰かと。話してる。

それに。

誰も、いなかった(はず)。

カウンター席。に。

 

人が座ってる。

 

マスターと会話してる。

 

いたっけ? 

いた? 

いなかったよね?

いなかったよ。

 

幸恵と花子。顔を見合わせた。

 

「誰かいるよ。。」

「誰? さっき、いた?」

「おらんかったって」

「そうよね、見てない」

「ドア、開いてないよね」

「うんうん、誰も入っとらんよ!」

 

「でも。誰かと話し。。しとる」

「誰? 見えた?」

「見えん。

立ったら見えるかもしれんけど。。」

 

「幽霊じゃったら。。どうする?」

 

 

カウンターは、ゆるいカーブを描いて。

10席程。

黒色の、おしゃれな高い椅子が並んでた。

薄暗い。

薄暗いけど、誰かいたら見える明るさ。

 

カウンター席。

気になってしょうがない。

 

「入ってから、カウンター席も見たよねえ。。」

「座ってたら、見えてたよねえ。。」

              (エンドレス)

 

幸恵、

コーヒーを、ひとくち。

そうそう。

落ち着け落ち着け。

 

幸恵、

コーヒーカップに

顔を突っ込んでるような、

なんとも絶妙な、不自然な格好して。

目だけで、サラリーマンを観察。

 

 

幸恵

小さく叫んだ。

 

「あっ。動いた!!」

 

カウンターの高い椅子から。

動き出した。影ひとつ。。

 

花子

「ホント。人だ。。」

幸恵

「。。。」

 

男性。やせ形。

身長。花子と同じ位かと。(花子165センチ)

濃紺スーツ。

濃紺ベストも着てる。(フル装備スーツ)

 

ヘアースタイル。

長髪と短髪の。中間髪。

マッシュルームカット風?。

「俺たちの旅」中村雅俊さん短めカット風。

     (あくまでヘアースタイルのお話)

 

座ってたカウンターに何かある。

見えたのは、

硬そうな。黒い中型バック。

置きっぱなしにしてる。

   

顔は見えない。

 

椅子を降りて、

カウンターの中にいるマスターを、

振り返りながら。

 

歩き出した。

 

幸恵、

「LIVEHOUSEって。

普通のサラリーマンも、来るんじゃね」

 

花子

「うん。お茶飲みに寄ったかも。。」

 

普通のサラリーマンが

持っているようなバック。

カウンターの上。

その、黒いバックの横に、

コーヒーカップが見えた。

 

花子

「常連さんかも。話、してたし。

マスターと仲いいんだよ」

 

幸恵

「花ちゃん。。

ちょっと、ガッカリじゃね。。

もっと、こう、、

なんて言うんじゃろう。。

イケイケで不良っぽい男が、

髪振り乱して、ギターと戯れる。。

なんかね。。

ああいうのは、ここ、ないんじゃね。。

         (テレビの影響大)

ほんまに、店って。。

入らんと、わからんもんじゃねえ。

だって。あの人も。

“完璧サラリーマン“ じゃろ?

私らの大学は、立ち入り禁止。とか。

厳しい事、言っとるけど。

よう考えたら。。

学長も、事務局も。

ライブハウス知っとるんかね。

時代が変わっていっとる。

そういう事じゃろ?

それに、

ライブハウスって

“非現実的音楽空間“を、演出して。

みんなで演出して、

雰囲気作ったりして。。

異空間の音聞いたり。見たり。。

刺激を受けて。。

その、、みんな。。

感性豊かに?なりたいんじゃろ?

でも、

時々、かもしれんけど。

特別な空間を売りたくても

今みたいに、

地味なサラリーマン。ひとり。いたら、、

それで、

きちんと座って。お茶飲んでたら。

異空間どころか、

普通空間の延長線上。

ライブハウスの雰囲気。作れんよね。

花子は、なんも思わんの?

まあ。。

どうやっても無理かもしれんね。

ここは、“ひろしま“じゃけんね。

東京とは違って。

頑張っても、異空間は難しいんかも」

   

幸恵の熱弁。

 

熱弁。

終了。

 

 

花子

「幸恵、

そんなに、熱くならんの!

それに。。人のこと言えんよ。

私も幸恵も。

こんな格好しとるんよ。

完璧サラリーマンと、変わらんよ。

“完璧場違い客“  違う?」

 

幸恵

「ホンマじゃね! 失礼しました。。

“完璧サラリーマン“より、

空気壊してるかも。

花ちゃんは、痛々しい歩き方しとるし。

美しいハイヒール履いてる人だし。

お店に嫌われるね。場違い女」

 

さっきから、

スイッチ入りっぱなし。幸恵。

止まらない。

 

「危険犯して。

危ないライブハウスに入店、女子大生。

ドラマなら。

その瞬間から。

燃えるような。

運命のアバンチュールが、はじまるはず。。

待ってる。。はず。。

はずじゃったんじゃけどねえ。

    (“そうやったはずなんやけどな“  

            関西弁バージョン)

ア〜ア。

花ちゃん。現実は。

ドラマのようには、いかんねえ〜」

 

花子

「幸恵、そんな事、思ってたん?」

 

幸恵

「だって、あんなに緊張して、

ライブハウス入っても。

見つけたのは、

完璧サラリーマンさん。ひとり。

夢が、泡と消えてしもうた。。」

 

ジェスチャーまじえて。

チャメッケたっぷり。

 

花子

「幸恵さん! 入店理由が変わってきてるよ。

危険地帯に踏み込んだのは、

幸恵の“トイレ問題“ だよ!」

 

幸恵

「この店には、もう、来ることないね」

 

花子

「うん。ちょっと、やっぱり。。

ステージのギターの色も、派手で。。

私、理解できんし」

 

幸恵

「これ飲んで、退散しよう。

だけど、このカップはオシャレ。

フランス製かなあ。趣味いいよね。

もう、遅いから、

みんな心配してるよね。

電話カウンターの上か。。。

会話、マスターに聞こえると

カッコ悪いから。

外の公衆電話から家に連絡いれよ」

 

花子

「うん」

 

二人の意見まとまる。

 

まとまった所で。

さて。

完璧サラリーマンさん、

まだ、ウロウロ歩いてる。。かな。。

 

いた。

 

ステージの前。に。発見。

高さ20㎝程のステージ。

 

あっ。

軽くステップ踏んで。

完璧サラリーマンさん、

ステージに上がった。。

      (ええっ!!許可取ってる?)

 

中央の高い椅子を、さわったよ。。

        (ええっ!!ダメでしょ)

  

“床“ 見てる。床。。。

なんで床。

       

かがんだ! 

目的は、床に置かれてるギターケースだ。

     

      (ええっ!!なにしてんの!)

 

そんな..

持ち主も、わからんのに。

さわるなんて。さわらんの!

なんて人!

触れちゃダメ!

楽器は“命“ 。

わかってるん?

 

 

サラリーマン。動き。止まらない。

 

ハードケース。

サラリーマンは開け始めた。

躊躇なく。

器用に、ロック外して。。いく。

    

幸恵

「花ちゃん、

あの人、絶対にサラリーマンよ。

あの姿。どこから見ても。。。

“真面目な会社員“ にしか見えんよ。

何しとるんかね。。

業界知識ゼロ。。じゃろう?」

 

花子

「とにかく、ダメよね。

勝手に、さわったらダメ。

マスターに知らせなきゃ。

楽器に、なんかあったら大変。。」

 

そうこうしてる内に。

 

完璧サラリーマン。

なんと。

ハードケースから、

ギターを出しはじめた。

 

「ええっ! 出しとるよ」

 

「楽器。。出した。。。」

 

「人のでしょ。バチが当たるよ」

 

「早く、マスターに言わんと!」

 

花子と幸恵。

声そろえて。

カウンターに向かって叫ぶ。

 

「すいませ〜ん!

あの〜

あの、スーツの人が〜あ〜

ギターを勝手に触ってますけど〜!」

 

大きな声出しながら、

カウンターのマスターを見た。

 

すると。

 

マスター。

 

幸恵と花子に。

 

まさかの。

 

微笑み返し。。。。

 

ウソでしょ。。

なんで?

