清美は、四歳半になってクラリスから離れた後、地獄に瞬間移動した。

そこでは、アレスが待っていた。

「久しぶり。アレス」

アレスは笑みを浮かべて

「お前にしては、アカデミー賞ものの芝居だったな。

亡きガイアも、娘の成長に喜んでるだろうよ。

クラリスとディオスは、心から喜んでた。

あの二人の心からの笑顔を見れただけでも、お前は幸せものだよ。

だが、あの二人を笑顔にしたのはお前だ。

クラリスとは、報告だけじゃなく、ちゃんと母親として話してやれよ」

私は苦笑いして

「わかってるわよ。あの二人は、太古の昔、私が母上と地獄の修行場で修行してたことは知らないんだから。

でも、魔力がないのは辛いよね。

私の一番の武器なのに」

「清美、これは人間のエージェントとして動くことで、より成長させるためだと考えろ。

それより、レナはどうだった?」

「凄い。母上を遥かに凌駕する人格・強さ・相手にあわせてそれを気づかせない、頭の良さ、全てが凄い。

私、あのレナ姉上が尊敬し、あなたほどの人が惚れたユリア姉上に会いたくなったな?

ねぇ?二人の恋話聞かせてよ?」

アレスは笑いながら

「わかった。凄くつまらないぞ。

俺とユリアは、全天上大神王神界で生まれたのさ。

レイン様は、テスカトリポカの最強の懐刀という立場だからな。

星神族最強のガイアも、そこにいて、仕えていたのさ。

そして、俺とユリアは生まれながらの幼なじみで、俺もユリアも、レイン様直々に修行をつけていただいた。

俺達はいつも、一緒にいた。

お互いが、好きになるのは、時間の問題だったんだ。

そして、テスカトリポカとレイン様の二人は、最初から俺達を結ばせることを考えてたんだ。

それほどに二人は、深く繋がっていたのさ。

俺達は、そのまま何も知らないまま、お互いを好きになったというわけだ。

そして、別人に変装して、ラクールで俺達は過ごした。

二重・三重にもレイン様が、つくった策の中でな。

お前も、レナに見せてもらったろ?

