国立近代美術館で開催中の
ピーター・ドイグ展
10月11日(日)まで会期延長になりました。
ピーター・ドイグは
スコットランド・エジンバラ生まれ、
61歳を迎えた現役バリバリのアーティスト。
世界的に有名な美術館で個展を開催し、
2015年には、代表作のひとつがオークションで約30億円で落札されたそう。
今回、日本初の個展。
幻想的で独特な世界が拡がる作品。
≪ スキー・ジャケット / Ski Jacket ≫
295cm × 351cm 1994
oil on canvas
(C)Peter Doig. Tate
懐かしさや親しみを感じて見入っていたら、
ニセコのスキー場の新聞広告が題材だと(笑)。
モノクロの広告が、こんな温かみのある色彩に変換されるのが凄い。
薄紅色が射していて、ゲレンデなのに頭の片隅では桜を思い浮かべてしまう。
現実では雑多に思えるスキーヤーの群衆も、
画家の手に掛かると幻想的な風景に変わる。
ドイグが描く雪は、柔らかさと温かみが
感じられた。
それは色彩表現だったり、
油絵具の厚みだったり。
次の展示室で目に飛び込んできたのは、
この絵画。
≪ コンクリート・キャビンⅡ
/ Concrete Cabin Ⅱ ≫
200cm × 275cm 1992
Oil on Canvas
(C)Peter Doig.. ARORA COLLECTION
フランス・マルセイユにある
ユニテ・ダビタシオンを描いたもの。
ル・コルビュジエが設計した集合住宅。
写真はWikipediaから。
忠実に描いているので、ユニテを描いていると直ぐにわかる。
でも、手前の樹木が主題とも受け取れる構成は
建築屋には無い視点だから、ハッとした。
幹の白抜きは、光の反射なのか?
こういうところが幻想的。
リアリティを感じさせながら、
違う次元に連れて行ってくれる。
半券の作品は、おとぎ話の1シーンのような
幻想的な1枚。
《 ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ / Gasthof zur Muldentalsperre 》
196cm × 296cm 2000-02
oil on canvas
©Peter Doig. The Art Institute of Chicago
左手人物は画家本人。
今回心地良いなと感じたのは、展示室内の壁が全て白かったこと。
展示空間がシンプルで余計な演出がないと、作品が際立ちますね。