巻にエース失格の危機

2006年10月12日(木)

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 アジア杯予選(11日、インド、バンガロール)“オシムの申し子”といわれ、5戦連続で先発出場した日本代表FW巻誠一郎(26)=千葉=が、11日のインド戦でまたまた無得点。後半22分にFW我那覇和樹(26)=川崎=と交代でピッチを去り、オシム体制下で自身最短の67分間のプレーにとどまった。初先発したライバルFW播戸が2得点したのとは対照的な低空飛行。5戦連続無得点に終わった巻のエースの座は、危うくなった。

 頭を垂れるしかなかった。またしてもエースの仕事ができない。格下相手に大量点が期待されたが、巻には“風”が吹かない。後半22分、オシム・ジャパン自身最短となる交代が告げられた。

 「とくに…」。ショックの大きさからか試合後、報道陣の問いかけにも口を閉ざして足早に会場を去った。8月16日のアジア杯予選・イエメン戦からオシム・ジャパン入りし、以後すべてに先発しながらも無得点という不振続き。この日は、荒れたピッチに強い6本スタッド(靴底の鋲)の取り換え式スパイクを履いて臨んだが、ボールが枠に飛んでくれない。

 前半20分、FW播戸のヘディングシュートがバーに当たり、跳ね返りを至近距離から左足ボレーで蹴ったが外れた。3分後、MF三都主の低いクロスを左足で合わせたが、不発。その後ろに詰めていた播戸が右足で代表初ゴールをゲットする皮肉な役回りを演じた。後半に入っても得点機会は訪れず、5試合連続無得点で交代となった。

 まさにエース失格の危機。「FWはゴールだけが仕事じゃない。オシム監督もほかの動きを評価してくれている」。巻は常々こう語るが、“サプライズ男”としてドイツW杯に出場した時とは立場が変わった。期待はゴール。年内の代表戦は11月のサウジアラビア戦のみだが、次戦こそはエースの意地をみせたい。

 〔写真:懸命にボールを追ったが空回り。巻はまたまた結果を残せなかった〕