左側のおっぱいの授乳が上手くいかないと来院された母子。
赤ちゃんを観察すると
うつ伏せの姿勢で、左腕が伸びたまま曲がられない。
でも、この場合は、左側が曲がらないのではなく、右側が伸ばせないんです。
向き癖の影響と思われますが、右側の首~肩甲帯~側腹の伸縮性が不十分な状態。
本来ならば体幹で支えるべきところを、硬くした周りの筋肉で支えている状態。
支える役目の右腕は、伸ばせないのです。(右手でリーチできない)
このままだと片手と片脚でハイハイするようになる可能性も。
左右差なく両腕で支えられている状態
.(出展;写真で見る乳児の運動発達)
その状態から腕を曲げたり
肘(上腕)で支えておもちゃで遊んだり
お願いポーズをとって膝を曲げたり
片手でおもちゃに手を伸ばしたり
視線を向けている方(右)と反対側(左)で体重を支えています。
そうすると、やっと右手は支える役目から解放されて、
本来の手の役割を果たせるようになります。
これが、ハイハイの基礎になる姿勢につながります。
この女の子は、視線が(頭が)向いている方の腕で体重を支えています。
これは、前段階の発達としては、当然のことなのですが
問題は、反対側ではできないという事です。
左で支えて右手が伸びている事も平等に出現すれば問題ないのですが、それができない。
左では支えられずに、頭が床についてしまいます。
そこで、向き癖の影響で骨盤や股関節・背中や頸にあった左右差を調整。
調整時間は、5~10分位。
お母さんにも、ご家庭でのセルフケアをお伝えします。
ボトムリフティング(骨盤を床から浮かせる)を促したら
あっという間に、反らない寝返りができました。
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両腕で体を支えて、片手でのリーチもできるようになりました。
膝も曲げられます。
これも脚の前面全体で体を支える役目から解放されたからです。
(支持基底面が小さくなりました)
最初の写真と比べるとわかりますが、肩も下がっていますね。
口も、しっかり閉じれるようになっています。
舌を出すこともできて、もぐもぐ食べる動きもしてる。
あっという間の変化。赤ちゃんって、やっぱりすごい!
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こんな風に長い時間、うつ伏せでご機嫌で遊んでいるなんて信じられない・・
手を組んで遊んでいる!と驚くお母さん。
その日のうちに、ピボットターンと呼ばれる
お腹を軸に回転する動きもできるようになったとのこと。
なんと180°回転~!
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左右差があることで、使いにくかった体が自由に使えるようになって
一度コツをつかむと動くのが楽しくて仕方がないというように、
ずっと体と動きの感覚を楽しんでいました。
得意げな表情が、たまらなく可愛い!
お兄ちゃん、お姉ちゃんの仲間に入れて
本当に得意気な表情をしていたMちゃん。
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もちろん授乳も上手くいくようになりました。
赤ちゃんの頃の小さなズレが、
数年後の大きなズレにならないように
ケア(予防)していくことが大切です。
もう一人、調整目的でオイルで全身マッサージした赤ちゃんは
気持ちよさそうに寝ちゃいました。
400mlのんでいたミルクが、1週間で、150ml / 日。
体重増加も十分すぎるので、もうミルクは、必要ありません。
身体が整うと、しっかり母乳ものみとれます。
こんな赤ちゃんたちとの触れ合いは、私にも幸せをもたらしてくれます。
ありがとう。