智「……、翔くんの…おとぉと?」


翔「…智君、ごめんね。このバカが怖い思いさせて…後は、俺がちゃんと始末するから海斗の所へ行ってやって?」

長「へぇ〜…、お前、弟なの?船舶持ってんの?まさか無免許?」


翔「免許は持ってます。見覚えがあると思ったら…これ、親父の船だよな?
お前…どういうつもりだ…」



………あ、
翔君が本気で怒ってる
僕を見ないのはそういう事
目が…目の奥が本当に怒ってる色してるから。


翔君に弟が居たなんて…

妹さんは紹介してもらったけど

弟は僕と海斗の事を良く思っていないって事だよね…
だから…こんな事…

だから…翔君は僕に、敢えて弟の存在を伝えてくれなかったんだ…

僕がちゃんと、翔君の家族について聞いていれば良かったんだ。

妹さんとご両親は拍子抜けするほど僕達を受け入れてくれた…だから、僕はいい気になって浮かれていたんだ…
僕という存在を誰もが受け入れてくれるとは限らないのに
ちゃんと、そう言い聞かせて生きてきたはずなのに、翔君と海斗との生活が余りにも…嘘みたいに幸せ過ぎて…僕はいつの間にか幸せ呆けしていたんだ…


悪いのは僕だ…

だから…


僕は誰に何をされても構わない。

そんなの慣れてる

これからだって、その覚悟がある。



でも…



カイは違う
カイには僕のように
我慢や遠慮ばかりの人生を歩いて欲しくない
…僕のせいでカイが辛い想いをするなら

僕は……。




今日、カイに怖い思いをさせたのも
きっと、僕のせいだけど…


間違いなく僕の所為だけど…


いくら、翔君の弟でも…




僕…





許さない…