2時頃目が覚めて、隣に眠る旦那のからだに触れた。
あたたかかった。
涙が出た
私が泣いていると気づいたのか、背中を向けてきたので、
強くにぎったりょうてのこぶしを、旦那の背中にそっと当てた。
嗚咽がこみ上げてきて、声を殺せなくなると
だんなのせなかが、ぐいぐいと私を押した。
‥……親愛の表現か、何か。彼はたまにそうする。
まだ結婚する前、セックスをしたあとに、背中をくっつけていたときに
『すごくない?こんなに背中があうのって、俺らだけじゃない?』
冗談交じりに言った。
その言葉ももう。今の彼は忘れてしまっているだろう。
激しくこみ上げてきた感情で、大声で泣きそうになり、
布団かr出て、部屋をあとにしようと思った。
息子さんが寝ていたから、起こしては悪いと思ったからだ。
旦那はスマホを見ていた。
そのまま視線を私に向けて『どうしたの?』と聞いてきた。
私はただ
「ごめんね」
と言って、居間で毛布に潜り込んだ。
どうしようもない
ただただつらくて悲しくて、ただの同居人「家族」とくくられる
旦那と私の事が、脳を体を破壊しそうだった。
『どうしたの?』
聞かれても、それはずっとここ何年も繰り返しうったえ、懇願し、叶わなかったモノだ。
私はただただ彼の愛情に飢えていた。
抱いて欲しかった。セックスじゃなくても、一人で耐えられないとき、抱きしめて欲しかった。
私の望ん両腕は、もうそれをかなえてくれないと知っている。
ひたすら泣いた。抑えられなくて、迷子の子供のように泣きじゃくって、
呼吸素rままならなくなっても、感情が暴走して、涙も嗚咽もひたすらたれ流れた。
仕舞いには、家族ごっこのまま死んだ父と母の元に返りたいとすら思い出し、なおさら悲しかった。
私に帰る『家』はない。
夕方のチャイムが鳴る校庭で、散り散りに家へと帰る友達を見ながら、
ただポツンと残された自分。
あのまま、あそこに縛り付けられているのだろうな。
家から追い出されて捨てられても、良い子にしていたらおうちに帰れると信じて
迷い続ける、迷子のニーナ。
うっかり触ってしまって始まった、ゲームの他のサーバー105ワールド。
新プレイヤーから、名前を考えるとき、初めてのサーバーで
良い思い出のあった名前を付けていたから
逆に、どうでも良い感じで、レスゼロと付けた。
セックスレス。ゼロ。
レスゼロ。
出撃命令が下ったら、ただ重い爆弾を積んで、特攻するしかない。
先のない絶望。
明日、旦那はオタ活に行く。
皮肉にも、レスゼロを何気なく拾ってくれたギルドが、
105ワールドで上位ギルドになっていた。
ギルマスは、みんなのお母さんだと、母性が湧くといつも言う。
パパが必要だと、ギルドバトル後の雑談中に出て、
なおやさんと言う人が、からかわれ、
嫌がってたくせに、最後は好きにしろやと、
その場で500ダイヤ使って、オリエントパパと改名した。
正式にみんなのパパだ(笑)
帰る家のない、女でも何でもない、レスゼロが、皮肉にも
家族のような仲間を手に入れていた。
仮想空間の戦いの中で。
現実は、どうしたの?も何もない。
ここ何年も繰り返されてきたことを、無駄だと思い、要求することを諦め。
絶望し、また捨てられたと、ただポツンと
夕方のチャイムを聞いているだけの、私しかいない。
ただただ、つらくて悲しくて。
全てを愛して欲しかった。
愛ってなんだろうね。
全てを諦めた未来のない名前。レスゼロ。
泣き止んで、ベランダでタバコを一本吸った。
星が綺麗だ。月も明るい夜だ。
上着も取りに戻る気がなくて、薄いパジャマ一枚で震えながら思う。
過去の自分と重なる。
虐待され手育った子供は、どうも欠陥品のようだ。
愛し方もわからないし。愛してももらえないらしい。
レスゼロ。
今の私にはぴったりだ。
失うモノもない。誰かからの応答もない。
ポツンと取り残されて、ただ家を探していた。
まるでゲームの魔女達のように。
泣き止んでブログを書いていたら、旦那が居間に来て、横になった。
泣いているときに差し伸べられる手はない。
レスゼロ。