運としか
言いようのない出会いが
人を根底から
変えることがある。

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今回は、伊吹有喜の
なでし子物語を読んだ。

主人公は
小学四年生の耀子。

父は物心つく前に亡くなり
母からはネグレクトされ、
挙句の果てに、アパートの部屋に
置き去りにされる。

施設などを経て
父方の祖父の所に
住むことになる。

そこで関わる
人達との交流が
閉ざされていた
耀子の心を
少しずつ、少しずつ、
開いていく。


自分が
ここに居ていいんだという
確信を持てないことは
大人でも
子どもでも
辛いものである。

自分の立っている土台が
崩れ落ちるような
心もとない気持ちに
なるのではないか。

耀子が祖父の住む町で出会った
隣人たちは
まず、この土台を
しっかり押さえる役目を
果たしたのかもしれない。

その上で

ひとりの教師が果たした
役割は大きい。

小学四年生の子どもでも
わかるように

これから
生きていく指針を
優しく、厳しく
耀子に教える。


「顔を上げて生きること」

これは、
顔を上げ、堂々とすることが
自分はここに居ていいんだと
耀子に気づかせる
ことになろう。


次に
「美しく生きること」

これは
美しく生きようと
することで
新しい自分を発見することに
なるらしい。

おそらく
美しく生きようと
することは 
あらゆることを
学んで自分のものにしていく
ことにつながる。

それを
成長と呼ぶのだろう。

この教師は
耀子に
学ぶことの意義を
暗に示したのだろう。