なんで、微笑み返し。。。なん。

 

 

拍子抜け。

幸恵と花子。トーンダウン。

 

 

幸恵

「な〜んだ。。

マスターに、許可もらっとったんじゃね」

 

花子

「そうかもしれん。。

さっき、カウンターで話してた。。」

 

幸恵

「花ちゃん、私ね、思ったんじゃけど。

サラリーマン生活って。

毎日々、同じで、退屈なんかも。。

じゃけん、

ギターとか、ちょっと、さわって。。

気分だけでも変えたいんかもね」

 

 

“無許可“ でステージに上がる。とか。

“他人の“ ギターケース開ける。とか。

そんな事。

普通の人は、しない。

見るからに。

疑いようの無い姿してる、

常識の塊オーラのサラリーマンに。

なぜか。

二人して疑って。

悪人扱いをして。

余計な心配してた。

 

余計な心配を。

なぜ、したんだろ。??。わからない。

 

 

マスターが許可済み、、と知って。

 

その後は。

完璧サラリーマンの動きを。

ただ。見てるだけ。と、なった。

 

何も思わず。

 

ボーッと。。。

カップを持ちながら。見てるだけ。

 

淡い照明。

完璧サラリーマン。

その、顔形も、見えてきた。

 

外見。

肩幅、妙にしっかり。

痩せてる。

目もとはっきり。

20代前半。男性。

 

ハードケースを開け。

手際良く。ギターを出し。

取り出したギターを片手に持ち。

もう一方の手で、ギターケースを閉め。

ロックをかけ。

空のケースを、壁ぎわに置いた。

 

無駄のない、動作で。

綺麗な所作。

 

そんな風景を。ただ、見てた。

 

スムーズすぎる。。とも。

なんとも思わず。

ただ、見てた。

 

花子が、紅茶を飲み終えた頃。

 

かすかな音が、聞こえてきた。

 

調弦してる。。

 

幸恵

「調弦の練習。。しとるんかね。

ギターの音程、わかるんかねえ。

それにしても、変な日だったよね。。

ここのコーヒー美味しい。

カップ綺麗だから、なお美味しい。。

花子は紅茶、美味しかった?」

 

花子

「なんか、、ね。

挙動不審サラリーマンを、

気にしすぎて。

紅茶の味、わからんかった。。」

 

 

 

やっと。平和な会話。

 

 

「そろそろ、帰ろう」

「帰ろう、帰ろう、外で電話もね」

 

その時。

 

マイクにのって。

 

突然の歌声。

 

サラリーマンは歌ってはならない。。

そんな法律

日本にないけど。

 

突然の歌声。

 

“完璧サラリーマン“ 風の。彼は。

硬いスーツ姿で。

何も語らず。

 

歌いはじめた。

 

遠くを見て。歌ってた。

 

耳をふさいで、目だけならば。

完璧サラリーマン。

 

目をふさいで、耳だけならば。

意味不明に綺麗な声。

 

 

綺麗だ。

 

 

幸恵

「こんなとこに、

こんな人、おるんじゃねえ。

生まれ持った声帯、特上クラス」

 

本当に、声が綺麗で。

歌詞が、頭に入ってこない。

 

 

一曲目を歌い終わった。

 

帰るタイミングを失ってた幸恵。

目で合図。

“今だ。。出よう“ 

 

アイコンタクト。

 

幸恵が、自分の荷物と。

花子の荷物と。持って。席を立ち。

出ようとしてる。

 

あっ。2曲目。歌いはじめた。。

 

幸恵に荷物を持ってもらって。

ドアから出始めた。

 

レジは、ステージの横。

すぐ、横で、歌ってる。。

悪いことしてる。。

 

花子が、ふたり分の代金を支払う。

 

幸恵が、たくさんの荷物を持って、

ドアから出てる。

花子、お金払った。

その時。

2曲目。終わった。

 

バックとお財布。片手に持って。

ステージを振り返ると。

 

完璧サラリーマンと。目があった。

 

花子は、

おもわず。

「おやすみなさい」 そういった。

 

完璧サラリーマンも

「おやすみ」 そういった。

 

幸恵を追いかけ。

急いでドアから出ようとした花子の、

その、背中越し。

声がした。

 

「階段、気をつけて」 

 

振り返ると。

完璧サラリーマン、花子の足元。見てた。

 

「足、気をつけて」

       そう、言われた。

 

花子

「えっ。。。」

 

返事できないまま。

そのまま。ドアは、閉まった。

 

 

閉まる瞬間。

もう。2度と。

この店には、来ることはない。

そんな事を、思ってた。

 

 

螺旋階段を降りながら。

 

抱えてる花束の間から

幸子が言った。

「いい声だったね。LIVEHOUSEに

あんな人もいるんだ。。

痩せてるのに、きちんと声出てたね」

 

花子

「仕事、何してるんかね。

スーツ着て、カバン持って」

 

幸恵

「そうじゃねえ。

硬い仕事じゃろうねえ」

 

ゆっくり。階段。降りながら。

“気をつけて“ と。

言ってた声が、頭の中に響いた。

 

花子

「声楽教授女史が聞いたら、

サラリーマンさんに、どう言うかな」

 

幸恵

「ハイ! 喉、もっと開いて〰︎。

ハイ! 姿勢、正して〰︎。

ベルカント唱方を知ってますか〰︎」

 

花子

「。。。。」

 

 

他愛もない会話をしながら、

その夜は、終わった。

 

ライブハウス“おかっぱ“ には。

もう、行くことはない。

 

声の綺麗な“完璧サラリーマン“にも。

もう、会うこともない。

 

 

その夜の事は、

ただ、その夜の事と。

そう思って眠った。

 

 

 

それから、2週間ほどたったある日。

自宅にいた花子に、

電話がかかってきた。

友人の英子からだった。

 

 

 

つづく

 

    

       (文中の人名のみ仮名です)

 

 

 

改訂版「太郎と花子の日本昔話」

      出会いの時 ⑤花子

 

 

幸恵を追いかけ

螺旋階段を上る花子。

階段を見上げるも、

花子の視野に、幸恵いない。

きっと、もう。。3階。

それで、

螺旋階段から、ビルに入ってて。。

             (花子の妄想)

 

それで、

私が遅いから。

ちゃっちゃっと、先に。入店して。。

多分。。。

ウン。そうだ。

            (根拠のない自信)

それで、

笑顔満タンにして。

「トイレ貸してくださ〜い〜」 と。言って。

ウン。そう。そう。

            (根拠のない確信) 

すでに。

目的達成。してる。かも。。

 

きっと。目的完了してる。

            (目的トイレ拝借)

 

多分。

きっと。

絶対。

幸恵は。

トイレ完了してる。。

 

ならば。

 

私。今。なぜ登ってる?

私って。必要なく無い? 

無いでしょ。

 

ない、ない。もう。不用でしょ。

 

体のチカラ、抜けてきた。

心に“ムカムカ“ 湧いてきた。

 

花子さんムカムカ。。。してきたぞ。

“心“で、ジダンダ踏んだ。

“体“も、つられ、

リアル“ジダンダ“  踏んでしまった。

あっ!そうだ!

私、ハイヒール履いてた。。

ハイヒール“ジダンダダンス“ 。

           (速度記号presto)

 

マズイ。靴。傷ついた。。多分。。

           (なんてこと)

足元。確認したいけど。。

見たくない。。

ひたすら。後悔。

足の小指。痛み上昇。。

           

不運。。。災害級。

 

幸恵のトイレ問題から。

夜の、ハイヒール登山。

荷物持って螺旋階段山に励んで。。

あげくに登山事故ハイヒール傷だらけ。

 

災害救助隊。出動レベル。だよ。

 

ブツブツ独り言。

まもなく。

自力で3階。

 

着いた。

 

先発隊のいる場所だ。急げ!

         (先発隊は幸恵)

 

ビルに入ると。

目の前に。

突然のドア。

幸恵の教えてくれた“店名“ が、

おしゃれな文字で

“おかっぱ“ と、書いてあった。

あら。

ドア横に幸恵。

 

幸恵がいる。

 

なんで、まだ。そこにいる?

 

幸恵は、突っ立ってた。

両手に荷物持ち。片手?に花持ち。

直立姿勢。

緊張姿勢。

 

花子

「幸恵、トイレは?」

 

幸恵。返事なし。

 

この表情。。

これは。。幸恵トイレに行ってない。

 

幸恵は、無言で、ドアを指さした。

 

「何?」 

 

指先は、ドアの上の方を指してた。

店名の

“おかっぱ“と、ペイントされた、そのすぐ上。

すぐ上に書かれている、小さな英語の文字。

幸恵、困った顔して、そこを指差してる。

廊下の薄暗い電灯。

汚れが目立つドア。

見えにくい。。

花子。近づき読んだ。

文字を、たどった。。。

 

「LIVE HOUSE  “おかっぱ“  」

 

理解と同時に声が出る。

「ええ!! ウソ!

