結論から言うと、最後のシーンで美紀を救うとこまでやってほしかったですね。

仁が、何故過去に行ったのかそれは、医療を発達させ現代で美紀を救う、それが最大の目的だったはずです。

なのに、手術前に終わらせてしまったのでは意味がなくなってしまいます、そして美紀と共に幸せになれば、咲と野風の苦労も報われる、そう思えるんですよね。

二人の想いはただ一つ、仁に幸せになってほしいということです。それだけに、残念何ですよね。

この仁というファンタジーは、はっきり言って名作と言っていいと思います。

しかし、その大事な部分が抜け落ちては意味がなくなります。

この物語は、美紀の病気、そして、「神は、乗り越えられる試練しか与えない。」

という言葉が、物語の軸になっているということです。

それほどまでの存在、それが美紀という存在です。

だから、皆さん消化不良になった気がします。

せっかく役者が、魂込めて演じてるのがここまで伝わってくるということそのものが、今のドラマでは少ない中で、この作品の場合役者達の魂が、大沢たかお・内野聖陽を中心としてビリビリと感じました。

だからこそ、人の心をうつ作品ができるんですよね。

そして、最後を除き脚本も本当に素晴らしかったんですよね。

それは、仁と龍馬、この二人の戦いと想いの凄さがドラマとなっているからです。

仁は、歴史を変えるという神をも恐れぬ戦いに悩みながら身を投じ、龍馬は誰もが知る英雄でもっと長生きしていたなら日本の発展は50年は早くなったと言われるほどの英雄が、仁という一人の天才外科医を見て成長していく所を観るわけですからね。

しかし、史実でも龍馬は最初から凄かったわけじゃありません。

先に、行動を起こしたのは一度は将軍すら動かした武市半平太、彼という存在がなければ龍馬が立ち上がることもなかったでしょうしね。

土佐は、上士と下士とに分かれて、下士は差別され続けた、しかし、武市のように戦で諸外国を打ち破るというやり方には反対だった、だから龍馬は土佐を飛び出した、その龍馬にとっては、仁という何の迷いもなく患者を救い前に進む心優しき医者を見て、龍馬は変わっていくというファンタジーとしての面白さ、そして二人に共通する、道の為・国の為、これが二人の合言葉でした。

だからこそ仁は、龍馬を何があろうと助けたかった、正に歴史との戦いですね。

本来歴史を変えるというのは、神の領域に位置することです。

そして仁は、未来の医術をもって過去の人間を救うという、本来なら死ぬはずの人間を救う、それが許されるのかという大きな問題との戦いが、テーマです。

しかし、仁は天才外科医ですので普通の人なら、まずあり得ない悩みが出ることもあるでしょうし、そして、逆に普通の人なら何もできないことまでできてしまうので常人が、うらやましく感じるところもあるのですが、仁は常に悩みとの戦いでした。

そう、仁は天才外科医ですが、人としては、どこにでもいそうな一人の人間でもあるというのが、よけいに人をくぎづけにするんでしょうね。

でも、普通の人が過去にタイムスリップ何てことになれば生きていくことすらできません。

何故なら、身元を確認できるものがない以上、どこにも行き先はない、そして、未来から来たと言ったところで誰も信じない、つまり、よほど人を信頼させる何かをもっていなければならない、仁には未来の医療という技術があり、人柄の良さも仁の武器です。

そして、それが人を信頼させ尊敬させる、そう言う純粋なものが仁にはあるんですけどね。

そして、1シリーズの最後の問題である野風が乳癌になり、癌を明らかにしてしまえば自分の婚約者そのものが消えてしまうとなれば、それは実行できなくて当たり前であり、歴史を変えてしまうという大きな問題でもあるとなれば、もちろん、その時代の医者であるなら、医者失格ですが、仁のような事情の場合は誰も仁を責める資格はありません。

もちろん仁は、自分の事を咲が好きであることを気づかなかった仁自身に責任ありますが、未来から来たのがわかっていながら仁を責めた咲には、子供だなと思わずにはいられないですよね。

仁が、どれだけ苦しんでるいるのか、仁ほどのお人好しが、そう決意するのがどれほど辛いことなのか、それを考えたら誰も何も言えるわけがないんですよね。

そして、仁が野風を手術すると決意をしたのは、時代の英雄である坂本龍馬からの頼みであったからです。

時代の英雄が、そう言うのなら野風を助けても美紀は消えないかもしれない、まさに神頼みの英雄の考えに従ってみた、それほどに仁にとって龍馬の存在は大きいということですね。

