四駒漫画(186):列車の光景-(80)

サザエさん、受験生は無愛想なものです。

文庫42、昭和46年頃

『バスの吊革を持ってサザエさんが立っています。隣りに目が細く、細面で、長髪を額が隠れるくらい前に垂らした若者が、バックを小脇に挟んで立っています。サザエさんは青年の顔を見ました。顔見知りの青年のようです。サザエさんは「アラ!しばらくお元気」と声をかけました。青年は無表情で返事もせず素知らぬ顔をしています』

『サザエさんは、にこやかに「おかあさんに似てらしたわね」と続けて話しかけました。しかし、青年は長髪をかき分けるだけで、無表情で返事をしません。』

『サザエさんは、更に続けて「何処でお降りになるの」と尋ねると、やっと、無表情で、正面を見たまま「ていりゅう所」と無愛想に返事をしてくれました』

『サザエさんをバスを降りて、歩きながら思い出しました。その青年の母親が「受験前で扱いにくいざんすの」と言っていたことを。サザエさんは「ほんとだ」とつぶやいています』

サザエさんの四駒漫画です。

4月の新入学の時期も何時の間にか過ぎてしまいました。

受験勉強中の頃は確かに親も子も神経質になってしまいます。

だから、青年のお母さんも、我が子を「扱いにくいざんすの」とこぼすし、サザエさんが話しかけても返事を貰えず、降りる場所を問うと、幼児でも答えてくれる「ていりゅう所」くらいの返事しかしてくれません。

青年は、サザエさんのような美しい女性?に話しかけられた気恥ずかしかったのでしょう。

受験前多くの青年が、ナーバスになっていますから、あまり話しかけない方が良いのでしょう。

サザエさんも放っておけば良かったのです。

と言っても、サザエさんの性格はそうはさせないのでしょう。

普通の自然に流れている可笑しさ、微笑ましいバスの中の光景でした。

青年も無事大学に入学し、社会人に成られたことでしょう。