ここって。ライブハウス!」

 

(昭和の地方都市クラシック音大生には、

          声が出る程の、場所)

 

幸恵のショボンとした声。

「うん。知らんかった。。

花ちゃん、私、無理。

入っちゃいけん場所じゃけん」

 

幸恵と花子の通ってた音楽大学は、

“ライブハウス“  立ち入り禁止。

  

“LIVE HOUSE“ は、“危険地帯“ 。

足を踏み入れると。

地雷を踏み。命を落とす。らしい。

            (地雷?って)

そう、思いこんで暮らしてた。

        (まんざら嘘では無い)

 

ジーパンの破れを、

ほったらかしにしてるのが

カッコいいと、

そう、思っている危ない若者が、

無造作に生息してる場。

 

花子、心の。Q &A。

“ライブハウス、って、危険ですか?“

“はい。そうです“

      (誰に聞いてるんだか。。)

 

「おかっぱ」=「ライブハウス」 ならば。

 

きっと。。

  

もし、このドアを開けると。

多分。。こんな状況のはず。

 

花子、心の。Q &A。

“こんな状況でしょ?“

“ハイ。そうですとも“

 

〈花子の妄想〉

 ↓

店内は、不健康な明るさ。

ライブハウスのお決まり“ミニステージ“。

そこは、

電気屋さんみたいに、

電気製品楽器で溢れてて。

床面は、

電気コードがウニョウニョ。で。

そんな床を、踏んだり、踏まなかったり。

大袈裟に、つまずく格好したり。。

そんな動作を、

カッコよく?繰り返しながら。。

そうそう、マイクを使って歌も始まる。

声は、電気を使う機材箱で修正され。

抱えるエレキギターは、、

ややこしいテクニックで弾いてる事しか

遠目では、わからないけど。。

若者達は、譜面でなく、ローマ字で書いてる

ギターコード(CとかGとか)だけを見て。

演奏し。ブーツを見せながら。歌いまくる。

タバコの煙。アルコール。アフロヘアの女子。

フ〰︎。。

花子。頭から、煙が上がってきた。

そろそろ、火の手が。。上がってきそう。

 

終わりのない“ライブハウス連想ゲーム“ 。

 

連想ゲームを終わりにしたのは、

幸恵の、切迫した、泣きそうな声。

 

 

そうだった。ここは。ドア前の廊下。

 

花子。現実に戻る。

 

 

見ると、

幸子、泣きそうな顔。

 

「花子、一生のお願い。

お店の中、のぞいてみて?

もし、大丈夫だったら。トイレ。。

トイレ借りて。すぐ退散するから」

 

困ったのは、花子。

「大丈夫だったら。。って。

ここ、ライブハウスよ。

スタンドと、わけがちがうよ。

“大丈夫“とか “大丈夫じゃ無い“とか

だいたい、

入る事自体が、いけん事なんよ」

   (いけん→ 広島弁でダメという意味)

 

幸恵が、おどおど、聞いてきた。

「花子、ライブハウス入った事あるん?」

 

「あるわけないでしょ。ないない。

学長の耳にでも入ったら、停学よ。

停学! 

下手したら退学。。

スタンドは、処罰ないのに。

なんで。

ライブハウスに処罰があるんか

わからんけど」

 

花子だって。コワイのです。

 

  (今の時代には、考えられない。

     停学処分扱いは、ホント)

      

      

二人、向きあって。睨めっこ。だ。

幸恵と花子の、目と目がぶつかってる。

 

睨めっこ。

 

勝負あり。

 

花子の負け。。。。

 

 

ドアを引くのは、花子。に決まった。

        (引きドアと明記あり)

 

 

ドアに手を、かけた。

幸恵ったら、

まるで、

討ち入りでもするかの、サムライ顔。

そして

幸恵は、花子の後ろに、ピタッ。。。

 

「花子。このドアは、引くんよ。。」

 

小声で、しっかり、指示出し幸恵。

 

「幸っちゃん、わかってるよ。

ちょっと、黙っててくれる?

今、ちょっとだけ、

開けてみるけん」

 

花子。息止めて。そっと、、

10センチ程、ドアを引いた。

 

あれっ? 

うるさくない。。。

耳をすますも。

何も聞こえてこない。です。

 

後ろで幸恵。

花子の耳元で、ささやく。

「静かすぎない?」

 

幸恵を振り返って花子。

「静かだね。。よし、入ろう!」

 

「入るん?」

 

「まさか、殺されんじゃろ。

幸恵、トイレじゃろ。。

もう、、、私。開けるよ」

 

 

爆音でのエレキギター。とか、

タバコの匂いとか。とか。。。

10センチの隙間。

からは。

ただただ。無の空気感。

 

妄想。全部。ハズレ。。。

静か。だ。。

ホンモノの静寂。

 

安心が、安堵になり。

安堵が、余裕になっていき。

花子。勢いついた。

 

オープン・ザ・ドア〜。

 

 

店内。薄暗いけど。危険度2。

       (危険度マックスは5)

 

「いらっしゃい!」  

カウンターの中から、男性の声がした。

穏やかな声。

思ってたより、広い。

ドアの前から奥へ、細長くのびた店内。

黒色ベースに、いい感じ。

 

左手にカウンター席。

右手にボックス席が並んでる。

 

真ん中通路。

 

薄暗い。

良く見えないけど。

店内。お客様は見当たらない。

 

「まだ、いいですか?」 

 

花子いいぞ。いつもの調子で。。言えた。

 

「いいですよ。お好きなとこに」

 

カウンターの中から、返事。

背が高い。男性。40才前後?。

オシャレな口髭あり。

その、

思いがけなく穏やかな声に

思い切り救われたのは、幸恵。

 

薄暗さに。

目が、少しずつなれてきた。

 

幸恵。はやくも、トイレ発見。

視線で花子に合図を送ってきた。

 

店内、一番奥にトイレマーク。

 

幸恵と花子

慎重に一歩ずつ、

真ん中の通路歩いていく。

        (トイレ方向)

 

幸恵、再び、目くばせ。

あそこに座りたい。と。

花子に、目くばせ。

 

そうね。。

そうでしょうとも幸恵さん。

トイレに一番近くの。ボックス席。

 

ね。

 

やっと。やっと。。。

やれやれ。。長旅だったこと。

やっと。着席できる。

 

空いてる席に、荷物を置き。

4人掛けに。幸恵と花子。

向かい合って着席。

 

荷物が落ち着き。座り直した時。

ころあいを見ていたように。

さりげなく。

カウンターの端から。オシャレな口髭の、

マスター?が出てきた。

 

コップのお水を、テーブルに置きながら、

「何にしましょうか」

 

幸恵は、焦ってた。

夢に見た?トイレは目の前。。。

 

切羽詰まってる。

「飲み物なら、何でも!」

きちんと。勢いよく。言い放った。

 

さすがに花子。動揺。

ええっ! ホントに! もう!

何でもいい!って。そんな。。

幸恵、それって。なに?

 

マスターも、キョトン顔

 

あわてて

 

花子。訂正。

「紅茶。と、コーヒーお願いします」

 

幸恵は、どんな時でもコーヒー。

花子は、紅茶、時々、コーヒー。

 

笑顔を残し、口髭マスターは

カウンターに入っていった。

 

それを、見届けると。

瞬時に。幸恵は。消えた。

 

花子は、おかしくて。笑い。。笑い。。

あ〜あ。幸恵って。おかしい。

笑いながら、

さっき入って来たドアの方に

目をむけた。

ドア横に。

お約束のミニステージがあった。

 

 

 

つづく

 

      (文中の人名のみ仮名です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

改訂版「太郎と花子の日本昔話」

   出会いの時 ④ 花子

 

 

花子

脱いでいた片方のハイヒールを

ゆっくり。履き直す。

やっぱり。ハイヒール。小指が、痛い。

私だって。痛いのだ。

我慢してる。のに、、。

トイレ!トイレ、トイレ!って。

幸恵、騒ぎすぎ。

 

ホントにもう! 小学生なの!

花子。イライラ。

 

ホールの仕事の疲れ、ハイヒール痛み。

お腹も空いた。飲み物欲しい。

なんやかやで。イライラ。イライラ。

珍しく、

幸恵に当たってしまった。

 

「幸恵お嬢様。警察呼ぶ? 

電話でトイレ教えてください!って。

ええっと。公衆電話。。

公衆電、、どこかな? どこかな?

あった!あっち。 

私、10円玉あるから。これ使って。

ほら、あそこあそこ。」

 

公衆電話を指さしながら、

振り返って幸恵を見た。

そばにいた、はずの、、幸恵。

いつのまにか幸恵。

タクシー乗り場の荷物から離れて。

 

ひとり、ふらふら歩いてる。

ふらふら、ふらふら。

ビルの上の方を、見上げながら。

道沿いに、歩いて行ってた。

 

「何してんの?どこ行くん?」 

 

「花子! あそこ、お店かも!」

 

幸恵は、宝塚会館ビルに沿って。

上ばかり見ながら、歩いてる。

そして。

となり?の、となりのビル前付近で。

上を指差して。声上げてる。

幸恵の大きな声。

 

「花子!あった! あそこ!店だよ!

