四駒漫画(185):列車の光景-(79)

親切を断られたら、直ぐ止めること

文庫41、昭和45年頃

『電車の満席の座席にサザエさんが座っています。目の前に大きな紙袋を上品にズボンの前に下げて持っている紳士が、吊革を持って立っています。サザエさんが紳士の方に手を差し伸べて、「お持ちいたしましょう」と親切に声をかけました』

『紳士は紙袋を大事そうに持ち、サザエさんにお願いしようとはしません。サザエさんが、にこやかに「どうぞどうぞ!」と重ねて言っています。紳士は「だいじょうぶです」と断っています』

『サザエさんは、とうとう、怒り出し、紳士を睨みつけ「すなおに持たせたらどうです」と念を押し、紙袋の取手に手をかけ、引っ張っています。それでも紳士は紙袋を離さず「イヤだ!!」と渡そうとしません』

『紳士もカンカンに怒り、顔を赤らめて「ズボンのファスナーがこわれてるんだ!!」と紙袋をズボンの前に確りと押しつけて持っています。サザエさんは余計なお節介しちゃったといった赤い顔をしています』

サザエさんの四駒漫画です。

男性にはありそうな話です。

紳士はファスナーの閉め忘れではなく、壊してしまっていたのです。

閉め忘れで有れば、絞めればそれで済みます。

小学生がファスナーの閉め忘れで、母親に叱られています。男だから確りしなさい、と叱られています。男の子だからファスナーがあり、閉め忘れることもあるのです。

しかし、ファスナーが壊れていたとなれば、困ったことですね。

おそらく、この紳士は、ファスナーの壊れで、社会の窓があいていることを、紙袋で懸命に隠しているのに、お節介な女が余計なことを言いだしたと思ったでしょう。

でも、ファスナーは壊れています、紙袋を、親切なサザエさんに渡したら、目の席に座っている人達がみんな見るでしょう。

絶対に親切なお節介を受けることが出来ません。

遂に、「いやだ!!」と、さらに「ズボンのファスナーがこわれてるんだ!!」と声も荒げて言わざるを得なかった。俺は紳士なのに。こんな時、余計な親切は要らないよと言いたい位です。

サザエさんも親切の押し売り売りは、最初、断られた時やめた方が良いようですよ。