寒いので、半纏(はんてん)を買いました。

暖房をつけなくても温かいです。

 

皆様も温かくしてお過ごしくださいね。

 

 

さて、前回からの続き。

このひと月、何を悩んでいたのか。

 

 

私には変な癖があって、

電車で出かける時、事前に

電車と駅の情報を徹底的に調べます。

 

 

それを今までは変なことをしているなと

思っていたのですが、

なぜか、わかっていなかったんです。

 

 

・・・その変な癖には理由がありました。

 

 

 

ある日、田舎から義父が来ることになりました。

義父は無人駅の住人で、電車にほとんど乗りません。

 

 

いつもはしっかり者の義母と一緒ですが、

今回は一人なので、旅の手配を頼まれました。

 

 

飛行機と宿と電車。

 

これ。

考えるのはとても楽しいんですけど、

先にお話ししたように、

電車と駅を調べ尽くす癖があって大変なんです。

 

 

 

今時、航空券もホテルもネット予約は

メールで全て完了します。

 

注意書きを添えて、

「チケットとっておきましたよ〜。

メールも送りましたから、見てくださいね」

 

普通は、これで終わること。

 

 

でも、相手は田舎のおじいちゃん。

やはり、メールがどこに届いたかわからない

と電話が来ました。

 

 

絶対迷う案件じゃん。

 

 

いつもよりも丁寧に調べて

旅のしおりも作って、QRコードも

プリントアウトして郵送しました。

 

 

成田空港の構内、電車の乗り位置、

駅からホテルまでの地図。

 

ホテルからの目的地までの移動は

当日、息子に案内させるとして、

上野を歩きたいなら運動靴を持参して、

などなど。

 

 

そこまで考える必要がって思いますよね。

私も変なことをしている自覚がありました。

 

 

そして、そんなしおりを作っていて

胸の痛みに気がついたんです。

 

 

もう何十年も前の失敗を。

 

仕事場の地方工場の方々をディズニーランドへ

案内した時のことがよぎりました。

 

 

平日の電車のダイヤを知らず、

夕方の通勤のために東京駅から千葉まで直行の

急行に乗ってしまったことがありました。

 

 

片道、50分ほどの待ち時間も合わせての

往復約2時間。

 

 

どこの駅にも止まらない電車の中で

どんなに心の中で謝ったか。

 

 

ディズニーランドでたった30分しか

いられないなんて重罪ですよね。

 

 

この時の失敗が忘れられなくて

電車に乗るたびに

心がぎゅってなっています。

 

 

この事件の後、電車の移動が怖くなり、

徹底的に調べる癖ができたことを

思い出しました。

 

 

私は、迷うであろう義父に、あの時私が感じた

嫌な思いをさせたくなかったのでした。

 

 

 

とはいえ、

どんなに準備をしたところでと言う話で、

義父は迷いました。

 

 

私と同じように、成田から急行に乗って、

終点まで行ってしまい戻ってきました。

 

 

義父に再会するまで、家族は心配していましたが、

本人はけろりと笑っていました。

 

 

「乗る前に、駅員さんに確認して、

次の電車だと言われたけれど、来た電車に

飛び乗ってしまった」と。

 

 

続けて、東京に来るたびに

3回も財布を落として、必ず戻ってくると

自慢するように話しました。

 

 

その後、うちの息子たちを連れ回して

上野で運動靴を購入したり、迷子になったり、

 

ホテルの電子鍵で困ったりしていましたが、

それも義父にとっては笑い話になるのです。

 

 

私と同じ失敗をしているのに、

周りにも迷惑をかけているのに、

なぜ、こんなふうに笑えるのか?

 

 

いつもなら、少し苦々しく思うのですが

その時は、ああ、これだって

感じました。

 

 

「私に必要なもの」。

失敗が怖くて、石橋を叩いても進めない私。

 

 

きっと、ディズニーランドでの失敗は、

酷い目にあったという笑い話になって、

今では怒っている人はいないだろうに。

 

いつまでも自分を許せないでいました。

 

きっと、そういう過去の幾つものことを

ぎゅって掴んで、怒りや悲しみを持ち続けて

苦しんでいるのです。

 

 

それまで抱えていた苦しみは

まるで、赤ちゃんが自分の髪の毛を掴んで

泣いているみたいだなっと思ったら

笑えました。

 

 

失敗はしたっていいし、

迷ったっていい。

 

 

周りに多少、迷惑をかけたことも

許されていい。

 

 

例え、もし、怒っていたとしても

自分を許してあげていい。

 

 

ふわっと心が軽くなり、義父の良いところを

見習おうと思いました。

 

 

 

そんな話を仲間にすると、

次は色々調べない旅行をしてみたら?と言われ、

考えているとすぐにその機会が訪れました。

 

次回に続きます。