赤ちゃん、今のままで大丈夫?① つづきです。
食べるようになって、気になること
□ あまり噛まない
□ 丸のみ
□ 硬いものが食べられない
□ くちをあけながら音を立てて噛む、食べる
□ くちの中にほおばる
□ 食べこぼしが多い(手・目・口 協調運動ができない)
□ 吸い食べ
□ 食欲がない(食べるのが疲れる)
□ 2歳過ぎても、よだれが多い
□ 歯並びが悪い
□ かみ合わせが悪い
□ 好き嫌いが多い(形状によって食べられない)
□滑舌が悪い
□ 箸やスプーンが上手く持てない
□ お口ぽかん
などなど・・・
お口の問題だけでなく、全身に影響します。
「子どものからだと心白書 2015」によると、こどものからだが心配され始めたのは1960年のことですが
子どものからだのおかしさは、ますます多様化、深刻化の一途をたどっています。
新設項目における「最近増えている」では、
・周りの刺激(音・光・においなど)に敏感 ・すぐにキレる・休み明けの体調不良
・ボールが目や顔に当たる ・猫背 ・動きがぎこちない ・なかなかオムツがとれない・おもらし ・なかなか歯が生え変わらない ・噛まずに飲み込む ・不可解な怪我をする・・など、
からだのおかしさが、一層多様に表出しています。
食べる機能を身につける・・赤ちゃん、今のままで大丈夫?①で、書きましたように
乳児嚥下から成人嚥下をうまく獲得しそびれると
唇は閉じていても、乳児嚥下のように歯と歯の間に舌が突き出ていて
十分に舌が持ち上がらず(低舌位)
飲み込むたびに前歯に舌の圧力がかかっています。
そうすると、歯並びやかみ合わせに影響します。
舌はいろいろな骨とくっついています。舌が下がると、舌の付いている骨(舌骨)の位置が変わり、周りの筋肉のバランスが崩れます。
上あごの成長を助ける舌が、上あごを前方・側方に押さないため、
上あごの歯列が狭くなり、反対咬合や交叉咬合の原因になります。
下あごと下あごの歯を押すため、歯と歯の間に隙間ができ下あごの成長が過剰になり、受け口や、開咬になります。
気道を狭くして、口呼吸になり、さらに唇が開きます。
いつも歯が見えていて、お口が開いている状態です。口を開いていると、重力であごが下がり、成長の過程で顔が長くなります。
口呼吸の影響は、全身に影響します。
少し古いですが幼児を対象にした研究で、保護者からの申告では21%に口呼吸が認められます(#1
専門家が診察すると 50% 以上の割合になっています。
(#1: Aronson L.;A comparison between mouth and nose breather with respest to occlusion
and facial dimensions. odomt. revy 1960 11:p343-376)
赤ちゃんも首や肩甲帯中心に緊張をとり、調整すると
地図状チアノーゼがみるみる改善したり、肌の色が白くなったり、湿疹が軽くなったりします。酸素が十分に行き渡ったからですね。 呼吸、大事です。
このように口腔機能の発達と全身の発達は、影響しあいます。
赤ちゃんの粗大運動と口腔機能
それぞれの発達過程と、舌の動きは相関します。
身体は発達していないのに、
口腔たけ舌だけが適切に動けるようになることはありません。
また、反射(不随意)は何度も繰り返されることで神経系に込み取られていきます。
それから、筋肉も随意的に動くように発達していきます。
反射の出現を阻害しないように体を整えておくことも重要です。
向き癖などで、向きたくても向けず、探索反射が、一見出ていないように見える場合もあります。
哺乳反射
探索反射…唇の周りにものが触ると、その方向を向いて口を開く
捕捉反射…唇の周りにものが触れると、唇を舌でくわえようとする
吸啜反射…口に入ってきたものを吸う
嚥下反射…口の中に流れ込んだ液体を飲み込む
姿勢も、大きな原因になります。猫背・ストレートネック・反り腰
子どもの生活習慣とも大きく関連しますね。
(姿勢については別項目で)
身体機能だけ
口腔機能だけ
精神発達だけ
というのではなく
それらは、複雑にからまって、今の現象となっています。
□ 姿勢が悪い
□ 肩こりや首こりがひどい
□ 猫背
□ きちんと座れない
□ 握力が弱い
□ 身体が硬い
□ 転びやすい
□ 手を繋ぎたがらない
□ 集中力がない
□ 洋服の着脱がうまくいかない(手・頭を通すことがうまくいかない)
□ 筆圧が弱い
□ ボール遊びうあ縄跳びが苦手
□ 歩き方が変
□よく転ぶ
□便秘
□歯並び(歯列矯正)
□スポーツが苦手
□集中できず学力が伸びない
□自己肯定感が低い
など
発達には、順序性があります。
ひとつのことを習得すると次のステップへという具合に進みます。
どの段階でも、つまづいている段階がわかったら、そこからスタートすることが必要です。
たとえは、手づかみ食べができないのに箸やスプーンを持たせたりしてはいけません。
どうか、前の段階へ戻ることを躊躇しないでください。
発声、言語発達も同様です。
胎児期、新生児期からの発達の積み重ねです。
赤ちゃんの頃からの
抱っこ・おんぶの仕方には、本当に注意が必要です!
・うつ伏せ運動をすること
・首のすわらないうちから縦抱っこばかりしないこと
・抱っこやおんぶの時は首が垂れないようにすること
など、気をつける必要があります。
この時期の過ごし方が一生に関わるといっても過言ではありません。
赤ちゃん、子どもたちが健やかに発達のために、哺乳は、その土台を担う大事な大事な時期です。
その大事な時期に関わる私たち助産師や赤ちゃんに関わる専門職の役割は
その子の一生に関わる大事なことだと知らなければいけません。
完全母乳だからOKとか・・実は、分泌の良いおっぱいから流し込んで飲んでいるだけかもしれません。
本当に、今の哺乳が食べる機能につながる哺乳になっているのか。
食べるという事は、おっぱいやミルクを卒業しても、一生必要な機能です。
周産期ケアや授乳期間だけでなく、そこまで見据えたケアは、助産師や産科が
担うべき大きな役割です。
それぞれの時期に出来る対策もいろいろありますから
それぞれの時期に必要な専門家が、お互いに学びあい、
専門性を尊重しながら、連携をくんで
赤ちゃんたちの健やかな育ちを応援できますように。