翔「寝ちゃったね…」

智「いつも より はしゃいでた から…」

翔「さとしくん… ありがとう…」

智「??? ありがとう?? なにが?」

翔「海斗を 産んで くれて 」

智「しょうくん…カイは…」


どう言えばいいのかな…
どう言えば…勘違いだと思ってくれるかな…

翔「やっぱり俺のこと…許せない?海斗の父親は俺だと認めてはくれない?」

翔君は…やっぱり僕が怒ってる…って思ってるんだ…何も怒ったりしていないのに…でも…それなら…その方が僕には都合がいい…

僕は相手が翔君だから、きっと聞き取りにくくても理解してくれるだろうと、もう気にせずに思いっきり声を出して話す事にする…

智「翔君、僕は怒ってなんかいないよ?僕はただ翔君の事が好きじゃなくなったんだ…何度言えば分かってくれるの?もう…迷惑だよ…帰って…」

翔「智君!もう嘘付かないで!
みんな、俺が父親だと言ってくれていたじゃないか!!お願い、認めてよ...
守るから…もう絶対に泣かしたりしない!約束する」

智「帰れ!」

お願い…分かってよ…
さっきくれた、あのキスだけで、僕はきっとこれからもカイと生きていけるから…


翔「なら!それなら…ちゃんと、"嫌い" と言ってくれよ!」


嫌い…?
キライ…きらい…

僕が…ずっと…ずっと言われ続けた言葉。

「アンタ ナンカ キライ」

絶対に…口にしたくない言葉…
それを…翔君に…言うの?




もう…グチャグチャだ…頭が痛い…

目から鼻から…いろんなもんが止まんない…
溺れている金魚みたい…
こんな惨めな僕に呆れて早く帰ってくれればいいのに…


♪〜♪〜♪〜
クルクル回るライト…



勢いよく開いたドアから入って来たのは…


松潤……


ドカドカと上がると一目散にカイの所へ行き抱き上げた。

カイが…泣いてる…

僕が大きな声で…翔君を怒鳴ったりしたから…

ごめん…

ごめんね…海斗…


松潤からカイを受け取ろうと手を伸ばしたけど
松潤は僕にカイを渡してくれなかった。


潤「智…。もう…本当の事を話していいんだ」

本当に…本当の事を…?


言えるわけないじゃん...

返して...

僕の宝物...





ふわん…目の前が…歪んだ…