営業してるよ!」

 

それにしても。

幸恵の声。響きすぎ。恥ずかしい。。よ。

 

「何の店?」

 

「花子!こっちこっち! ネオンついとるよ!」

 

「花子こっち!来て!なんの店じゃろう。

スタンドかも。上の方!」

 

幸恵、しきりに、首を伸ばし。上見上げてる。。

 

「どこ?

私、この荷物置いては、動けんよ・・」

 

花子の立つ場所からは、確認できない。

 

幸恵、よほど、嬉しいみたい。

です。

キャッ!キャッ!と言いながら。

タクシー乗り場看板前に、戻って来た。

     (キャッキャッはイメージ音)

 

「ねえ花子!なんの店でも絶対。

絶対にトイレ、あるじゃろ? 行こう!」

 

幸恵。自分の荷物をヨイショと。抱え。

 

「トイレあった!トイレあった!」

 

まだ見ぬ店に向かって。歩き始めた。

 

後ろ姿。必死。

 

「ちょっと待って!勝手に行かないでよ!」

 

花子、あわてる。

 

「ホントに、幸恵は、

いつだって、こうじゃけんねえ。

ヤクザさんのお店かもしれんよ。

ちょっと、ちょっと、、やっぱり。

やめようよ!こんな格好してるし。。」

 

披露宴帰り?とまでは、いかないけれど。

綺麗な服着て。ハイヒール履いて。

ご丁寧に花束まで持ってる。

女子大生。2名だ。

 

 

「花子!トイレきっとあるよ。

 見つかって良かった。良かった!」

 

幸恵。勝手に安堵。してる。

 

花子、幸恵の後を追った。

ビル前。

多分。4階建て? 古い雑居ビル。

ビル横に付いている“螺旋階段“が、

登り口になってる。みたい。

わからないけど。。。

もしかすると、

昼間の出入り口は、違うかも。。

 

1階シャッターは、閉まってるから。

昼間は、ビルの表玄関。から入れる。

 

ということは。

 

この螺旋階段。

夜だけ?

そんな。。危険に決まってる。

 

“危険“が、ズンズンズン迫ってくる。

 

 

幸恵の立ち位置。螺旋階段登り口。

 

そこから、花子に、呼びかけ?てくる。

 

「花子!ネオンついとるじゃろ?

上の方、見える? 営業中でしょー?

花子。私、責任取るから。はよ、行こう!」

 

幸恵さん。いったい。何の責任取るの?

 

3階付近を、花子、見上げる。

不安。しかない。。よ。

 

古いビル。(・・)

外付けの螺旋階段。(・・・)

螺旋階段、錆びてるかも。(・・・・)

    

   (関西弁でアカンヤツだ) 

 

 

幸恵は、花子を完全無視。

 

威勢良く。靴音鳴らし?

荷物持って。

少しづつ、螺旋階段を登りはじめた。

 

どうやら、トイレ。本気らしい・・。

 

3階付近。ネオン看板。

良く見えない。なんて書いてる?

行くからには、

店名くらい知りたい花子。

 

ウー。看板ローマ字。

ネオンがジャマして、良く読めない。

 

首をひねる。伸ばす。目をこらす。

 

「最初のローマ字は、O 。

次は、、っと。

ええっと。

次は、K。 でしょー。

その次、Aかな。

それで。。その次って何なの。。」

 

螺旋階段から、幸恵の声。

 

「花子! それ。“おかっぱ“  だよ。

ほら、O・K・A・P・P・A!」

 

大きすぎる声で、幸恵。続ける。

 

「見える? 看板の絵、女の人の横顔!

ほら、髪型。

見て! おかっぱ! でしょ。

わかる? だから

“おかっぱ“ って書いてるんだよ」

 

「おかっぱ?」

 

「そうそう、おかっぱ!おかっぱ。

花子!早く行こうよ。

私、行くよ!」

 

 

「何のお店? スタンド?

まさか、美容院? 深夜のカットサロン?」

 

花子。不安が大きくなるばかり。

 

 

     つづく

 

   

     (文中の人名のみ仮名です)

改訂版「太郎と花子の日本昔話」

      出会いの時 ③花子

 

花子。(心の声)

もうすぐ。

もうすぐ。乗り場。乗り場。。

タクシー乗り場。。イタッ!

もうすぐイタッ!!

もうすぐ。。。イタッ!

もうすぐタクシー乗り場。イタッ。

ウ〰︎ッ。

 

花子。ハイヒールの小指。

けっこう。イタッいのです。

 

幸恵。心配顔。花子に近寄る。

歩調を合わせ。提案。

 

「花ちゃん。ここで、片足だけでも

ハイヒール脱いじゃったら?

足休めた方が、ええよ。

そのほうが。ええよ。

裸足で歩くほうが、ええよ」

 

聞いた花子。

ふくれっつら。

 

「そんな!おばさんみたいなこと。

私、ようせんよ」

 

大通り沿いの道。

お洒落な街並み。

急ぎ足で、夜道をすれ違う人。

そこで。

片足だけにしても。

素足になるなど。。。無い無い無い。

 

夜風と花子の声。

絶妙なハーモニー。

 

「小指が。痛い・・」 (花子)

「そよそよ・・そよそよ〜」 (夜風の音)

 

そこに。突然。幸恵の声。乱入。

 

あら、笑ってる。

幸恵、笑ってる。なにゆえ?。

 

「フフッ。フッ〜。クックック〜」

 

笑いを抑えきれない。みたい。

吹き出しながら、騒ぎだした。

 

「花子!それ!。それそれ。

それって!

“伊東ゆかり“ の歌じゃよ!

ほら。

 “小指の想い出“

ほら、

♪♪あなたが〜かんだ〜あ〜♪

 ♪小指〜が〜いい〜たい〜♪ ♪ 」

 

幸恵。笑いながらワンコーラス。

きちんと。歌う♪

 

「なに、歌っとるん!

ホントに!もう!さっちゃん!

もう、歌わんといて!」

 

怒りながら。

もはや。

笑うしかない。花子の状況。

 

夜道に響く、幸恵の歌声。

“小指の想い出“ 。

憎めない。友。

 

 

花子の “足の小指の想い出“ 。

それは、

その日、履いていたハイヒールと共に。

遠い、時間の向こうに。落ちたまま。です。

遠い、その日を望遠鏡で。覗くと。

その時刻、その瞬間に、

どんどん。ピントが合っていく。。。

淡い。悲しみ。。

 

 

 

花子と幸恵。じゃれあいながら。

目指す“宝塚会館ビル“  。

目の前だ。

着く、着く、着く、と。

幸恵は、ルンルン。

 

花子の小指。頑張れ。頑張れ。

 

着いた。。。。

 

乗り場にスタンバイしてる

タクシーに乗れば。

シューッと、サーッと、帰れる!

帰れる。

はず。

アレ?

はず。でしょう。。。

アレ?

 

なんで? 

どうして。

 

いない。のです。

タクシーが、一台も。いない。

なんと、理不尽な。。

 

苦痛に耐えながら (ちょっと盛ってる)

息絶え絶えに (これも盛ってる)

たどり着いた乗り場は“空“   (これはホント)

 

「エエッ!タクシーおらんよ!」 

「なんで、タクシー乗り場に、

   タクシーおらんの?」

 

幸恵。プチパニック。。

 

花子。ガッカリしすぎて。

変に。冷静。

 

「さっちゃん!その〜。あのね。

だからね。

まあ。。日曜日じゃもん。

どっこも同じ。

立町も中央通りも。多分。

いつも。多分。。こうよね・・

いつも。こうなんよ」

 

花子の言葉に、

幸恵、猛反発。

 

「なにが “こうなんよ“   なんよ。

いったい、なにがなんで

“どうなんよ“ 」

 

幸恵!! 落ち着け。落ち着け。

 

昼間からのコンサートホール。

お手伝い要員疲れ。が。マックス。

 

幸恵も花子も。クタクタ。

 

頭、疲れて。

体、疲れて。

ピーピーガーガー。

 

幸恵。ショック。

妙なスイッチ入ってしまい。

理由なき。世間話。始めた。

 

「花子、飲み屋さんって、

広島の”流川“ の方だけで、

何件あるか知っとる?」

 

「急に。そんなん、知らんよ」

 

早口。幸恵。

 

「私のおじいちゃんが言うとったよ。

なんかね、3000軒程あるんじゃと」

 

「ええ〜!!幸恵それホント?

