恐ろしい威圧感を持ち、側にいるものを震えあがらせるほどの存在感をもつ男、それが、本物のルディ・ガルシアなのだ。

ちなみに私は、廃屋に一人で来ていた。

ガルシアは私を見ながら

「よう。久しぶりだな。ガイア」

私は笑みを浮かべながら

「そうですね。ガルシア様。

エレボス、始末のための策は既にうっておりますのでご安心下さい」

「それを聞いて安心した。

あんなカスのために俺が、手を下さなきゃいけないんじゃ話しにならないからな」

「同感です。我が主やガルシア様が、手を下すまでもありません」

ガルシアは優しい目で私を見て

「さすがはあのアテナのNo.1の腹心だけのことはある。

説明する必要がないから楽だ。

俺がここに来たのは、もう一つ、お前にやってもらいたいことがあるからだ。

奴らを引きずり出す、大きな作戦を、ある奴が実行する。

その際に、お前も協力してやれ。

俺も、兵庫県警に入って協力するつもりだ。

そのためにここに来た」

本物のルディ・ガルシアは、実力を認めた者にたいしては紳士なのだ。

同様に、気に入らない相手は容赦なく処断する冷酷なところもあり、やはり、女癖は悪い。

エレボスに手が出せなかったのは、アンシャルの上役、すなわちアンシャルの組織に君臨する人物に気を使ってできなかったのだ。

だが、とうとうその上役は雲の上のお方に連絡し、エレボスを抹殺するよう言ったというわけだ。

エレボスでは、アンシャルを使いこなすことはできないからだ。

あのお方の威光を笠に着てるだけだからだ。

そんなのに任せていたのでは、真の敵に組織を意のままにされる。

実際、罪を着せられるというヘマをあいつはやっている。

その頃、エレボスは神戸の近くの海辺の廃屋にいた。

あいつめ、俺をこんなところに呼び出すとはどういうつもりだ。

その時、一人の人物が現れた。

エレボスは驚愕し

「貴様!何故ここに!?」

その瞬間、電光石火の速さでエレボスの首をナイフで切り裂いた。

そして、その日のうちに遺体は発見され

夜、兵庫県警はやってきて

川島は遺体を見るなり

「テラーの模倣犯だな。」

テラーの手口は、ナイフで首を切り裂くことだ。

だが、ここにはエレボスが今までやってきた、女性警察官の強姦殺人のリストが側に置かれていたからだ。

そんな時、一人の美しい金髪の女性が現れた。

俺を見るなり

「川島隆吾警部ですね?

私はFBIのエミリー・シオンと申します。

どうぞ、お見知りお気を」

と丁寧に礼をして言った。

「FBIにしては、ずいぶん早いですね。

テラーを追って来たのなら・・・・・・」

だが、俺が話すのを遮るように

「残念ですが、この犯行はテラーではありません。

アメリカを騒がす凶悪犯です。

FBIに予告状が届いたんです」

俺に紙を渡し

無能なFBI諸君。

次は、神戸で強姦殺人を楽しんでるエレボスを始末するよ。

次は、捕まえることができるかな?

ナイトメア

と書かれていた。

「FBIは、正式に日本警察に合同捜査を申し込みます」

俺は、ナイトメアという名前に驚愕した。

ナイトメアは、悪魔の頭脳を持ち、警察を翻弄し、今から、15年前~五年前にかけて、日本で動いていた凶悪犯だ。

五年前、俺とエレナの二人で奴を倒した。

悪魔のような女だった。

新たな悪魔が現れたということか?

考えたくもない相手だった。

そして、警視庁からも応援がきた。

県警に戻り、おおがかりな捜査本部がたった。

警視庁捜査一課課長自らやってきた。

そう、新たなナイトメアはアメリカで動いて、アメリカを震撼させていた。

そして、県警にメールが届いた。

メールを見ると

無能な警察諸君。久しぶりだね?

神戸市内に不特定多数の拳銃をばらまき、爆弾を仕掛けた。

無能な警察諸君は事件をどれだけ抑えられるかな?

お手並み拝見させてもらうよ。

爆弾の仕掛けた場所の最初のヒントは、裏世界の人間がよく密会する場所。

健闘を祈るよ。

爆発は、今日の12時。

ナイトメア

あと二時間しかなかった。