普通に考えたら、タイムスリップ何ていうことはあり得ないわけですから、こんなことが起こってるのなら美紀も大丈夫と考えるのも当然ですよね。

でも、仁は龍馬を身近に見て(あくまでも作品の中での)「本当に、これがあの坂本龍馬なのか?・・・」

と思ってしまってるシーンもありましたね。

まあ普通は、視聴者も龍馬に少しでも詳しい人なら龍馬がこんな軽いわけがないと思うはずなので、私も漫画が原作なんだからいいかというふうに思ったこともあったのでこのセリフ聞いた時、爆笑だったんですが、つまり、この脚本家は自分で書いておきながら、それを自覚してるということですね。(笑)

でも、結局この大事な決意を龍馬が決めてしまったということに、仁も納得してしまったんですよね。

そして、野風を救った後に咲が言ったセリフ(言ったのは2シリーズですが。)「野風さんが、救われた以上新しい美紀さんが生まれるということではないでしょうか?」

という言葉、これが2シリーズのテーマであり、仁と野風の夢でもあります。

そして、最も難解な問題である坂本龍馬の暗殺を防ぐことができるかという問題、そして、長く生きることだけが人間の値打ちなのかという大きな問題、そして、歴史の修正力によって邪魔されて死んでいく患者、そして、未来では救える命でもこの時代では救うことができない現実、そして、この時代が幕末であるということがよくわかるような大量に人が死ぬ時代でもありました。

2シリーズは、1シリーズ以上に重い内容でした。

そして、咲の成長と我慢、そして、幸せを手に入れて、そして大きな夢を見つけて、大きく変化した野風、とにかくこの作品はあまりにヒロインが可哀想になる作品でもあります。

理想叶わないまま死んでしまうとわかってる龍馬と、主要メンバー四人全員が可哀想になる作品ですね。

でも、咲と野風は自分の想いをおし殺しても、仁には幸せになってほしいという気持ちが、二人を動かしてる、特にこの二人の強さを感じたのが、野風の子供であり、美紀につながる安寿が生まれるシーンですね。

このシーンのために、第二シリーズはあったと言っていいシーンですね。

野風の強さが、全面に出て、さすが美紀の先祖と思わされるシーンでもありました。

美紀は、わずかしか出てこないながらも、濃いイメージを残すキャラでもあります。

印象的なのが、仁と美紀が初めて出会ったシーンを見て、優秀な外科医の資質があり気が強く負けず嫌い、そして、あの仁が、オペをするときの合い言葉になった「神は乗り越えられる試練しか与えない。」

美紀は、それだけ凄いということですね。

仁が、好きになるのもわかりますね。

このドラマは、ことごとくヒロインが振られるドラマではありますが、それだけにほのぼのシーンが印象的ですね。

次に、やはり龍馬が大政奉還をやってのけたシーンと同じく理想を実現させた野風のシーンをあわせてやったシーンはより感動的でしたね。

そして、龍馬と仁が交わした最後の言葉

「わしは、誰もが笑って暮らせるような国をつくれたのかのー。」

この言葉は、本当に切ないセリフでした。

明治維新が、起こっても龍馬の理想の半分も実現しなかったという辛い現実しかなかったという現実がありますからね。

このセリフを、聞いた時龍馬と帯刀が生きていたなら実現してたのにと思わずにはいられませんでした。

それはともかく、漫画が原作でも龍馬の死ぬシーンは切ないですね。

そして、最終話での咲の手紙の中での告白と他ならぬ美紀自身によって自分がいなくなった後の事を話すシーンは、共に感動的ですよね。

新しい美紀が生まれ、咲が初めて自分から仁のことを好きだと告白したシーンは、最高でしたね。

とはいえ、一番最後でこの脚本家はしくじってしまいました。

美紀を救い、美紀と結ばれ幸せになる、それこそが何よりも咲と野風が考えていた仁の幸せがかなうというシーンを見せてこそ仁の完結編には、ピッタリですよね。

医療は、自分が過去に行ってやったことによって大きく発展したことへの証明にもなりますし、あまりにも辛い野風役をやっていた中谷美紀自身にとってもこの方が救いになりますし、それにそっちの方がよりハッピーエンドになりますよね。

第二シリーズが、重かっただけになおのことですね。

でも、楽しめるファンタジーでした。