そんなにスタンドってあるん!」

 

“流川” (ナガレカワ)とは、

広島市一番の夜の街。

狭いエリアに、ひしめき合って建つビル。

下から上まで。

横から縦まで。

後ろから前まで。

端から端まで所狭し。

飲み屋さんの“看板“ 。

 

営業中の“灯り“に。人が集まる。

 

3000という数字。

正解かどうか、怪しいけれど。

けれど。

とんでもなく。

ネオン眩しい夜の街。

 

この文章中 ”スタンド”  とは、

ガソリンスタンドでは無くて。

アルコールのお店 ”スナック“  を指す。

 

“広島市独特“ の 呼び名かと。。

 

アルコール店ジャンル分け。呼び名。

 

「スタンド」  

 ↓

「バー」

 ↓

「クラブ」

 ↓

「高級なクラブ」

 

そんな感じの。並び。

 

広島で育った花子は、

スタンドは、

 アルコールのお店。

ガソリンスタンドは、

 自動車のガソリンのお店。

スナックは、 

 喫茶店。(ガロの歌)

 

そのような認識。

 

 

幸恵、ずっと喋ってる。

「お父さんに迎えに来て!って、

言うとくんじゃった!

歩くのは、もう、たいぎい。

タクシー待つのは、もっと、たいぎい。」

 

くったくない。幸恵の横顔。

 

 

家族に迎えに来てもらう。。。

そうか。普通は、そうだよ。

花子の両親は不仲。半別居。

家族ごっこを、もう、何年もやってる。

花子の卒業待って。きっと。離婚。

 

屈託ない幸恵の言葉を聞きながら、

いいな。。と。少し。花子。

 

 

花子も、疲れきってた。

両手で抱え持ってた、その、沢山の荷物を、

“タクシー乗り場看板“の

すぐ下に置いた。

誰も並んでない看板下。

花束も。置いた。

少々乱暴に。置いた。

両手が空いた。

大きく両手を上げて、夜空を仰ぎ。

空気を。たくさん、たくさん。

体に入れると。。

 

なんだか。。。

もう、

どうでも良くなってきた。

 

空いた手で、

ハイヒール。片方。脱いでみた。

そっと。脱いでみた。

「ああ〜 楽だ」

おもわず“やれやれ“   と。つぶやく花子。

そっと。痛む足先に、手を当てた。

その時。

聞こえてきた。幸恵の小さな悲鳴。

 

花子。 なに? なになに?

 

驚く花子の耳元に。

幸恵は、顔を寄せ。そっと。言った。

 

とても小さな音量。

 

「花子。。。花ちゃん。。私。トイレ。

 私トイレに行きたい。。。。。。」

 

花子に迫る、幸恵アップの顔。

危機的状況。と、判断。

 

幸恵、苦境のアップ顔。可愛すぎ。

 

悪いと思いつつ、

今度は、花子が吹き出した。

 

「幸っちゃん、トイレって。。

トイレがあるお店、もう、閉まってるって!

それに。この辺知らんし。

日曜日だし」

 

幸恵は、赤子みたいに。騒ぎだした。

 

「トイレ!トイレ!行きたいよう!

花子ったら、もう、

私。トイレ!って言ってるでしょ!」

 

手がつけられない・・・

 

 

          つづく。

          

       (文中の人名のみ仮名です)

 

 

 

 

 

 

 

「太郎と花子の日本昔話」 

   第一章 出会いの時 ②花子

 

 

A声楽家教授先生コンサート準備は

バタバタとはじまり。

あれよ、あれよと日が過ぎて。

 

あっという間に。

今日の本番。

 

本日、お昼過ぎから。

お手伝い要員、お仕事本番!

 

ハイ、

受付セッティング完了しました。

ハイハイ、

舞台上のお花の到着です。

 

ハイハイハイ、

声楽伴奏リハーサルですね。

ハイハイ、伴奏担当花子いきます!

 

ハイハイハイハイ

賛助演奏の確認ですか。。

ハイハイ、ハイハイ、ハイハイ。。

ハイハイハイハイハイハイハイハイ。。。

 

ワヤワヤワヤワヤ。

 

開演前3分のブザー。

鳴る。

ビ〰︎〰︎。

 

緞帳上がる。

開演。

拍手。拍手。拍手。拍手.拍手。

 

A声楽家教授先生。

さすがの衣装。驚くべき心臓の強さ。

圧巻。圧巻。圧巻。

 

私的感想など、

言えない言えない。

いえいえ、

思っちゃいけない。(めっそうもないです)

 

笑顔笑顔。また、笑顔。

 

舞台上のアクシデントも。

1面クリア! 

2面クリア! 

フ〰︎。

 

いろんな汗。かきながら。

笑顔。笑顔。

 

笑顔。笑顔。笑顔。

 

A声楽家教授先生。メゾソプラノの声。

 

ハイ!絶好調。

ハイ!説得力。

ハイ!感情表現。満点。

 

拍手。拍手。拍手。

拍手。拍手。拍手。拍手。

 

 

緞帳が降りていく。

 

終演。

 

それは。

 

いとも、あっさり。終わる。

なんというか

あっさり。。。。終わる。

        (あくまでも私の感覚)

 

全く。なんなんだ。

この感情。

この、あっさり感情。

 

本番の時は過ぎ。

 

終わる。

 

やれやれ。終演。

お手伝い要員の“終了“ は、まだまだ遠い。

舞台は“終演“ 。

でも。

“終了“ではありません。

“お手伝い要員“に。ホッとひと息など。

まだまだ。許されない。。

再び。

“ハイハイ連打“  開始。

連打だよ〰︎

 

ハイ!スタート! よーいドン!

 

ゴールはどこだ! そんなんわからん。

 

舞台回りと、楽屋の片付け。

ほら、

急いで。急いで。急いで!

 

急げ急げ。急げ急げ。

時間がないのよ! 急いで急いで。

 

まるで、陸上競技だ。

 

“協奏曲“ の人々が、

“競争曲“ やってる。

 

A声楽家教授先生の発声。

指示出す声の罪深さよ。。

美しきメゾ・ソプラノ。

この状況下でも響き渡る。舞台裏。

腹筋、背筋、疲れ知らず。美声。

なぜか、

日本語なのに。聞き取れない。

オペラ仕様の発声。

美声すぎると。

何を言われてるのか。。

言葉として耳に入ってこない。

わからない。

 

花子と幸恵。

あたふた、アタフタ、あたふた。

指示が解らず。アタフタ。アタフタ。

その度。

美声メゾソプラノで、叱られる。

 

「時間が無いのよ!」

マイク無くとも響き渡る。美声。

 

“時間が無い嵐“  暴風警報。発令!

 

何の時間って、決まってる。

借りたホールの退去時間。

 

時は金なり。

46〜7年前の昭和も。同じ。。

 

急げ急げ。ハイハイハイ。

追加料金は、困るらしい。

 

ドタドタバタバタ。

 

従業員専用エレベーター。

どこだどこだ。

ホールの廊下をズンズン歩く

あったあった。

 

御一行様、乗り込まれま〜す。

 

忘れ物ありませ〜ん

 

ハイ。一階。

ハイ。ドア開けて。

ハイ。お迎えのお車来てます!

 

先輩、諸先生方のお見送り。

 

笑顔笑顔。ハイハイ。そして。笑顔。

 

お疲れ様〜

お疲れ様でした〜

おつかれさん〜

 

”お疲れ様“ が、夜空を飛ぶ。

 

あと少し。あと少し。

頑張れ私。。

 

笑顔笑顔。

 

お車。お見送り。頭を下げお辞儀。

綺麗なお辞儀は、必須う科目。

落とせない。単位。

 

花子と幸恵は、並んでお辞儀。

腰をかがめながら、

横目で見た幸恵も、見事なお辞儀。

 

その瞬間、足先に痛み。

イタッ。

花子。あいたっ!。

そうだ、ハイヒールだった。

これって。本番で履いたハイヒールだ、

履き替えるの忘れてた。

(お辞儀しハイヒール確認)

なんとまあ、

こんなヒールで後片付けしてたんだ!

