だが、狙撃した犯人の前に清美と桜がいた。

犯人は二人を見て驚愕した。

二人は、あらかじめイシスが殺された時から、アトゥムを探していた。

だからこそ、本物のアーシラトが追い詰められればアトゥムは尻尾を出す。

そこで、リカルドと美咲をおとりに使ってアトゥムを見事におびきだしたというわけだ。

だが、白煙のせいで狙撃を止めることができなかったが、喋られては困ることもあったため二人にとっては都合がよかった部分もあったのだが・・・・・・。

清美はアトゥムを真っ直ぐに見て

「やっぱりあなただったのね?アトゥムは・・・。」

男は清美を見ながら

「何故俺だとわかった?堺清美。」

清美は、目を瞑りながら答えた。

「私は、十一年間あなたを追ってたのよ。父が十一年前、自殺に見せかけて殺され、自殺として処理された時からね。

調べてはっきりわかった。アトゥムのコードネームをもつ男と父が会いに行くことが、父のメモ帳に書かれていたのを私は見た。

つまり、アトゥムこそが父を殺した実行犯であると予想できるのよ。

だから、ずーっとあなたを探してた。

そして、六年前、私はアルテミシアを追い詰めてはかせたところ、あなたの名前が出てきたのよ。

荻田敬二、あなたの名前がね。まさか、世界で五指の大企業の社長が自ら犯行に及ぶなんて考えてもいなかったけど、父が殺されてからよね?

ノヴァが急成長をとげたのは?

だから私はここに来たのよ。アトゥム。

あなたに尻尾を出させるためにね。

案の定あなたはイシスを口封じに殺した。

だから、今回のチャンスに私は勝負に出ることにした。」

アトゥムは苦笑いしながら

「たいした女だ。さすがに堺清美に変装してるだけはある。

本物の堺清美は何か言ってたか?」

清美は驚きつつ

「よく私が、清美に変装してるってわかったわね?」

アトゥムはニヤリとしながら

「当たり前だ。あの男の娘である以上、要注意だからな。

すでに調べあげてある。」

清美は苦笑いしながら

「なるほどね。さすがに清美が意識するだけはあるわね。

清美は言ってたわ。

必ず組織を潰すってね。

あなたは通過点にすぎないってね。」

アトゥムは豪快に笑いだした。

そして、・・・・・・。

「堺清美に言っておけ。四宮には注意しろとな。」

そう言うと舌を噛みきって死んだ。

清美は思った。組織を必ず潰すと。

清美はこの時、予想もしてなかった。

今回の事件が、後に恐ろしい事件を引き起こすことになるとは誰も考えもしなかった。

円は清美にメールでこのことを知らせた。

そして、みんな普通の生活に戻った。