一泊京都旅。クマオとはしょっちゅう京都に行っていた。
「行きたい店がありすぎる」 クマオはいつもそう言っていた。
そんなクマオとの京都は約1年ぶりだった。
クマオに女ができてからも、あそこに行きたい、ここに行こうという話になることがあったが
実際実現することはなかった。その度に私は落ち込んだ。
以前のクマオと私の関係から変わったのはこの点だけだった。旅行にも行けない間柄。
どうせ何泊しようが、男女の関係にはならない。ならないが、行くという行為がダメだった。
クマオが旅行するのは女とだけ。この境界線はきちんと守られる。
「どうして?行けないくせに行こうって言うの?」
何度も何度もクマオを責めた。
「行きたい気持ちはあるよ。行きたいよ。」
「彼女に嘘つかなきゃいけないから?」
「まあ・・ね。できれば嘘つきたくない」
「は?私にはあれほど嘘つきまくったくせに?」
「・・・・」
「○○の研修って言えばいいじゃん。私にそう言ったみたいに!」
以前のブログにも書いたこのやりとり。
それが、これまでのこの言い合いなんてなかったかのように、今回のこの展開。
私は喜びよりも戸惑いの方が大きかった。
恐る恐るクマオに尋ねる。「彼女には何て言ったの?」
「まあ・・平日だし、仕事って言ってあるよ。実際京都の業者さんと仕事することも
あるからね」。
そうか。女に嘘をつくんだ。もし女が本当のことを知ったらどう思うのだろう。
意地悪な私は、それを考えると小気味よく感じた。