 

どうりで、疲れるはず。

        

 

A声楽家教授先生の車が、去って行く。

少しずつ去って行く。

気が抜けた途端。足先、山ほどの痛み。

 

ウーン。足が痛い。

靴が。

ハイヒールが。

痛い。

 

お辞儀のポーズそのままで。

花子は、顔を横に、幸恵を見た。

幸恵は、

腰を綺麗に折り。微動打もしない。

顔も動かさず。。静か。

 

「幸恵、生きてる?」

小声。

「生きてるよ」

返事。小声。

 

「姿勢!直れ!」

などと。

誰かが、叫んだ訳ではないけれど。

 

二人して。大きく背伸び。

やれやれ。やっと。自由。

 

自由だよー。

 

「行こか」

「うん、帰ろ」

 

 

立町付近のオフイス街。

ほんとに、暗く。静か。

日曜の夜。それにしても寂しい。

 

花子と幸恵の荷物は、

ホールビル玄関脇に置いてた。

 

衣装。靴。頂き物。メーク道具まで。。

なんやかんや

詰め込んだ大きなバック。

手荷物に近づきながら。

花子、ため息。

幸恵もつられてフ〜ッ。

 

「喫茶店、もう、閉まってるよね」

「この時間じゃもんね。開いてないよね」

 

時計は、9時30分をさしている。

オフイス街の日曜日。

 

喫茶店で、お茶でも飲みたい。

見回す。

ビル街は、すでに。就寝。

 

「帰ろう。荷物も重いし」

「そうじゃね」

 

少しずつ。歩く。

 

ホールビル前の、大通りに出た。

 

空車タクシー見つけても、

なぜか、止まってくれない。

手を振っても、止まってくれない。

 

大通りの真ん中を、路面電車が通って行く。

広島市の日常風景。

 

夜の路面電車は、ピカピカしてる。

車内が、明るいまま走ってる。

電車、光でいっぱい。

 

光の消えたビル街を

ピカピカの電車が行く。

まるで、

スポットライトがあたってる移動舞台。

動くステージの演者は乗客。

主役は、運転手さん。かも。

 

目で電車を追う。

 

なぜか。ほっとする。

 

見なれているはずの広電(広島電鉄)が、

心に酸素を送ってくれる。。

 

いつもなら、

バスに電車に自動車に。

複雑な車線と複雑な信号機。

中国地方で一番交通量多く。

運転が困難と言われてる場所。

 

 

幸恵が、疲れた声で、つぶやいた。

 

「なんでじゃろう。

なんで、タクシー止まらんの?

手を上げたの、見えんのかねえ」

 

いつもなら、数分ほどで、

タクシーは捕まる。。

いえ、

止まってくれる。

 

「変じゃねえ、

なんで止まらんのじゃろう。

あっ! 空車! ヒロデンタクシー」

 

幸恵が見つけ。

花子が手を上げる。

 

止まらない。

 

今度は、花子が叫ぶ。

「来た!カープタクシー!!」

花子が手を振る。

もっと振る。

背伸びしながら振る。

 

走り去る。

「なんで?」

 

幸恵、突っかかってくる。

 

「花子!今のタクシー“つばめタクシー“ 

“カープタクシー“  じゃないけん!」

 

しかたない。

あきらめて、

一番近いタクシー乗り場に

移動することに。決めた。

 

 

歩く。

 

無言。

 

5〜6分。歩く。歩く。

 

無言。

 

歩く。

 

2〜3分。歩く。歩く。

 

見えてきた。

宝塚会館ビル前 “タクシー乗り場“  。

 

 

ハイヒール。痛い。。。ぞ。。

 

 

                つづく

 

           (文中の人名のみ仮名です)

 

 

「太郎と花子の日本昔話」 

   第一章 出会いの時 ①花子

 

 

時代は1970年代後半。どっぷり昭和のお話。

場所、広島県広島市。

その日は、日曜日。夜9時頃。

 

広島市中央通り“宝塚会館ビル“ の前。

正しくは

宝塚会館ビル前“タクシー乗り場“ 看板前。

路上。

女子大生2名。荷物多い。花束も見える。

 

疲れた表情。タクシー待ち中。

 

そこに立つは。

地元の音楽大学生。ピアノ専攻。

花子と幸恵。

 

その日ずっと、2人は、

広島市の立町(タテマチ)にある

楽器店の中ホールにいた。

その日、日曜の夜。

声楽教授A先生のコンサートが開催された。

通う大学校内で、

たびたび顔を合わす“名物教授A女史“。

 

数ヶ月前。

 

花子と幸恵は、

A教授から、リサイタルを開くと伝えられ。

その“お手伝い要員“に指名された。

コンサートのお手伝いは良くある事。

でも。

A教授は、強者。学生と言えども容赦ない。

お手伝い要員仕事内容は多岐。

体力も必要。

それは、

当日の受付だけ、とか。舞台周り雑用。とか。

そんな事だけでは、

すまされるはずは無い。(50年前頃の昭和時代)

 

主役の声楽曲の伴奏。

当然、本番終了まで、伴奏の合わせ。呼吸の合わせ。

プログラムには。

もちろん、

お決まりの衣装変えも。

お色直しのごとく、衣装が変わる。。

主役お着替え中の“空舞台“ を埋める。

それも、“お手伝い要員“ のお仕事。

舞台で、花子5分程のピアノ曲演奏。して。

お着替え中を繋ぐ。とかは。普通。

         (何度も書きます。昭和のお話)

 

「繋ぎは、この曲で、お願いね」と。ドビュッシー。。

                (舞台監督は用意周到)

 

「歌の伴奏は、これトこれ。それと、アレにコレ

2人とも弾けるように。お願いね」

          (もう、今、譜面手元に)

伴奏者に何かあったら困る。

ので。。

“ダブルキャスト“ でお願いされる。

              (何かって。。何。)

幸恵と花子のダブルキャスト。

 

「悪いけど、伴奏曲、2人とも目を通してて。

来週から、合わせね。場所?私のレッスン室で」

        (すみずみまで。神経行き届いてる)

 

あの〜

今さらですけど。

A声楽家女史教授先生!

まだ。2人とも。返事してない。。ですけど。

 

断りたい・・。心。つぶやく花子。

 

学生ですが。なんやかんや。と。あるのです。

一応。暇ではないのです。

 

ピアノの前に座る時間も。

しばらく。削られる。。

 

基礎技法や対位法。伴奏法の授業も。。

講義準備は意外に多い。

毎日3〜4時間ピアノ椅子に座っても

いつも、間に合わない。

それに

直属の研究室の教授には、なんて言おう。。

資料提出とか、又、遅れる。。

 

お手伝いは、交通費も含め奉仕活動。

ボランティア。(これ普通)

 

代々続く。お決まりの。恐れ多い。お言葉。

「将来あなた方の役に立つ

大変お勉強になる、経験の場です」

         (暗記してしまった)

 

断りたい・・。心。静かにつぶやく。

 

重い思い。。

言葉にできない。淡い悲しさ。。

 

クラシック界の法則。(しつこいですけど、時代は昭和)

教授の依頼を断るなど。。出来るはず。ない。

 

 

花子の前に、凛と、そびえ立ち。

身分り手振りも豊かな。A声楽家教授。

早くも、

当日のコンサート内容を。

タイムスケジュールを。

テンポ良く。

メゾソプラノで攻めてくる。

どんどん。攻めてくる。。

 

まるで

 

アッチェレランドだ!→音楽用語イタリア語。

日本語訳→どんどん強く!同時にどんどん速く!。

 

興奮気味のA声楽家教授。アクセル全開。

 

花子と幸恵。何も発声できないまま。

数分で。目の前で。

全てが、決まってく。。

         (いえ、決まってた)

確信犯だ。。

メゾソプラノ聞きながら。

花子のテンション。爆下がり。急降下開始。

 

意味不明だ。。

 

結局。花子と幸恵。

滑稽な笑顔で。

声を揃えて。こうなってしまう。

 

「ハイ、了解です!」 と。

 

花子と幸恵どちらさまも。意味不明。

意味不明言動。(自己嫌悪)

 

イエスとしか答えられない。。。

 

地方都市の一角で、

クラシック音楽を学び、

専門家になり。生きる。とは。

 

それは、

 

ピアノの前に座り

毎日毎日

トレーニングしているだけでは。。

とにかく。ダメ。らしい。

 

クラシック業界を、美しく泳ぐ為。

“呼吸法“とやらが必須と。。教わっていく。

 

呼吸法を身につけなければ。

卒業したとたん、世間で溺れる。。の?

