私と高倉の使命は、警察・検察・マスコミ各社・組織に関わる者達に証拠のコピーを送りつけることだった。

死んだはずの橘勇三が、組織の幹部で、臓器売買の首謀者であることも明かされた。

だが、ポイントなのは、橘自身も命令でやってきたにすぎないということが、はっきり映像に映ってることである。

西園寺教授は、エルフィンをこのタイミングで告発し、エルフィンの株価は、一気に暴落し・会計士の不適正意見によって、エルフィンは倒産した。

そして、橘を公安は逮捕に踏みきった。

だが、橘はのらりくらりと刑事の訊問をかわした。

何故なら、橘を逮捕することに、強力な圧力が、かかっていたためだ。

警察庁長官から、釈放するように命じられていた。

それは、そのビデオの中に橘の上司らしき影が映っていたからだ。

つまり、橘も人形に過ぎない。

その影にいる人物を、逮捕しなければ意味はないのだ。

だから、何としても聞き出さなければならないが、一筋縄ではいかない。

私は正直、あの橘病院長が、中枢を担う幹部であることに疑問があった。

西園寺教授は、告発した後に姿を眩ました。

自分が、消されるのを避けるためである。

そして、橘は48時間後に釈放された。

あえて、泳がすつもりなのだ。

だが、警察署から出た瞬間、警察署の上と向かいで、銃撃戦が起こっていた。

私と犯人が、撃ち合いをしてる間に、犯人を見事にブライトが、確保した。

本当は、高倉が相棒になるはずだったが、念のために切り札は、残しておくことにした。

だから、ブライト自ら動いたというわけだ。

私は姿・形を変えて動いていた。

相手は、アジア一の殺し屋と呼ばれるキーンという男だった。

キーンは雇い主が、誰なのかすぐに吐いた。

エルフィンの社長の命令で動いていたらしい。

エルフィンの社長も当然だが、捕まっている。

再び橘は逮捕された。

臓器売買の件の容疑だけで。

だが、ブライトは逃がさなかった。

FBIは、あのビデオに映ってた、陰の人物以外のメンバーを逮捕した。

だが、手がかりはなかった。

その頃、キーンは私を呼んだ。

二人きりで話し合いたいと言ってきた。

私が椅子に座ると、キーンは笑みを浮かべて

「やっと会えたな。真田美紀の意志を継いで、我々を追う君にな」

「それなら話してくれるんでしょ?

あんなにあっさり、捕まるような相手なら、とっくに金崎が、どうにかしてるわ。

つまり、金崎ですらどうにもならない怪物がいるんでしょ?

そいつが、新井教授をあなたに殺すよう示唆した人物なんでしょ?」

「今から言うことは、一人言だ。

そして、他言無用だ。

俺と橘に命じた人物は、奥田和治というお方だ。

雲の上のお方だよ。

だが、組織のトップは、まだ、上にいる」

そう言って黙り込んだ。
話しはそこで終ったかのように……。

奥田和治とは、ヨーロッパの誇る外科医である。

いったいどこまで、追いかければいいのかと心から思った。