四駒漫画(190):列車の光景-(84)

家計簿をつける波平お父さん?

文庫45巻昭和48年

『今日の電車の中の座席には、サザエさんのお父さん:波平さんと、鳥打帽を被り、ギョロ目でチョビヒゲのおじさんがコートのポケットに手を突っ込んで座っています。お父さんは膝の上にバッグを乗せ、本を拡げて読んでいます。電車の座席には、二人が座っているだけで、他に乗客はいません』

『お父さんは、拡げた本を熱心に読んでいます。隣りのおじさんは、だんだんとお父さんの方に、顔を寄せています』

『お父さんは、眉をひそめ、まだ熱心に見ています。覗きこんでいたおじさんの大きなギョロ目から涙が落ちています』

『お父さんは、オジサンに向かって「失礼じゃないですか、ヒトのかけいぼのぞいて」と言っています。ギョロ目のおじさんは目から涙をあふれさせ、左腕で涙を拭いています』

サザエさんの四駒漫画です。

お父さんは何故電車の中で家計簿を見ているのでしょう。

電車の中に持ちだしているのですから、家計簿ではなく、お父さんの小遣い帳でしょうか。

あるいは、お母さんがつけている家計簿を持ちだしてチェックしているのでしょうか?

これは嫌ですね、そんなことはないでしょう。

それにしても、家計簿と思われる中は、相当に悲惨な内容だったようです。

盗み見していたおじさんが、涙ぐみ、とうとう泣き出してしまいました。

磯野家は、マスオさんを養子に向かえ、両家族で7人ですが、生活に余裕がないわけではない筈です。

誰が家計簿をつけるのか、誰がチェックするかは、問題ではありませんが、電車の中に持ちだして開くと、盗み見する人がいるのです。多分、見られた中身が、涙を誘うほど酷く貧しかったのでしょう。

小遣い帳であったのなら、お父さんは小遣いが、可哀そうなくらい少なく、飲みにいくこともなく、タバコも良いものではなかったのが、ばれてしまったのでしょう。

小遣いが少ないのをやりくりしているのが、読み取られ、つい、同情されて涙を誘ったのかもしれません。

お父さん!家計簿か小遣い帳か判りませんが、家計簿や小遣い帳は家の中で開きましょう。

サザエさんは、優れた四駒漫画です。

文庫1~45で、列車の中の光景を題材にしたものを見てきましたが、沢山ありました。

画かれた光景も時代を反映しているようで、その時々の時代を楽しく描いていました。

画かれた絵は、繰り返し見ると繊細で、題材と絵がよく一致していて、笑わせてくれました。

作者の素晴らしい能力に敬服させられました。

子供たちにも、是非、見てもらい、こんな時代があった事を知る教材となるでしょう。