窒息? する? の? か。。。

 

悩みながら。

“悩み時間場所“ に、立ち止まる暇もなく。

過ぎて行く日常。

 

その時代の花子は、

それでも、落ちこぼれ無いように。と。。

“音楽世界“の真ん中に住んでいる。と信じ。

そこは、正しく。

そこで、頑張るしかないと。

一生懸命生きていた。

 

地方都市。

花子が住む音の家。

その、昭和のクラシック音楽部屋。には。

“窓“ は、無く。

外の世界は、見えてなかった。

 

花子が立つ、同じ広島市の。

その、地面の上に。

同じ地面の上に。

音世界の“異次元空間“が存在し。

 

花子の世界とは、

全く異なる“呼吸法“ で。

 

同じ空気なのに。違う呼吸。。

 

別の世界で。

 

“音“に、

自分の命を、かけようとしてる人がいるなど。

“音“ に、

命を与えたいと。

手探りで、闇を歩いている人がいるなど。

 

 

その時。知るよしもなかった。

 

 

              つづく

 

          

            (文中の人名のみ仮名)

 

 

 

 

2025年。

 

2016年から2019年頃まで。

「太郎と花子の日本昔話」と題して、

私の20代。

広島市で出会った太郎とのお話を、

ブログ上に、

思い出すまま、書き綴っていました。

月日が経ち。読み返してみると。

句読点、改行、時間軸の稚拙な書き方など

読み辛く。整え直したく。

2023年に、

「太郎と花子の日本昔話」は、

一旦、ブログから下させて頂いてました。

 

時間が、とても、かかりましたけれど。

整え終えたものから、

少しずつ、再度、上げさせて頂きます。

内容は、事実に基ついてですので、

変えておりません。

 

さまざまな思いの中、

懸命に過ごした、この2025年も

そのうち

“あの日の過去の事“ に、なってしまうかと。

そんな風に思ってしまう年の瀬です。

生きぬくこと、

生きていることさえ、“奇跡“ かもしれません。

 

  

                  ゆうこ

 

 

「太郎と花子の日本昔話」

 

 

昭和53年。

  日曜日の夜9時半過ぎ。

そこは、通称“広島の中央通り” 。

 

広島市でも一段と賑やかで、華やかな、

八丁堀交差点。東西南北にのびる、交差点。

 

交差点からのびている一本の道路が

“中央通り” と呼ばれている。

 

交差点から、中央通りに向かって立つと。

右角には

堂々とした老舗の〝福屋百貨店” 。

そして、道を挟んで

左角には

流行をお洒落にとり入れながら

急成長中の ”天満屋百貨店” 。

 

趣の違う2つの百貨店に

迎えられるように

中央通りに歩みを進める。

 

広島市名物“路面電車”は、通ってない。

道なりに商店街。

そこは、

昔と今が重なりあい、

過去と現在が、ぶつかってる活気。

 

目にも耳にも、面白い。

 

中央通りに歩み入り、

ゆっくり歩いて2〜3分。

見えてくるのは、

雑居ビルが立ち並ぶ中

ひときわ目立つ建物。

映画館などが入っている“宝塚会館“ 。

 

宝塚会館の前は、タクシー乗り場。

きちんと“タクシー乗り場” と

看板も立っている。安心な乗り場。

 

 

これから、お話しする物語。

太郎と花子の、長い、長い、物語は。

 

ここから。

 

この場所から、始まります。

 

 

 

追記

 

福屋デパート

1983年、「初恋」ヒット。

大きなウエーブが、

日本中に巻き始めたころ。

広島市の福屋デパート前で、

規模の大きなキャンペーンをした。

デパート前の路上に、

テーブルを何台もつなぎ並べ。

「初恋の味カルピス」と横断幕を掲げ。

〝初恋”の歌が、

大きなスピーカーから

聞こえる中。

何人ものスタッフが

テーブルでカルピスを作り、

紙コップに入れていく。

それを、

太郎が、道行く人に、

笑顔で、「美味しいですよ」と、

声をかけながら、

紙コップに入っているカルピスを

手渡す。

そんなキャンペーン。

何百杯も用意されたカルピスは、

あっという間に無くなった。

 

デビューしても、

ずっと、住んでた広島市。

 

広島での本格的なキャンペーンは、

福屋百貨店の前が、はじめてだった。

 

「色々、溢れてきて、頭疲れた」

帰宅後、笑顔は、無く。

静かすぎる太郎の言葉。

 

花子の、記憶のひとつ。

 

 

 

天満屋デパート

“デパート”と呼ぶより、

“百貨店“と呼ぶ方が、

ナチュラルだった時代。

 

天満屋百貨店屋上には、

その頃の決まり事?のように、

デパートの屋上には、

家族連れや子供のために

小さな遊園地が作られてた。

そして、そこには、

小さな舞台も作られてた事も多く。

買い物を楽しむ傍ら、

屋上でのイベントも

それぞれのデパートで熱心に

企画をされてた時代。

 

太郎は、ずいぶん若い日に

「ひとりぼっちの雨の中」という

シングルレコードを

確か300枚だったか、

自費出版した。

 

時代は、

山口百恵さんが

まだ、新人、駆け出しの頃と同時期。

 

ある日、こんな情報を得た。

天満屋百貨店の屋上の

小さなイベント舞台で、

駆け出しの歌手山口百恵さんが、

キャンペーンをする、という話。

同じ時期

太郎は、

シングルレコードを作ったものの、

どうすればいいか悩んでいた。

広島も故郷九州も、友人達からも

良い返事をもらえず、

困ってた時期だったと。

 

自分で動くしかないと、即断。

 

「山口百恵さん情報を得たその足で

天満屋百貨店に行ったんだよ」

 

天満屋百貨店の

イベント企画担当者に、

 

「山口百恵さんの前座で、

シングル「ひとりぼっちの雨の中」を

歌わせてもらいたい。そして、

売らせて下さい」と。

 

アマチュアの中のアマチュア。

すぐに返事はもらえず。

 

数日後、

 

企画担当者から連絡をもらった。

「売り上げの50%を

百貨店に入れるなら、前座許可」

そう言われて。

 

社会の厳しさと、

冷たさを知ったとも、

話していた。

 

とにかく、

キャンペーンの場を掴めたと。

喜び、本番を迎える事となった。

 

山口百恵さんのキャンペーン前座

の舞台。

前座の意味を、心底知ることとなった。

 

控室で、はじめて出会った山口百恵さんは、

幼なさが残る、ずいぶん細い人。

だったと。

 

その日、

控室で山口百恵さんと会話。

その時に交わした言葉。

 

山口百恵さんの言葉が、

「歌うという事に対する、僕の軸になった」

 

はっきりと、言っている。

 

山口百恵さんは、大切な人と聞いている。

 

              続く

 

 

・・・・・・・・・・・・・   ゆうこ

 

 

 

 

 

 

今日6月24日は、

父村下孝蔵の命日です。

 

1999年に亡くなってから、

26年が経ちます。

 

2021年4月15日、

従姉妹と名乗っておられる

夏子さんのブログにて、

「1988年に、父と母ゆうこが電話で会話をした」とされる

捏造された音声が、無断で公開されました。

 

夏子さんによると、

「村下孝蔵自身が、

電話を無断で録音していたもの」で

「飛行機事故などで自分に何かあったら

表に出してくれ」と

絹代さんに託していたものだそうです。

 

この音声については、

父の生前の声と、母の近年の声を素材とし

AIで生成されたということが分かっており、

あとは、絹代さんが所有している

原本のカセットテープと照合すれば、

正式な証明ができるところまで

きておりました。

 

「原本を渡してほしい」と

私が絹代さんに電話で伝えましたが

「死んでも渡さない」と、

笑われながら言われた2023年5月1日。

その後、何もご連絡ができないという状態が

続いております。

 

 

もう少し穏やかな状態で、

父の命日を迎えたく思っておりましたが、

今年も叶いませんでした。

 

 

毎年、6月の命日が近づくと、

村下孝蔵の歌に、

思いを寄せてくださっている方々が

様々なご尽力をされ、

色々な場所で偲んで下さっている

お気持ちに対し、心よりありがたく、

感謝申し上げることしかありません。

 

このようなブログ上ではございますが、

御礼を申し上げます。

 

母ゆうこ、妹RINOと、

私達3人も村下孝蔵の残した歌を

丁寧に見つめていきたいと

改めて思わされております。

 

 

 

母ゆうこが、

書き残しておきたいと思ってきた

広島での父の様子。

 

それは、父村下孝蔵が、

CBSソニーのオーディションを

受ける前からの様子です。

 

それを、本日から少しずつ

あげさせて頂くこととします。

 

 

 

暑さも厳しくなってきております。

皆様どうぞお身体ご自愛ください。

 

 

 

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「太郎と花子の日本昔話」より

 

1980年5月21日に戻り、

そこで生きている2人に。伝えたい。

たくさんの。こと。

 

2025年6月  ゆうこ

 

 

 

 

 

1979年初旬。

太郎25才。花子23才。

 

その日。

アルバイトを終え、深夜に帰宅した太郎。

 

「今年の夏にね、CBSソニーレコードが、

シンガーソングライター新人発掘の、

オーディションをはじめるって。

ソニー第1回だよ。S君から聞いたけど。

全国規模でのオーディションを始めるらしいよ。

とうとう、CBSソニーも、

オーディションはじめるみたいだ。

ブロック勝ち抜き戦?とか、言ってたけど」

 

