四駒漫画(188):列車の光景-(82)
吊革を当てられ笑われたらたまらん!
文庫43韓、昭和47年頃
『電車の中、立っている男性の革靴の甲を、女性のハイヒールの踵が、確りと踏みつけています』
『皮靴を履いている男性を見上げるとそれは、刈り上げをした怖そうなおじさんでした。踏みつけたハイヒールの女性を見上げるとそれはサザエさんでした。男性は大きなこえで「アイテテテテテ」と叫んでいます。一緒にいたカツオ君もその様子をおどろいてみています。サザエさんは右手で吊革を持っていました。大きな声に思わず振り返り、吊革を持っている手も、吊革を持ったまま高く持ち上げてしまいました。サザエさんは、靴を踏んでいるのに気付き「あどーも」と詫びています』
『そのとたん、サザエさんは持っている吊革を離しました。すると、吊革はぶらりとオジサンの額に飛んでいき「ぱちっ」と音を立てて当たりました』
『おじさんは額に大きな瘤を作り、腕組みをして、サザエさんを睨みつけています。おじさんの頭からは湯気が出ていますから、相当頭に来ているようです。しかし、サザエさんとカツオ君は顔を俯きがげんになり隠すようにして、クスクスクスクスと笑っています。サザエさんは内心<その上何故かこんなとき笑う癖>と思っています』
サザエさんの四駒漫画です。
昔、吊革は皮のベルトとセルロイドの輪で出来ていまっしたから、輪を持って上にあげて離すと、輪はぶらんと落ちてきました。
これが額を直撃したのですから痛かったでしょう。
あの電車の吊革も、今では、随分工夫されていますね。
輪もべルトもプラスチック、形も色色です。
ベルトも革ではなく、プラスチック、だから、あまりぶらぶらしません。
ベルトの長さも同じではありません、子供も持てる高さが混じっています。
吊革が変わっても、ハイヒールが皮靴を踏みつけることはあります。
吊革がぶらりと、他人の額に跳び当たることもあります。
許せないのは、自分がまいた種が他人を痛い目にあわせているのに、
自分の性格のせいにして笑っていることです。
サザエさん!始めから、全て貴方が悪いのですから、可笑しさもぐーっと堪えて、確りと謝りましょう。