頼もしい味方 | ゆうぎりのブログ

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万葉集と源氏物語から切り取っていきます。

内には人々近くなどのたまひ

おきつれど、さしももて離れ

たまはざらなむと思ふべかめれば

いとしも守りきこえず、さし退き

つつみな寄り臥して、仏の御燈火

も掲ぐる人もなし。ものむつかし

くて、忍びて人召せどおどろかず。

 (源氏物語 総角の巻より)

 

宇治の「大君」と屏風ごしに会話を

している「薫」は、世間話などを

面白可笑しく話しています。ただ、

どうして直に話させてくれないのか

と、不満に思っています。

大君は、お手伝いさんたちには

「近くにいるように」と、言いつけて

いました。しかし、彼女たちは

「そんなによそよそしくしなくても」

気を利かせて、わざと離れた

ところで寝そべっています。

しかも、灯りさえつけず、暗く

してムードを演出しているかの

ようです。心配になった大君は

「誰か来て」と、こっそりと

お手伝いさんを呼びますが、

皆、寝たふりをして知らん顔を

しています。

 

お手伝いさん全員を味方に付けている

薫は、さすがです。

まあ、彼女たちの本音は、大君と

薫が結婚することで、自分たちも

一緒に面倒を見てもらおうという

ことでしょう。そうなれば、こんな

宇治の山奥から大都会、京の都に

行ける。と、若いお手伝いさんは

夢見ているかも知れません。

そりゃあ、寝たふりぐらい

するでしょうよ。

 

さて、薫は大君への想いを遂げられる

のでしょうか。つづく…