 

狭いアパート。

6畳と4畳半。

玄関ドア横に小さなキッチン。

湯沸かし器もなく。ガス台も据え置きの物。ひとつ。

 

帰宅した太郎は、

仕事部屋と呼んでいた4畳半に、

ギターとノート類を置き。

それから

部屋着に着替え。

小さなキッチンの前に立った。

 

蛇口を大きくひねる。

水は、思いのほか勢いよく、

小さなシンクに

たたきつけるように落ち始めた。

 

太郎の話声と、蛇口から流れ出る水の音。

2つの音が、重なって。部屋に響く。

 

手を洗うでも無く。水を飲むでも無く。

蛇口に片手を置き。

もう一方の手は、

蛇口から流れ出る水を、

つかもうとしてるように見えた。

 

つかめるはずはないのに。そう見えた。

 

水は、あとからあとから、

とめどなく

太郎の手に落ちては、溢れ。

流れ落ちていく。

 

流し台の上に付けられた、形だけの蛍光灯。

その、優しい灯りの下。

手の平から容赦なくこぼれ落ちる、水。

太郎は、

滑り落ちていく水を。その手を。見つめたまま。

 

見つめたまま。

オーディションの情報を、話し続けてる。

 

 

 

あの時、太郎は、

太郎は何を見ていたんだろう。

流れ落ちていく水の、

その、向こうに。

何が、見えてたのだろう。

 

 

 

花子は、

太郎に声をかけられずにいた。

 

いつもなら、

「水道出しっぱなしは、ダメでしょ。

ほらほら、水。もったいないでしょ!」 

 

などと、言って。

急いで、

水道の蛇口に、手を伸ばし。

文句言いながら、

水を止めるのに。

 

その時、花子は、何も言えず。

動けもしなかった。

 

少しの間。時が止まってた。記憶。

話し続けてるのに。そんな記憶。

 

太郎は、

まるで

「明日は晴れるかなあ・・・」 と。

おだやかに広がっている、大きな空を

気持ち良く見上げて、つぶやくように。

 

なんでしょう、

そんなテンポで。そんな声で。

友人から伝え聞いた、

オーディションの情報を、話し続けていた。

CBSソニーオーディションの情報なのに。

第1回の開催情報なのに。

とんでもない話題。の、はずなのに。

太郎の言動は、奇妙と花子は思った。

 

 

事あるごとに、太郎は花子に言ってた。

花子に話す、というより。

自分で自分に、言い聞かせてる。と。

花子は、

同じ言葉を口にする太郎のいつもの話を、

何回も、聞いて過ごしてた。

それは、多方面にわたっての話で。

花子の力では、

どうにも、出来ない事。ばかりだった。

 

「どんなに小さなチャンスでも。

笑われてもいいから、

飛び込んできたんだよ。

シンガーソングライターになりたいなんて、

本気で思いはじめたのは、

高校卒業後だなあ。

新日鉄で、泳いでたころ。

中学も高校も、

ギターしか頭に無かったから。

九州は色々なあ。あったから。

話したろ?

広島には、吉田拓郎さんのつくった

〝フォーク村〟が、

まだ、存在してると思ってたのに。

来たら、無くなってて。

焦って、音楽やってる人の中に、

なんて言うか、飛び込んだみたいな感じ。

プロデビューなんて、普通にしてても、

誰も手なんか貸してはくれないよ。

だから、

恥かいても、陰口言われてても

端からオーディション受けてきたよ。

知ってるよ。

〝また、あのおじさん受けに来てるよ!〃

なんて、言われてるのもね。

陰で、笑われてる事も、知ってるよ。

まあ、おじさんだしなあ。。

でも、

僕は、業界にコネも無いし。金も無いし。

親は、世間体、気にするし。

日本デザイナー学院も、

絶対に行きたくなかった。

そんな暇あったら、ギターの練習とか。

やりたいに決まってるだろ。

親から、

ふらふらしてる息子と、言われるから。

どこか専門学校に入れ。と、言われて。

今更、勉強間に合わないし。

親があまり言うから。専門学校へ行った。

学費は、北九州で働いた時の貯金を出して

俺が自分で、払ってるよ。

親は、金ないから。

それはそれで、親孝行。

安心してたみたいだけど。

役に立ってないよね。

花ちゃんのお父さんが画家でも、

デザインの話なんて、全く出来ないんだよ。

だますような事したくないから、

デザインの専門学院に席おいてたなんて、

言わないでほしいよ。

でも、でもね。

決めてるんだよ。

きちんと、

どんなに小さなチャンスでも、

馬鹿にしないでね。

選ばないで、受けにいくと決めてる。

俺は、プロにならないとダメなんだよ。

色々あるからなあ。。

どこで、

どんな人が聞いててくれるか

わからんだろ?」

 

 

チャンスは必ずある。逃がさない。と。

何度も言ってたのに。

そんな日常の中で、

大手のオーディション情報を、知ったのに。

 

興奮するでも無く。沈むでも無く。

顔色変える事も無く。

 

なぜ、淡々と。

人ごとみたいなんだろう。

 

その横顔からも、

花子は、何も読み取れないでいた。

 

 

その日の風景は。

時を経るにつけ。その後、何十年も。

花子にとって、

忘れられない光景。と。なってしまう。

 

 

 

勢い良く、蛇口から出ていく水が、

シンクから飛び出してた。

シンクで跳ねた水は

すぐ横の、

玄関先に飛んでた。

 

水しぶきが、飛んでる。

 

玄関先の

小さなスペース。

その、壁に沿って、

さっき、帰宅した太郎が、

静かに、丁寧に置いた紙袋2つがあった。

その紙袋は、壁から滑りはじめ、

倒れかかってる。

その上、

水しぶきが、かかりはじめていた。

 

太郎が、帰宅した時。

くたびれかけたショートブーツを

脱ぎながら、

大切に、そっと。そっと。

倒れないように置いてた紙袋。

 

キッチンの小さな薄明かりの中、

紙袋は、ショートブーツに寄っかかるように

倒れはじめてた。

水しぶきがかかっていたのは、

その、大切に置いた、2つの紙袋だった。

 

花子は、

濡れかけてた紙袋を抱え。

6畳の部屋に運んだ。

タオルで拭くと、

濡れていた紙袋は、2つとも破れはじめた。

 

「袋、変えないと」

花子が言った。

 

太郎は、花子の手もとを見ながら、

明るく言った。

 

「今日は、全くダメだったよ。

広島市だけでも、

けっこうレコード店あるのに。

これでも、けっこう、歩いたんだよ」

 

花子は、

「おつかれ」 と。だけ。

答えた。

 

紙袋に入れてたのは、LPレコード。

その年、工場から出来上がってきた、

太郎の自費出版LPレコード。

「それぞれの風」を入れてた。

 

なぜ、紙袋か。お金が無く、

持ち運ぶ為のきちんとしたケース状の袋が

買えなかったから。

袋の底に、テープをしっかり貼ってた。

 

太郎は、毎日。

アルバイトの合間に、

レコードを置いてもらえる、

音楽関係の店舗を探し、

お願いして歩いてた。

 

最初は、友人達が買ってくれた。

2〜3件の、知り合いの楽器店にも、

置いてもらえた。

でも、200枚ほど動き。

すぐに、それも、止まってしまった。

 

数十枚単位で、

置いてもらいたかったけれど。

 

正直、本気で引き受けてくれる人は、

なかなか、市内にはいなかった。

 

花子の母も、

クラシック以外は認めてくれず。

一枚も購入してもくれないでいた。

 

ひと袋に15枚ずつ程

入れてた。

2つの袋で、30枚のLPレコード。

レコードは、重く。

たいして強くない紙袋には、

15枚が限界だった。

 

「青春の記念日にしたい」

「もう、若くない」

「自費出版は、これまで頑張ってきた証拠に」

「自費出版を作った後は。音楽は、趣味にする」と。

言い始め。

様々な理由を、言葉にし。

まるで。

自分自身に言い聞かせるように。言葉にし。

 

自費出版レコード制作を決め。

 

貯めていたお金だけでは間に合わず。

当時、唯一、金銭的な部分を

応援してもらえてた方から

お金を借り。

録音。制作を実現にしていった。

制作費、印刷代、、など。

45年前の昔、

300万円かかってしまった。と。

細かいお金の流れも教わった。

 

ヤマハポップコーンオーディション。

コカコーラのオーディション。

カップヌードルオーディション。他、多数。

良いところまでいっても。

オーディションは、惨敗。

プロデビューは、

その度、振り出しに戻ってしまってた。

 

 

               続く

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