匂宮 なんとか堪える | ゆうぎりのブログ

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万葉集と源氏物語から切り取っていきます。

御髪のうちなびきてこぼれ出でたる

かたそばばかり、ほのかに見たてま

つりたまふが飽かずめでたく、すこ

しももの隔てたる人と思ひきこえま

しかば、と思すに、忍びがたくて、

若草の ねみむものとは 思はねど

むすぼほれたる 心地こそすれ

 (源氏物語 総角の巻より)

 

実の姉「女一の宮」のもとを訪れて

いる「匂宮」ですが、あろうことか

色気づいてしまいました。

 

女一の宮の美しい髪が少し乱れて

はらはらと靡いています。その髪

の毛のすき間からほのかに見える

横顔がたまらなく素敵です。

このまま、いつまでも眺めていたい

と思っています。匂宮は、ああ、

この方が他人だったら、と思うと

ギリギリと悔しくて我慢できず、

歌いかけてしまったのです。

 

若草のようにしなやかで色っぽい

あなた、結ばれたいけどこらえて

います。もんもんとした悩ましい

この心を知ってください。

 

これを聞いた女一の宮は、「いったい

どうしたのかしら、訳の分からない

ことを言って、ああ、気持ち悪い」

と思っていますが、何も答えません。

 

そりゃそうです。ただ、この貴公子

思ったら相手が誰であろうと、言わ

ないと気が済まないようです。