昨日,日清食品から株主優待品と共に,安藤百福発明記念館編『転んでもただでは起きるな 定本・安藤百福』という中公文庫が送られてきた。

 本の帯には「苦難の末に,インスタントラーメンを発明して世界の食文化を変えた男の,絶対あきらめない波乱万丈の人生」とある。

 若い時から,時代の変化を読み,次から次に新しい仕事に精力的に挑戦して財を築いたかと思うと,憲兵に無実の罪を着せられかけて,1か月半ほど拷問に拷問を受け,2か月の療養を余儀なくされたことがある。

 また,立ち直って事業を成功させると,脱税の疑いで,税務署ではなくGHQ(連合国軍総司令部)に検挙され,軍の裁判でたったの1週間で,「4年の重労働」という判決が出された。すべての財産は没収され身柄は巣鴨プリズンに移された。 

出所後,ある信用組合の理事長を引き受けたが,その組合が破綻した時,責任を問われ,またもすべての財産を失ってしまった。

無一文になった安藤は,おいしくて,保存性があり,調理に手間のかからない,値段の安い,安全で衛生的なラーメン作りの研究をするために,自宅裏庭に小さな研究小屋を建て,終日,後の「チキンラーメン」の開発に没頭した。

翌年3月に世界初のインスタントラーメンが完成した。そして8月に生産が開始されることになる。紆余曲折はあったが,50年後の今では,インスタントラーメンは世界で1000億食ほど生産される産業に成長したのである。私は1959年に留学したので,アメリカで大分食べさせてもらいました。

この安藤百福の波乱万丈の人生に彼の偉大さを知ったが,表題のことを最後に付け加えさせていただく。

20061230日,この年113回目のラウンドとなる打ち納めゴルフをしたそうである。前日は流通店舗の視察に回っていた。

200712日は「創業者会長を囲む新春懇親ゴルフコンペ」。安藤宏基社長以下,在阪の役員・管理職ら24人で初打ちをした。

14日は,大阪本社の初出式で30分間立ったまま年頭訓示。

15日,急性心筋梗塞のため96歳の生涯を閉じた。

19日,ニューヨークタイムズに「Mr.Noodleに感謝」と題した社説が掲載されたそうである。