私は真田事務次官とブライトに、奥田和治が、組織のNo.2伝えた。

ブライトは、私を北栄総合病院から呼び出した。

そこは、この日本にいるアジトだった。

30名が、このFBIにいた。

そして、ブライトは上司と思われる人物に

「ボス、彼女が、高山恵里です」

ボスは近づいてきて

「私の名前は、アルト。
この日本におけるFBIのボスだ。

君は見事に敵を欺いた。
FBIを辞めたと思わせて、実は辞めていないということをな。

西園寺教授は、まったくそれに気づかず、姿を消してしまったがな」

間をおいて

「恵里、これからFBIは奥田和治を確保するために動く。

拳銃と防弾チョッキをつけて指示を待て。

あともう一つ、辛い話しだが、相手を射殺するくらいの気持ちで動いてくれ。

じゃなきゃ、君の命に関わる。

覚悟を決めてくれ」

私は余裕の笑みを浮かべて

「FBIにスカウトされたその時から、覚悟はできてました。

正々堂々と敵を確保するのなら、FBIが一番良いと、あの井原が、詳しく説明してくれました。

そして、忠告もされました。

「お前は、自分自身と仲間を守るためなら、人を撃てるか?

それが、できなければ戦力にならない。

それを、覚えておけ」

私は、この忠告を下に考えてきました。

だが、その中でも決断できたのは、やはり井原が私に組織の考え方を芝居で伝えてきましたから。

「所詮この世は弱肉強食」

この考えをもって人を殺し・女を玩具にしてきた屑の中の屑、それが奥田和治という男です。

新井教授を殺させたのも、金崎を殺させたのも、本当は、奥田の命令だったんです。

奥田は、魔王そのものです。

逆らうなら男女問わず殺してしまえというその考えのもと女は奥田の玩具にされて、そうしながら世界に股をかける組織が、できたんです。

私はこの手で、奥田を逮捕したい、その気持ちでいっぱいです」

アルトは私を見て

「そうか。わかった。

君はブライトと組め。

奥田は、政治家達のVIP病院で主治医として、動いてると同時に、ガッポリ儲けた金で、大きい一軒屋を勝ったそうだ。

奴は今、家にいる。

今の首相は、奴のコントロール下にある。

だから、護衛がうようよいるのは、間違い。

それと仲間の犠牲者もあることを、覚悟しなければならない。

できるか?」

私は一瞬、目を瞑った後で

「私は、新井教授に言われました。

何かをしようとすれば、何かを失うことを、覚悟しなければならない。

自分が、動いてるのは、未来のためだと考えるんだ。

そのためには、何があろうと止まらず動け。

それが、命を扱うものの使命だ。

やると言ったら、最後までやり抜け。

それが死んだ者に対する自分の責任の取り方だ。

それを、理解するようにと」

アルトは私の決意に頷いた。

屋根の上での撃ち合いが、上に評価された結果である。

ようやく、No.2の屋敷に乗り込める。

私は、奥田を確保するために、闘志を燃やした。

この手で必ず逮捕してみせると……。