全天上大神王神界とラクールを合体させた、本物の美しい世界を・・・・・・」

「うん。本当に美しかった。

この世界に、ユリア姉上がつくったと思われる月島家の思い出の場所、と同じ場所があるわよね?」

アレスは会心の笑みを浮かべて

「あの場所で、俺はユリアにプロポーズしたんだ」

私は感動した。ユリア姉上という人の優しさがあの場所に込められていたのだ。

多分、皆、レナ姉上がつくった場所だと思い込むだろう。

それほどまでに、レナ姉上の心は宝石のように美しい。

ユリア姉上は、たった一人で星神族を滅ぼした一族を壊滅させるべく動いた鬼神と呼ばれる伝説の戦士だ。

だが、やったのは姉上のクローンである。

本物の姉上は、子供二人を生んだ後、すぐに転生した。

こうやって、本物の姉上とアレスは完璧に隠されたのだ。

「清美、そろそろ、本題に入るぞ」

「そうね」

「お前には南アメリカ大陸の組織に潜入してもらう。

そして、お前は、その組織の幹部の一人の四天王のリーダーの孫娘の長女として、動いてもらう。

お前の父のいる組織とは、敵対関係にある。

それを、ちゃんと頭に入れておけよ。

それと俺は、敵側からのスパイとして、お前の組織に潜入する。

そして、もう一人、ユリアが直々に鍛えあげた優斗も、転生して、組織に入る。

名前はヘーリオス。おそらく、お前とコンビを組まされるだろう。

あいつは、四天王より上の十六神のNo.4と呼ばれる存在の長男の孫として動く。

だが、四天王のリーダーの存在というのは、中枢を担う幹部の懐刀に繋がる重要な存在だ。

だから、お前の存在も優斗の存在も、ポイントになる。

だが、初対面として大芝居をうってもらうぞ。

もちろん、俺にたいしてもな。

それは、最悪の男を演じる・優斗も同じだ。

それを頭に入れて、お前も悪女を演じろ。

いいか、味方にとって憎い存在になれてこそ、エージェントとしては成功だ。

甘さは完全に捨ててかかれ。

それともう一つ、テラーには気をつけろ。

悪人を容赦なく斬り捨てるテラーが存在する。

そいつは、アッシュールの仕業に見せかけて、殺しまくってる男だ。

それと同時に、金を払えば人を平気で殺すテラーもいる。

それとブラフマーと名乗る殺し屋もいる。

ブラフマーは、被害者遺族に真実を、目的の人物を殺した後で、教えるんだ。

お前が潜入する組織には、それだけ危険があると同時に、この三人を見つけ出して始末するというのが、任務の一つだ。

それと、お前はレインの懐刀の一人であるシヴァと繋がってもらう。

それは、法を逃れた犯罪者を、離島の収容所に犯罪者を世界中に入れるために動くためにな。

お前と優斗と俺で協力して動く。

シヴァは、組織が送り込んだエージェントなんでな。

それともう一つ、お前に考えてほしいことがある。

アッシュールは、日本で死刑制度廃止を、実行することを考えてる。

それを実行するのは、お前が二十歳になった頃だと考えていい。

お前には、何が正しいか組織に潜入する中で、答えを考えておいてくれ」

こうして、私は転生した。

私の名前は、フレイヤ。

四天王のリーダーのビラコチャの孫で、スーパイの娘。

父、スーパイは中枢を担う幹部の懐刀のワカの懐刀の下端の一人として動く存在で、それほどまでに、裏世界で恐れられてる存在だ。

母の名はカーリー、同じくヨーロッパで知らない者はいないとされる殺し屋である。

私は、父、スーパイの命令で八歳の時、アメリカのミカエル家に潜入した。

ミカエル家に仕える殺し屋として。

私はミカエル家の訓練を、芝居をしながらクリアした。

コードネームは、イシュタル。

ユリア・ミカエルこと、この時代のラクール王国皇女リーネの護衛として動くことになった。

ユリアは優しく、二人きりの時は、友達として過ごしてねというほど、優しい人だ。

彼女にもコードネームはあり、名前はウシャス。

何故、これほどの大物にまで、コードネームがあるのか、それは、真にアメリカを牛耳るドンにとっては、駒に過ぎないからだ。

私は、ウシャスに連れられて、世界を恐れさせるMに出会った。

このMと名乗る人物は、影武者が、200人はいると言われていて、どれが、本物かは知るものはいない。

このMは、この世界を本当に牛耳ってる人物の中枢を担う幹部の懐刀と言われている。

それが、Mのオリジナルと呼ばれてる人物の正体だ。

後は、謎に包まれてる。

私の組織でも、Mの存在の影響力は大きい。

Mは、いきなり信じられない命令を出した、

「イシュタル、お前はミカエル家のエージェントとして、アメリカ大統領を暗殺しろ。

我々に従わない者は、死あるのみだ。

イシュタル、お前がこの任務を成功させたら、ウシャスの懐刀に出世させてやろう」

私は頭を下げて

「御意」

と返事を返した。

その瞬間、私は瞬間移動した。

大統領とそこにいた、部下達を瞬時に銃弾で始末した。

だが、一人、それを待ち構えていた男がいた。

私は一瞬で理解した。

テラー・・・・・・。

「こんな小娘を暗殺者として来させるとは、Mもやってくれる。

だが、俺がここにいたことを不運に思うがいい!」

素早く動いてきた。だが、私は、二発の銃弾でこの男を始末した。

そして、瞬間移動してMの前に戻った。

「始末してきましたよ。

レディン叔父上」

レディンは私の頭を撫でた。

「よくやった。お前の手柄は大きいぞ。

この事は、兄上にも報告しとく。

お前は、ウシャスの懐刀として、アメリカを変えるべく動け」

「はい。わかりました」

レディン叔父上は、清美として新得に行った時、私を助けるために、堺義弘として接触してきた、

その時に、このことを教えてくれた。

叔父上が、Mの影武者の一人であることを。

レディン叔父上は、父上のメールアドレスだけは知ってるらしい。

アメリカ大統領は、戦争を起こそうとしていた。

だから、すぐに始末する必要があったのだ。

組織にとっても、黒幕にとっても、戦争などやられては困るというわけだ。

アメリカの経済に影響するからだ。

そう、上の考えは金が全てなのだ。

金を持つものは、全てを握ることができるというわけだ。

アメリカを牛耳るドンも、だから、アメリカを牛耳ることができているのだ。